B 27          異 常 気 象(2)

 12月5日、東京は24.5度という夏日に近い温度を記録し、観測史上最高の温度になった。これを異常と言わずに何というのだろうか。あと一ヶ月足らずでお正月である。NHKの気象情報によると、日本だけでなく世界的な異常らしい。米国西海岸のロサンゼルスでは季節はずれの雨が降っているとか。

 この異常気象は地球温暖化が原因であることは、最早論をまたないところであるが、その原因は二酸化炭素が地球を覆っていることに因ることは判然としていて、世界各国が地球環境の改善に努力しようとの会議が京都で開かれ、京都議定書と言われる協定を結んだのだが、二酸化炭素の放出は先進国、つまり産業の盛んな国が多く、農業国はエネルギーの消費が少ないから放出量も少ない。言葉を代えて言うならば地球環境を破壊し、温暖化の原因をつくっているのは、米国を始めとする先進工業国なのである。

 この京都議定書に最近ロシアが批准し、そのお蔭で来年早々の発効が確実になった。しかし米国は、この議定書の批准は国の産業界への影響が大きいとの理由で、批准しないと言明している。議定書が発効しても批准してなければ、それに従わなくてもよいのか、また従わなくても何かの懲罰を受けることはないのか、これは私には判らないけれど、米国の一国主義がこんなところにも顔を出している。

 もう一つ気になるのは中国である。いま素晴らしい経済発展をしているこの国のエネルギー消費量は当然爆発的に伸びていることだろう。だがこの国は議定書の規制を、私の記憶に間違いがなければ受けていない筈、それは協定された時に中国はまだ発展途上国と位置づけられたからと思うが、これからも経済大国はもちろんのこと、世界の各国で工業生産が伸びることはあっても衰退することはないように思う。従って規制の対象国は時とともに見直されなければならない。米国が何時までもこの協定の批准をしないことは、政府も産業界も天に唾しているとしか思えない。

 異常気象の原因は誰もが判っても、世界が足並みを揃えてこれを抑えることは容易なことではない。それは地球滅亡に繋がるかも知れない大問題なのだけれど、この現状をどのようなことで将来解決されるのか、悲しいことであるが私には全く想像がつかない。
(2004.12.05)