Y21 北朝鮮ミサイル発射 7月5日の早朝、北朝鮮がミサイルを日本海に向け6発発射した。政府は安全保障会議を、関係官庁もそれぞれで会議が行われた。このミサイルがもし日本に向けて発射されていれば、日本の何処かに落ちていたであろう。 北鮮に対しての経済制裁を望む声を聞くが、目に見える措置として客船万景峰号の入港を半年間禁止した。その他の制裁といえば貿易であろうが、統計によると昨年度の貿易は輸出入で200億円余り、この額が大きいか小さいかの判断はお任せするが、仮にこれがゼロになっても日本にとって影響がないことは確かである。次は人の交流の制限、北鮮の人の入国と日本人の北鮮への渡航を禁止、そして送金の禁止などが考えられるが、これに従わない人への厳罰も考えておかなければならない。中国に遠慮しないで強い姿勢で政府は臨んで欲しい。 今度の事件で日本国民は自衛隊の存在を見直したのではないか。発射されたミサイルは日本に届くものであったことが明らかになった。そして日本にはミサイルを迎撃ができる体制は出来ていない。言葉を代えて言えばこの北朝鮮の軍備力に全く無防備なのである。日本は戦争に負けて「戦争を放棄」し、核兵器を持つことも放棄したのである。これが悪かったとはいわないが、戦後60年にもなって、国を自分の力で守ることをしようとしないことを自慢できるとも思えない。「平和、平和」の呪文だけでいいのだろうか。今は米国の力に頼るしかないが、それに何時までも甘えていてはならない。専守防衛でよいから自衛隊が国と国民を守れる体制の整備を考える時がきた。 日本の外交の弱をいう人がいるが、そもそも外交は経済力と軍事力がまずモノをいうのだから、この二つの力が揃って日本にあるとは到底言えない。戦後は米国の庇護があったので軍備に大きな資金を使わずに済んだお蔭で、経済力は大国に比肩するまでに成長した。最近の中国の台頭は経済力がついたからで、軍事力はもともとあった。航空戦力は判らないけれど、ミサイル、核兵器は着々と整えているに違いない。しかしその力を誇示するような愚挙は恐らくしないであろう。 中国は北朝鮮の説得に失敗したようだ。それで中国は改めて安保理決議案を提示するという、つまりその内容は議長声明と概ね同じであるが、拘束力のある安保理決議とするというものらしい。中国が決議に踏み切ったのは米国を意識してのことであろうが、この中国決議案の内容が明らかにならない段階では何も言うべきことはない。しかしミサイル発射、核保有の放棄が示され、北鮮の経済援助の配慮などが盛り込められれば、案外決まるかもしれないが、これによって北鮮問題はこれから中国に主導権を握られることになり、金正日政権の打倒を目指す米国には我慢が出来ないことに繋がる。 しかし米国が承知すれば日本はこれに従うことになる。常任理事国ではないのだから止む無しと考えるか、日本外交の限界と考えるか、であるが、この中国案で北朝鮮から核兵器がなくなるのなら、その辺りで今回は妥協してはどうだろうか。 対北朝鮮決議案について、日米と中露の案が平行線を辿ってどうなることか、と思ったが、幸い英仏が妥協的な決議案を示し、これに中露が了承し、米国も応じたので日本もこれに従うことにしたので、安保理はこの英仏案が全会一致で採択されることになった。内容として日本としては不満はあるだろうが、議長声明でなく決議になったのだから、これで北鮮の反応をみることになる。中露も賛成した決議だから、北鮮は木で鼻でくくるようなことは出来ないと思う。 G8のサミットが控えていただけに、このような桃色の決議になったという見方もあるだろうが、私は直接的な影響は受けないだろうが、北鮮は一歩孤立化に追われたと見る。北鮮のことだからこの決議に対して声明を出すだろうが、その内容に関心を持つ。 果たせるかな北朝鮮はこの安保理決議案を「全面拒否」した。声明としてでなくその理事会の席上で北鮮代表が述べて席を立ったとのこと。全面拒否だからミサイルの開発は進めるし、核の放棄はしないという意思表示、中露を含めた全会一致の議決案を全面拒否したのだから、これは国連加盟国としては行き過ぎた行動ではなかったか。これからどうなるのか、判らないけれど、困った国が東アジアにあることを改めて認識させられた。 G8サミットで小泉さんは北朝鮮のミサイル、核保有、それに拉致問題まで含めて、これは世界の平和と安定に関わる問題として討議を求め、幸い各国はこれに同意したので、今度のサミットの締めくくりしての議長(プーチン大統領)総括の中にこの北鮮問題が織り込まれることになった。小泉さんご苦労様でした。これで安保理の決議案は桃色ではあったけれど、G8サミットで正式に取り上げられ、日本として一応の成果を得たと考えてよいのてはないか。決して甘く考える積もりはないが、金正日を相手にしている問題なのだから、状勢を読みながらこれから一歩一歩前進するより他はない。 |