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永田議員の懲罰問題

 3月24日に衆議院で永田寿康議員の懲罰委員会が、一昨日に続き第2回が開かれたが、この日予ねて問題であった情報仲介者が「西村孝」であることを明らかにした。永田は偽情報を流してきた者を、最早庇う必要は無いと思ったので発表したと言う。ガセネタであることはとっくに判っていたのに、何故俄かにそのように思ったのか、不思議である。がこの西村はあくまでも情報提供者であって、メールの作成者というか情報作成者ではない。何故このような偽のメールを作ったのか、その目的は何であったのか、は判らない。永田はこの日も西村を頭から信じきっていた、と語った。  

 この西村はデュポンという雑誌の記者ということであるから、永田のためというよりその雑誌の声価を高めるために、世間の注目を浴びているライブドアの掘江社長と、自民党の武部幹事長を結んだスキャンダルを、メールの作成者とともに、でっち上げたのではないか。お粗末極まりない情報だったから、忽ちその裏付けのないことが自民党に判ってしまった。しかしその時は永田が予算委員会で大見得を切った後だったから、今度は永田に矛先がまわってしまった。  

 この質問について民主党の代表、野田国対委員長は事前に永田から聞いてOKを出していたようだ。それで国対委員長はその責を負って辞任したが、前原はその態度を明らかにしない。またこの日永田は公明党の大口氏、国民新党の綿貫氏から「議員を辞職すべきだ」と言われても、自分は既に民主党の処罰は受けている、この懲罰委員会の結論には従う、というばかりで、自分の意思で辞職するとは言わなかった。案外小泉さんが除名処分は議員にとっては死刑みたいなものだ、の声に望みを抱いているのかも知れない。
(2006.3.24)

 24日の委員会での永田への質疑応答は矢張り評判はよくなかったようで、この委員会は西村を来月4日に喚問することを決めた。10日後のことである。これは与党側が既に永田の懲罰を急がない、結論は既に決まっているとの態度とみた。民主党に下駄を預けたとも言えるが、さてどうなるか。民主党では責任をとって辞職した野田国対委員長の後に据わった渡部氏は、就任以来一貫して「永田の議員辞職」を公けにしている。となると辞職に難色を示しているのは誰か、前原か鳩山か、と言われても仕方がない。それが10日後の委員会まで続くのだから、党としても大変なことだろう。  

 西村喚問と簡単にいっているが、ご本人の住所が判っていないとか、ご本人が喚問に応ずるかどうかも、はっきりしていない。一方民主党内にはこの問題の検証チームがあって、その結論を待っていることもあり、情勢としてこの問題の結論は、まだまだ先のことになりそうだ。私はそれが遅くなればなる程民主党には不利になると考えており、永田の議員辞職は現実化してくると推測している。
(2006.3.25)

 ついに民主党は前原代表以下執行部全員が退陣することを決めた。この日になったのは民主党の検証チームの報告で、代表に対する批判が強いことを察知したのかも知れないが、前原はこれで永田に心中を迫ったのだろう。流石にこれで永田も議員辞職の届を提出した。そうなれば懲罰委員会は必要なくなるし、西村喚問もないことになり、このメール問題の真相は我々には判らない侭に終わることになってしまった。

 この問題は前にも書いたが、武部幹事長攻撃の絶好の材料と思い込んだ永田の一人芝居であったわけで、その永田を信頼して党首会談で前原は小泉さんに迫ったが、「そのメールが本物であるとの証拠を示しなさい」といなされている。この時既に自民党は偽物だとの証拠を握っていたに違いない。この時点で民主党は負けたのだが、それからの前原は未練があったのか、引き伸ばしを続けたが、最後は党内の反発に負けたのだから情けない結末であった。

(2006.3.31.)