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そっとしておいて欲しい

 これはマスコミへのお願いだが、国内のニュースでこれはそっとしておいて欲しかったことが二つある。第一は皇太子の談話とそれについての文書、第二は小学校6年の少女が友達を殺してしまった事件。

 皇室のこととなるとマスコミは、必要以上に大きく取り上げる傾向にないか。しかし皇太子の談話を聞いても、また帰国後の文書を見ても、これでよく判ったという人がおられるのだろうか。仮に判っても我々ではどうにもならない世界の話なのである。ということは、さっと報道すれば済むことなのである。それを誰方かの、それも何人かの話を並べて、これが本当の話として伝える。それが本当か嘘かの判断はつかないのに、新聞も、テレビも、雑誌も競って取り上げる。これは皇太子と雅子さまの問題、ご夫婦の問題なのである。皇太子の談話が引き金になったのではあるけれどが、マスコミがそれを取り上げたから文書で回答しなければならなくなったのではないか。それをそっとして、見守ることがマスコミにはできないのだろうか。

 小学生それも女の子が、自分の友達を殺してしまった事件、これが何かのはずみに死に至らしめた、のではなく殺す意思をもって殺した事件であった。どちらもパソコンを操作できる一般的な中流家庭の子女である。この事件には本当に吃驚した。まず12歳の子供が殺したいと考えたのは本当なのであろうか。それもホームページに自分のことを書かれたからだというから、まさに現代的である。二人ともパソコンを持っていなければ起きなかった事件なのだから、私には隔世の感がする。だから精神鑑定をすべきと言うが、それをしても何らの解決にはならない。はっきり言わして貰えるならば、子供の世界のことは大人には判らないのだから、これもそっと見守ってやって欲しい。

 教育関係者がいうのは「命の大切さ」を子供たちに教えることだ、と何かとってつけたようなことを言っているが、それをどう教えるのか、には触れていない。私は提案したいのは、学校で動物例えば兎とか鶏を飼って子供たちに面倒を見させること、鶏なら卵の孵化までできればして欲しい。夏休みにはどうするのか、など問題はあろうが、これらの動物の懸命に生きる姿をみて、命の問題を自然のうちに体得してもらうというのはどうであろうか。

 被害者の父親がマスコミ関係者であったこと、何も談話を発表することはないのに、同業の人のことを考えてしまったのだろう、これは余計なことであった。加害者の親の謝罪を受け付けないなど、その気持ちを全く考えていない。自分よりもっと吃驚したのは加害者の親なのである。それを考えたらこの事件も、後を追うのを止めてそっとしておいて欲しい。

(2004.6.12.)