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北朝鮮のこと

拉致問題のことで北朝鮮は国民の注目を集めたが、この国ほど今の時代に不可解な国はない。ソ連は崩壊しロシアはG7に加わってG8になり、中国は今や世界経済の一翼を担う勢いである。つまりソ連も中国も自由国家と手を結び、世界の孤児から脱却してきたのに、北鮮は相変わらずである。それだけの力がないと言えばそれまでだが、それが身分不相応の核を持つて世界に脅威を与えようと考えた。しかし核爆弾は59年前に米国が広島と長崎に使っただけで、世界の人はこれが大きく使われればそれは地球の破滅に繋がることを知っているし、また小さく使えばそれは国家の破滅になると思っている。恐らく米国も最早使うことは出来ないと思っているに違いない。それなのに北鮮は核保有を誇示しそれが世界に通用すると思い込んでいるのだ。

8月20日の新聞に中国の専門誌に北鮮の批判論文が掲載されたとある。「中国には北鮮を全面的に支持する道義的な責任はない」というものである。6ヵ国協議の議長国として、北鮮のかたくなな態度を、何時までも見逃すことは出来ないということである。

日本は拉致問題に絡んで人道的な見地から食糧の支援を行っている。しかしこれに対して北鮮から感謝の言葉があったとは聞いていない。日本に頼んだ覚えがないということなのだろうが、この態度は肯けない。最も北鮮に一番食糧支援をしているのは米国だと思うが、にも拘わらず北鮮は「米国がわが国に対しての敵対意識を取り下げることが先決」と繰り返し述べ、食糧を貰っていることには一言も触れない。先の中国の論文でも「わが国がこれまでに行ってきた政治的支援と経済的支援に対し、いささか感激の気持ちを表さない」と述べている。

この論文で中国政府が北鮮への態度を直ぐに変えることはないだろうが、この論文が公表されたことの意味は決して小さくないと思う。北鮮はもっと世界に目を開いて考えなければ、それこそ世界の孤児になり、誰も助けてくれなくなることに気付くべきである。中国からも見放されたらどうなるのだろう。
(2004.8.20.)