千葉私立中・併願作戦

その1■千葉県内の私立中学入試の現実

@入試日がずれて併願しやすい
 千葉県内の私立中は、都内より前に実施され、入試日程は各私立中であまり重なりません。そのため、併願がかなりしやすくなっています。下の表のように、上位校を市川・東邦・渋谷幕張と連続して受験できる日程となっています。
 ただし、「併願できてラッキー!!」なのは上位の受験生だけです。偏差値が伸び悩んでいる受験生にとっては、入試日程がずれると受験生が分散して合格ラインが上がってしまい第一志望校に届かないことになってしまいます。
1/20 1/21 1/22 偏差値 1/23 1/2427 2月

市川

東邦
渋谷幕張
65〜70 . .
.
. .
昭和秀英

60〜64

. . 2/2渋谷幕張
2/3東邦 2/4市川
専大松戸 国府台女子
麗澤
. 55〜59 芝浦柏
(/25芝浦柏
1/26専大松戸
1/27麗澤
2/4麗澤  2/4芝浦柏 
2/4昭和秀英 
2/4国府台女子
. 千葉日大一
成田高付
. 50〜54 . . 2/5千葉日大一
日出学園
東海大浦安
. 東海大浦安 45〜49 日出学園 . .
  ※偏差値の目安は首都圏模試   ※日程は正式発表がされていない学校があります。
  ※12月の第一志望入試は表示してありません。
  ※他にも千葉県内の私立中はありますが、入試回数が多くて複雑なこともあり、表示していません。

A難化してきて激戦に ※四谷大塚の80%:結果偏差値(共学校は男子の偏差値)
    変動はあるものの、難化傾向にあります。常磐線沿線の3校と市川は特に伸びています。
渋谷
幕張
東邦大
東邦
市川 昭和
秀英
専修大
松戸
芝浦柏 国府台
女子
麗澤 千葉
日大一
2003 63 57 52 52 46 50 53 46 42
2004 63 59 50 50 47 50 54 45 42
2005 66 60 56 54 49 51 51 48 44
2006 64 58 58 52 52 54 53 48 43

 「渋谷幕張・東邦・市川」の併願、「専大松戸・芝浦柏・昭和秀英」の併願が可能なだけでなく、芝浦柏を第一志望とする生徒は「1/23、1/25、2/4の3回受験」するなど1つの学校を2度3度受験できます。
 受験の機会が増えてありがたく思えますが、恩恵を受けるのは上位生だけです。上位生は「渋幕・市川・東邦と全勝」、あるいは渋幕は残念でも市川・東邦に合格して都内の入試に安心して臨めます。しかし、それぞれの中学の入試が1回だけなら併願者が大幅に減って第一志望の受験生の割合が増えるのですが、複数回の入試ですと第一志望の生徒がはじき出されかねません。
 つまり併願しやすい日程ということは、高倍率になるため、「上位生は連続合格」になる一方で、「成績があと一歩足りない生徒は5戦全敗」となりかねないのです。

B併願校が増加?
 データを示せずに恐縮ですが、千葉の学校が激戦になって「まさかの不合格」が目立つようになりました。そのため、今までは都内を第一志望とする生徒の併願校は「合格可能性80%と60%の計2校」だったのが、3校4校と併願する人が増えたような気がします。

その2■併願作戦の組み方
適切な併願の仕方をご説明します。実際は理屈通りにはいかないことが多いのですけど・・。

@先ず確実に1校合格を勝ち取る
 第一志望校の受験の前に、1校でも合格を勝ち取っておくと、自信を持って受験をすることができます。
57専大松戸1/20  たとえば、千葉の入試解禁日1/20の専修大松戸を第一志望とする生徒は、それより前に入試がある茨城か埼玉の中学を受けると良いでしょう。
 たとえば偏差値54の生徒だと、専修大松戸は50%前後の可能性なので、偏差値47の土浦日大で確実に合格しておくと良いでしょう。獨協埼玉も合格可能性が80%を越えているとはいえ、落ちる可能性も15%くらいあるので獨協埼玉だけだと1校落ちて自信が無くなった状態で第一志望校を受けることになりかねません。
53獨協埼玉1/12
47土浦日大1/9
44常総学院1/7
青字は首都圏模試80%偏差値

A第一志望校は何度も受ける
 千葉県内の私立中は、何回も入試日程を設けている。一人の受験生が2度3度と受験できる。第一志望なら、全部受ける覚悟を持って、併願作戦に臨みたい。
市川学園 千葉日大一 専修大松戸 八千代松蔭
入試日 偏差値 入試日 偏差値 入試日 偏差値 入試日 偏差値
1回目男子 60 1回目男子 47 1回目男子 54 1回目男子 34
2回目男子 58−2 2回目男子 51+4 2回目男子 55+1 2回目男子 37+3
1回目女子 62 1回目女子 47 3回目男子 53−1 3回目男子 44+10
2回目女子 58−4 2回目女子 49+2 1回目女子 54 1回目女子 33
 青・赤の数字は、1回目に比べて、偏差値がどれだけ上がったか下がったかを示した数字です。 2回目女子 55+1 2回目女子 37+4
3回目女子 52−2 3回目女子 45+12
 上記の表は、2006年入試の50%偏差値(首都圏模試)だ。
1回目入試で受からなかった人が2回目に殺到して合格ラインが上がるという現象は、一部の学校では当てはまらない。1回目の入試では辞退者がどの程度出るか読みにくいので少なめに合格者を出すため、2回目3回目の方が合格ラインが下がる学校もある。前回の入試なら、市川学園は2回目の方が合格しやすかったし、専修大松戸も1回目2回目と不合格で3回目に挑戦して合格を勝ち取った人もいることだろう。
 また、何度も受験する人には、受験料の優遇や、若干の点数上乗せもする学校がある。だから、合格可能性が20〜30%でも、第一志望なら全部受験するのが良いだろう。

B合否によって受験校を変える
 初日の受験結果によって、受験校を変更するのも実際に行われる併願作戦だ。初日の学校に合格すれば、偏差値の高い中学に強気で挑み、初日に不合格なら合格しやすい中学に変更するのである。出願が間に合わなければW出願となる。
 (例)偏差値60前後、都内の中学を第一志望とする生徒の併願例
       ※偏差値は首都圏模試(来年度予想80%)の男子の数値。
1月前半に埼玉・茨城の2校を受験する
  1/17江戸川取手(偏差値59)
  1/10春日部共栄(偏差値56)
もし合格できたら、1/20は強気で市川学園(偏差値63)
もし不合格なら1/20は無理せず専修大松戸(偏差値57)
 実力が普段どおり出せれば埼玉・茨城で2連敗はしないのだが、入試が始まる前は不安なもの。合格可能性が50%前後の市川学園に挑戦したいのだが、まさかの2連敗だと確実に合格を得て、2月の都内入試につなげたい。合否の結果で受験校を変えるのが現実的。
 江戸川取手の合格発表は1/19だが、1/19には市川学園・専修大松戸とも出願は締め切っているので、受験料は無駄になるが両方出願する人もいる。調査書不要、通知票のコピーでOKという学校が多いので、小学校の先生との関係はあまり問題ないだろう。