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民主党はどうなる

 国民年金保険のことから、菅さんが辞任し、小沢さんが代表かと思ったら立候補を辞退し、結局岡田幹事長が体表に就任した。これも筋書き通りにはならなかったが、岡田さんは幹事長としてそれまでの流れを熟知されていたし、まずまずの人事かと思った。 しかし案に相違したというのが実感である。

 新しい民主党に先ず驚いたのは牛歩戦術、これは正々堂々と戦う政党の姿ではない、過去の社会党の戦術、それよりひどかったのは副議長の散会宣言、副議長は第二党の民主党から出るのは慣例で、就任とともに党籍から外れることになっている。しかしこの副議長は「民主党から頼まれたからやった」と明言している。直ちに議長がそれを取り消したが、審議が再開されても民主党は欠席、だから与党だけの出席で国民年金法案は成立することになった。

 牛歩戦術といい、副議長まで巻き込んでの散会を、民主党は何のためにやったのか。政府と自民党に単に嫌がらせをしたに過ぎない。目的のために手段は選ばず、の勇ましさは判るけれど、その手段が目的を達することにならないのだから、始末が悪い。

 岡田さんは代表になって、早速小泉さんと対決したが、菅さんより迫力があったかどうかはいろいろな判断があろうが、代表が変わっても「打倒自民党、政権を目指す」の一本槍で、年金法の廃案を唱えてきた。にも拘わらず愚策を弄したばっかりに、審議の場である国会に欠席することになり、これは議員として最低の義務を怠り、廃案の目的を放棄してしまった。この一連の動きに岡田新代表には責任がある。

 サミットに首相が出席するので帰国したら「内閣不信任案を提出する」由であるが、これも単なるセレモニー、これが成功する筈は全くない。参議院選に備えてのことだろうが、民主党が単に自民党を攻めるだけでは勝ち目はない。岡田さんが代表になったから、政権を取れば、この人が首相になるのだが、岡田さんに首相をさせたいと本気で思っている人が何人いるのだろうか。

 民主党の口から、イラクの問題、財政の問題、失業率の問題などの党としての政策を余り聞いたことがない。聞いてもそれは自民党に反対するだけこと、政治は八方美人では済まされないから、政党としては独自の政策を立てることは大変なことである筈。恐らく民主党は政権を担当しても、それを官僚に頼ろうとするに違いない。過去に官僚を意の侭に使った政治家は何人いたのだろうか。民主党が政権を握ってもこのパターンはまず変わることはない。

 民主党が保守の二大政党の一翼を担うとの基本的な考えに、反対はしない。しかし現状では、それが何時になることやら見当もつかない。自民党に反対ばかりしていても、それに勝る政党に成長する筈がない。何度も書いたけれどこれは民主党が寄合世帯であることが、その原因ではないか。旧社会党の議員もおられるから、牛歩戦術が行われたのではないか。このことは民主党が体質改善を真剣に考えなければならないことを意味する。分裂を恐れずに二大政党を目指す新しい保守政党の核づくりを考えては如何だろうか。自民党からの移籍があるかも知れない、組合も赤旗を振る時代ではなくなっている。自民党のクローンではなく、新しい保守のあり方を考えるべきではないか。世論調査によれば、支持政党のない選挙民は大変な数である。公明党も何時かは自民党と別れるときが来るだろう(2004.6.8.)

し、共産党も党名を変えて,もっと保守に近づくことも考えられる。ソ連はロシアになり、G7に加わりG8になった時代だし、中国の変貌もご承知の通り、共産党の党名に何時までも固守していることもできなくなろう。民主党は国会の第2党として、このような情勢を踏まえて真剣に考えて欲しい。自民党を意識するのでなく自分の党の将来を見詰めることである