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職業奉仕を理解しよう

 ロータリークラブにはいろいろな奉仕活動があるけれど、その中で職業奉仕が最も大切と言われるが、しかしクラブの会員で「職業奉仕とは」を理解している人は意外と少ない。私は地区の職業奉仕委員長を勤めたこともあって、別項で記したような「職業奉仕観」をまとめたが、これはあくまでも私の考えであるけれど、間違っていないと確信している。 多くの人は自分の職業は自分で選び決めた、と考えていると思う。それはそれでよいのだが、しかしロータリーにおける職業奉仕の原語は Vocational Service であり、 辞書によれば Vocation の訳の一つに天職とあり、単純に仕事を指すものでなく、「職業は神から与えられたもの」さらに言えば神に選ばれて人は職業に就いている、との宗教的なものがあると私は考えている。聖書には「神の前に真実に生きる」との言葉があるが、このような考え方に立つと、ローリーの綱領も四っのテストも肯けるのである。  
 この世に存在するどの職業も無駄なものはなく、人のため、社会のために役立つものである。と言うより、役立たねばならないものなのである。そのような考え、観念をもって我々は職業に励むべき、と説いているのがロータリーの職業奉仕なのである。従って職業奉仕の内容はその人によって異なり、千差万別であることはいうまでもない。同じ会社においても社長と社員は異なるし、民間人と公務員でも違うだろう。一人一人の職業奉仕の内容が違っても、それは当然なのである。  
 プロとはその職業で生計を立てている人のことを言う。ところがその職業の地位とか立場によって、利得を得ている者が見られるが、これらの人たちは自分の職業が世のため、人のためにあることを忘れてしまっているのである。公正取引委員会の摘発をみるとそれが、公務員、官僚、天下りの役員であるし、鋼鉄製橋梁工事での道路公団役員の行為が最近の目立った例である。また大手商社三井物産のディーゼル車排気ガス浄化装置のデータ捏造、これはもっての他と言いたいし、JR西日本の幹部、社員にも言いたい。これらの人たちにロータリーの職業奉仕の精神を知って欲しいと願いたくなる。  
 職業を持つ人全てがこの奉仕精神を理解し実践して貰うことになれば、どれだけ社会が明るくなることであろうか。
(2005.6.15)