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順法教育とは  

 ある新聞を読んで納得出来ない内容にぶつかった。それは堀江、村上のような人間がこの社会に生まれたのは、彼らに対しての順法教育を怠ったツケだと断じている記事である。単純に読むとこのような人間が出てきたのは国の教育の怠慢の所為と思ってしまう。  
 私は法科の出身ではないから、法律を深く学んだことはないが、順法とは法律を守ること、と理解しているが学生時代を振り返っても「法律を守りなさい」を教えて貰った記憶はない。国民として国の決めた法律には従う、それはこの社会で生きる限り、最低の務めであると思っている。それは他から教えて貰うことでなく、人として成長していく中で身に付けていくものだと思う。  
 堀江や村上が法律をすれすれに潜り抜けて、莫大な資金をつくりそれを利用してニッポン放送、阪神電鉄に手を出したことが社会問題になり、彼らの思惑は外れたし、法律を犯したと摘発されて拘束される羽目になった。しかし現在この二人は3億円、5億円の保釈金を払って社会に戻っている。裁判所は保釈金の額を一桁間違えたのではないか、彼らが容易に支払いできる額では意味がないではないか。裁判所が「人権を守る」ことで決めたのであれば、これは甘すぎる。彼らを社会に戻せば、表面に出ないで法律を犯す、ことぐらい判らないのか、と言いたい。  
 彼らが法律を守らないのは国の教育が悪い、この頃は何でも国の責任になってしまう。建築偽装事件はこれから被害者が裁判所に提訴することになろうが、恐らく訴えられるのは建築士、建築業者そして販売業者これに加えて自治体もしくは国となろう。安全偽装設計を考えたのは業者、それに乗ったのは建築士、しかし最終に認可したのは自治体である。法律を守らなかったのは建築士、それを見抜けなかった自治体、初めから法律を守る気持ちのない者を含めて「国の教育の所為」ということは筋違いではないだろうか。堀江も村上も同じことではないか。
(2006.6.27.)