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青山学院と校友

いま、気になっていることは、校友としてこれから母校にどのような考えで臨んだらよいかである。

私は母校の監事、校友会の役員(副会長を含め)を長く勤めてきたが、校友として母校と校友のことを考えるようになったのは、副会長を勤めてからである。副会長になった早々校友会は創立100周年を迎え、その記念祝賀会を高輪プリンスホテルで開いたが、当時正直なところ、この会に一体何人の校友が参加してくれるか、その予測すら出来なかった。会員に通知を出したくとも、校友会には一部を除き完全な名簿がない、勿論経費もない、それを救ってくれたのは中央支部をはじめとする地方支部の名簿、それと短大以下の同窓会であった。幸い校友の
懸命な努力のお陰で、800名以上の会員が集まり、創立100周年の行事は成功裡に終わった。それまで「青山の校友は母校に冷たい」と耳にしていたがそれは推測で、やれば校友の動員は出来るとの自信を持った。これが校友会再スタートの契機となったのだが、既にその日から10年の歳月が流れ、心ある校友の誰方もが校友会のこの間の発展を認めて下さっていると思う。大学にも同窓会が出来た、支部の数は海外を含め倍くらいに増えた、諸団体も新しく生まれたなど、校友の活動は多方面に渡って行われるようになった。
私はこのような組織の数の増加も大切と思うけれど、一人一の校友が、連帯意識と校友間の絆を高める努力をして欲しいと願うのである。
平成に入って、わが国の私学経営は次第に容易ならぬ環境になっている。その第一の要因は少子化にあるのだが、このために大学は勿論セカンダリーも、教育の質を如何に高めていくかが求められることになる。青山の場合は一貫教育による充実も検討課題であろう。こうした学校間の競争に青山が勝ち抜くために校友はどのように在るべきか、校友の中には豊富な経験と知恵を持つ人がおられるのだから、これらの校友はいろいろ提言を学院に述べてはどうか。
こう提言すると、教育に一般の校友は関与すべきでない、と

の言葉が返ってくるに違いない。しかし教育は社会のニーズに添うもの、そのニーズを生み出しているのは文部科学省の役人でも学校の教員でもなく日本の社会である。その社会に多くの有能な校友が活躍されておられる。校友に申し上げたいことは、教育分野には自分たちは立ち入れることが出来ない、と頭から考えないで頂きたい。これからの学校経営を健全化し安定化させていくためには、学院側の意識も変えて頂かねばならない面もあるが、青山学院の在り方を学院と校友の有識者とが一体となって話し合う場があってもいいのではないか。これは理想論であろうか。
この為には校友の意識も新たでなければならない。まず学院の実情を正しく理解すること、それに則って校友は学院の発展、存続にどのように貢献すべきなのか、財務面がばかりでなく校友が持っておられる能力、時間を学院の教育充実に活かすことはできないか。例えばいま大学の体育会活動はOB即ち校友の協力がなければ成り立たない、と言ったら言い過ぎだろうか。また卒業生の就職に努力している校友も多数おられると聞く。このような校友活動が何故もっと表面に出て来ないのか。その壁は何なのであろうか。社会の進歩は益々その速さを増すことになろう、そして職業
はさらに細分化され専門化していくに違いない。それに対応していく教育はどう在るべきか、私は時代に即した戦力の育成がこれからの教育には大切だと考えているが、もう一つ学生はどのような教育を求めているのか、を理解する必要はないか。仮に語学を徹底的に身につけたいとの学生には海外留学の道を開くとことは、考えられないだろうか。私学の競争がこれから激しくなり、それに勝ち抜くためには、そして青山学院の特色を生かしていくためには、教員、校友識者それに学生の声も含めて考える時ではないだろうか。

(2004.4.15.)

 

課外授業という番組がNHKテレビにある。主に小学校でが多いが、そこの先輩が母校行ってクラスで教える内容。これが子供たちにどのように受け取られているか判らないが、最近大学の教授がこれは中学であったか、科学に興味を持って貰うための授業をしたとのニュースがあった。青山なら理工学部の教授が初等部や中等部に行くのもよし、またそこの子供たちが相模
原キャンパスの理工学部の教室を見学するもよし、学内のことであるからその気になれば簡単に出来る筈である。
それを校友にまで拡げて行く。「NHKのニュースはどのように作られるのか」これを先生が教室で教えるよりも百聞は一見にしかず、で現場を見るのが一番、それを校友の力を借りて実現することは出来る筈。教育は教室で教科書によるものだけでなくもっと自由に、それに徳育、体育と併せて人間形成を重視するものでありたい。小学校では教員免許を持たないものは教えることばできないであろうが、それは課外なら許されるのではないか。団十郎が初等部などで歌舞伎の話をしてもよいではないか。青山の教育は大学から幼稚園までの先生方、それと校友有識者の全ての力を結集して行う、などとの考えは間違っているのだろうか。

(2004.4.19.)

新しい校友会に求められることは、私学の経営環境が厳しくなっていくことを前提に、校友の意識改革を進めることではないだろうか。学院が「生き残り戦争」に勝つために、校友会は

何をすべきか、ではないか。
まず頭に浮かぶのは寄付金、130周年記念の募金が行われるだろうが、それに対して、校友会としてその目標をつくって校友の組織に協力する、今までのように漫然と校友に呼び掛けるだけでは、効果がないことは歴然としている。そこで私案を述べると、

目標を2億円とする、その内訳は、大学同窓会 1億円、さゆり会、短大同窓会で3000万円、高等部、中等部、青盾会で2000万円、初等部、幼稚園で1000万円、支部3000万円、諸団体1000万円。この数字には確かな根拠はないけれど、このような募金計画は過去では無かったことであり、この計画を立てることに大きな意味がある。
第二は「校友会奨学基金」の設立である。校友会から毎年1000万円を積み立て、これに校友有志が5000万円を5年間で積み立てる、これで5年後には1億円の基金ができる。

 第三は同窓会を含めた校友組織の活性化である。従来の各部会にはそれぞれの学校から名目は違っても、代理徴収されているものがある。しかし支部、諸団体にはそのような資金が渡さ
れない、それを助成すめのか、貸与するのかの道をつくり、新たな校友組織の創設を促したい。

 第四は学生、生徒、児童に対して校友が出来ることはないか、の模索をしたい。学生の就職活動について、写真教室、短歌や俳句の教室、課外で校友と学生などとの接触の場はつくれない

ものか。

 第五は校友に対しての事業、例えば定例午餐会、校友による講演会、学院幹部との懇談会などは考えられないか、これは校友が母校に足を運ぶことを期待してのことである。オール青山

クリスマス祝会なども如何なものか。

 校友会の活動を基本的に見直すことでありたい。

(2004.4.20.)