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盗作絵画が大臣賞  

 洋画家の和田義彦氏は芸術選奨文部科学大臣賞を受けたが、受賞作品がイタリアの画家アルベルト・スギ氏の作品 に酷似していると報じられた。その夫々の写真を見ると、我々素人はこれは盗作としか言いようがない思った。それも1点 ではなく数点もあるのだから、意図的と言わざるを得ない。  

 大臣賞を受ける画家がこのような作品を描いたとは信じられないが、芸術作品は創作することに価値があり、模作 には価値がないことぐらい本人が一番よく承知している筈である。その模作品が大臣賞、私はまずこの作品を大臣賞 に選んだ選考委員にその責任を問いたい。  

 ところがもっと驚いたのはNHKテレビだと思うが,ご本人に直接取材したのによると盗作を真っ向から否定して いる。和田氏は「自分の作品はスギ氏に敬意を捧げたもので、展示の時にもそう明記している」という。敬意を捧げ れば模作も許されるのか、であり勿論納得は出来ない。マスコミではスギ氏は「そんな話は聞いていない」と述べて いると言う。私は和田氏は模作したと思っているが、世間の話題になってもこれを否定する感覚に怒りさえ覚える。 何を考えているのか、お前は芸術家なのか、よくもこのような作品を発表できたものだ。  

 今の日本には人としてやってはならないことを、当然のように行われていることが多い。耐震偽装もそうであるが、この和田氏 も「やってはいけないことをした」ことでは同じである。モラルの無さを嘆くしかない。
(2006.5.31)  

 和田氏が所属する国画会では緊急の会合を開いて、氏に退会の勧告をすることを決めたが、これに従わなければ除名 するという厳しいものである。会は芸術家としての良心を問うたものと理解する。国画会という専門家の団体が「模作」 と判断したのだから、和田氏を大臣賞に選んだ選考委員は、この会の勧告を是とするのか、和田氏の言い分を是とする のか、になってしまった。その結論を見守りたい。  

 その後の報道では文化庁が和田氏から意見を聞き、またスギ氏の意見を取り寄せて本人に伝えた由、しかしそこでも 和田氏は盗作ではないと主張しているようだ。また国画会からの勧告には、自発的に退会の意向を述べたようだが、 これはまだ不確実の話、もうここまできたら、国画会は除名以外に採る道はないだろう。(この後の報道ではご本人が 自発的に退会した、とある。)

 何故和田氏は文化庁で頭を下げなかったのか。盗作ではないと言い張れば言い張るほど世間から葬られると私は思うの だが。私は文化庁に和田氏の大臣賞を取り消して頂くよう、お願いしたい。
(2006.6.1) 

 ついに和田氏は「作品は社会通念上盗作と言われても仕方がない」と語った。何故今になって謝るのか、自分では模作ではないと思っていたからなのか、それが正しければ、模作がどうかは作者の主観で決められることになり、客観性はないことになる。こうなったら著作権などは必要なくなってしまう。

 さて、大臣賞に推薦した方達の感想を伺いたい。世界に著名な絵画の作品は幾つくらいあるのか判らないけれど、膨大なものであることは想像できる。しかしこの作品に賞が与えられて直ぐに盗作でぱないか、と言われたのだから、、知る人は知っていたのであり、可なり著名であったと思われる。本人も「仕方がない」といっているのだから、文化庁も早く取り消しを決めたほうがよい。そしてスギしに対しても不明を謝罪すべきである。

(2006,6,5,)

これを書いたあと、文化庁が賞の取り消しを決めたと発表した。芸術選賞が発足して56年になるが、勿論初めての失態であった。この決定には審査員7名のうち4名が欠席して開かれたと報じられているが、これをどのように受け止めればいいのか、この7名全員に明確な責任を取ってもらいたい。文化庁も同罪、所管の大臣が謝罪の談話を発表しても当然なことなのである。

(2006.6.5.)