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              NHKに申し上げる

「まっすぐ 真剣」これがNHKテレビの最近のキャッチフレーズであることはご承知であろう。どんなことからこの言葉を考えたのか。まずお伺いしたい。その動機が聴視料の不払いが表面化してからであることは間違いないが、それが何故「まっすぐ、真剣」なのか。私には幾ら考えても判らない。とくに真っ直ぐの意味が理解できなかったし、真剣は公共放送を真面目に果たしていく、と言うことなのだろうか。  

 テレビには視聴率があり、各局はその数字に神経を尖らしていることはご承知のとおり、恐らくNHKも例外ではないと思うが、その為か近頃の番組はその構成も、そしてその出演者も民放化してきたように思えて仕方がない。その最悪の例が「紅白歌合戦」の司会者に、みのもんた を起用したことだ、毎年大晦日では、民放がその紅白歌合戦の裏番組に苦労していると承知しているのに、民放で育った司会者を起用するとは吃驚、果たせるかなこの起用は不評であった。一口で言えばNHKらしくなくなったからであろう。  

 NHKはスポンサーを獲得する努力は必要ないのだから、豊富な資金を有効にどう使うかを考えるべきだ。全国に電波が届く施設も大切であろう、そして望みたいことは、日本の歴史の流れを将来のために残すこと、それも過去のニュースの再編成で纏めるようなものでなく、しっかり企画を立てて時間をかけて作成して欲しい、シルクロードもその一つなのだろうが、日本人の感覚でつくられた日本の歴史を伝える、それは「もの」でも「ひと」でもよい、そのテーマは数限りなくある筈である。  

 次にアナウサーの教育、民放のニュースキャスターは多年にわたって続けているのに反し、NHKは定期的に担当が変わる、そのこと自体は仕方がないと思うのだが、もっとしっかり正しい標準語(今は共通語という)を話せる人を養成して欲しい。イントネーションを間違えるのは当たり前、以前「白老」をハクロウと言った人がいて吃驚した。これは北海道の地名「シラオイ」だったのである。これで原稿の下読みもしっかりしていないことが判った。それにニュース放送で画面の下に流れるプロットの字の間違え、これはもう日常茶飯事になっている。こんな単純なミスを犯して何が真剣か、と伺いたくなる。  

 もう一つ、今や少子高齢化の時代、これは暫く続くのであるが、この配慮がない。若者を対象にしたものが多い中で放映される高齢者向き番組は、病気のこと、老人ホームのこと、食べ物のこと、などが多くて高齢者のための娯楽番組はまず見られない。いまBSも含めれば多くの電波を流しているのだから、その中の一つ、それも一日何時間に限ってもよいから、高齢者の見る「シルバーアワー」を設ける考えはないだろうか。  

「公共放送を将来に続けていくために皆様の公平なご負担をお願いたします」この言葉の方が「まっすぐ真剣に」より判り易い。しかし私はこんなキャッチフレーズを考えて流すより、多くの人というか国民に見て貰える番組をつくること、そして欲を言うならば世界の番組コンクールで注目されるものを目指して欲しい。それによって「流石にNHK」との声が多くなれば、聴視料は払って頂けるはずである。この聴視料は法律によって国民は支払う義務を負っていから、支払わないことは法律違反を犯していること。恐らく支払わない人はそれを承知している筈である。だから番組で勝負すれば自ずと視聴料は支払って頂ける。そのためにはまず職員の質をNHKらしく高めていくこと。そして公共放送はどのようにあるべきか、これをよく考えて欲しい。
(2006.1.30) 

 トリノの冬季オリンピックは独占しているようなもので、時差の関係で真夜中になるが中継で見ることができる。それで公共放送は有り難いと思うのだが、日本が見込んだメタルに中々届かないからか、「今度こそメタル」をアナウサーははしゃぎ過ぎていないか。それが選手に無言の圧力を与えていないか。声援するのはよい、しかしそこに品性を持って欲しかった。だから私は殆どオリンピック放送は見なかった。
(2006.2.22)