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高校野球あれこれ  

 この夏は暇ができたお蔭でテレビで高校野球を見ることが多くなった。まず驚いたことは本塁打が多いこと、これは選手の体格がよくなっているからなのか、それは判らないが、私と同じ身長(165cm)の選手は画面では誠に小柄に見える。180cmの選手がいるのだから当然であるが、テレビの画面でバックスクリーンからホームベースを映しているとき、キャッチャーが立ち上がると、審判員はその選手の後ろに入って全く映らない。一試合で7本の本塁打、これで本塁打の大会新記録が出ることは確実、これは投手力が全体に弱く、打力が強いことなのだろう。打撃戦になれば見ている者には面白い、最終回で逆転勝ちもあったが、これで負けた方の選手の気持ちは察して余りある。  
 試合が終ると勝ったチームの校歌が流れるが、それには作詞、作曲者の名も出る。それを何気なくみていたら、どこの学校か忘れたが、「土岐善麿作詞 信時潔作曲」というのがあり、また「北原白秋作詞、山田耕筰作曲」というのもあった。何れも長い歴史をもつ高校であろうが、今の高校生にこの歌の言葉の意味が判るだろうかと、気になった。しかしこの校歌を歌った先輩は数限りないだろうから、この校歌を改めることは、まず、ないであろう。  
 監督は選手を何と呼ぶか。案外多いのが「うちの子供たち」、うちの選手と呼ぶべきか、それとも子供でいいではないか、分かれるところであろう。子供と呼んでいる監督は或いは「親父さん」と呼ばれているのかもしれないが、私にはこの方が親しめる、その野球部のムードが感じられるのである。「うちの子供たちはよう頑張ったよ」この方が「選手はよく頑張った」より人間味を感じませんか。こう書いてみたが、私には「親父さん」と呼ばれたことが、この年齢になっても、全くない。私にはそう呼ばれる人間味がないのであろうか。
(2006.8.18)  

 決勝は3年連続優勝を狙う南北海道の駒沢大学苫小牧高校と西東京の早稲田実業、これに勝てば全国4112校の頂点に立つ。この試合は今までと異なって、全くの投手戦、8回にぞれぞれ1点を入れその侭15回まで進み、規定により引き分け再試合になった。この炎熱下で4時間半戦った選手諸君に大きな拍手を送る。苫小牧の田中投手、早稲田の斎藤投手、ともに素晴らしい根性を持っている。それを育てたのは野球、スポーツなのだ。学問を疎かにしてもよいとは言わないが、スポーツは教室では得られない何かを教えてくれる。この試合を戦った両校の選手は一生この日を忘れないだろう。
(2006.8.20)  

 37年ぶりの決勝再試合は早稲田実業が4対3で勝って、夏の高校野球で初優勝を果たした。この大会は中等野球として球場も甲子園でなく名古屋に近い鳴海球場で始まったと聞いている。今年は第88回であるが、戦時中には行われなかったから、第1回からは90年以上たっていると思われる。甲子園球場はその時にはまだなかった。早稲田実業は第1回から出ている由だから初優勝の重みに格別なものがあろう。王貞治、荒木大輔の先輩も準優勝であったのだから。  この再試合もテレビで見てしまったが、斎藤、田中両投手の頑張りには吃驚した。こんな若者が日本にもいることが嬉しかった。
(2006.8.21)