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北朝鮮の核実験  

 国連の安保理が北朝鮮の核開発についての非難決議をしたことで、今度は核実験に踏み切ると言いだした。途端に世界の各国から非難の声が上がったが、お隣の韓国は今まで同じ民族との立場であろう、融和の立場であったが、流石に態度を変えざるを得ないことになりそうだ。米国の実験は広大な砂漠での地下実験だが、どのような実験が行われるのか、同じ半島の中だから、心配は深刻であろう。  

 6ヶ国協議でも中国、ロシアは北鮮寄り、米国と日本が対抗し、韓国は中間と見ていたのだが、核実験があれば本当に孤立してしまうことにならないか。北鮮は米国との話し合いを引き出すための手段と考えているようだが、果たしてそのようになるのだろうか。逆に米国は経済的な制裁を強める可能性があることもあり得るのである。それを承知で実験をするぞ、言っているのだから始末が悪い。  

 ここで注目することは、中国とロシアの出方である。まさか直ちに経済制裁はないと思うけれど、このどちらかの国から「実験はするな」と言われたらどうする積もりなのだろうか。米国も日本もこの両国とはきちんとした外交関係を維持しているし、その上米国、ロシア、中国は安保理の常任理事国であるので、その立場も考慮しての判断になるから、北鮮の実験を簡単に容認する筈が無い。こんなことは北鮮も承知していると思われるのに、この強気の発言は何なのであろうか。  

 安倍さんが中国と韓国に赴き首脳会談が行われるが、この席でも核実験問題は話し合われるであろう。拉致問題といい、核実験といい、世界の鼻つまみになっている北鮮、この問題は世界の注目を浴びているだけに、安倍さん頑張って下さい。
(2006.10.5.)

 北朝鮮は10月9日午前に核実験を行い、安全裡に成功したと発表した。安倍さんが中国から韓国に移動している時でったから、皮肉なことであったが、安倍さんにとっては絶好な時に両国を訪問したとも言える。米国は勿論、日本も今後も厳しい態度で臨むことになろうが、中国も困った立場になったし、韓国は融和策で臨んできただけに、裏切られた気持ちだろう。ロシアも地震計でこの爆発を確認したと発表した。ここまで来れば北朝鮮での核実験は確実に行われたと見るべきであろう。核実験の成功は起爆装置が作動できることであり、核爆弾が使えることを示したものである。

 これで北朝鮮は益々孤立化するであろうし、国連の中ではどちらを向いても敵ばかりになってしまった。イランもイラクもここまでは踏み切れなかったのに、この国はどうなって行くのだろうか。私は本来なら嫌だが、この国だけにはクーデタが起きて欲しい。

(2006.10.9.)

 北朝鮮の政府発表は米国をはじめとする各国へのデモンストレーションだから、その発表通りに受け止められない、さらには「本当に実験をしたとの確証はない」と現段階では言われているけれど、それはさておき、その発表の一部を記しておこう。

 「科学的計画と綿密な計算によって行われた今回の核実験では、放射能漏れのような危険が全く無かったことが確認された。核実験は100%我々の知恵と技術に依拠して行われたもので、強力な自衛的国防力を渇望してきたわが軍と人民に、大きな励ましと喜びを抱かせた歴史的な事件である。」

 まず自衛的国防力の言葉があるが、開発した原爆を攻撃には使わない、という保証はない。だからこれは隠れ蓑、しかしこの開発を自国の努力で行ってきたことを強調している。こんなことは当たり前と思うのだが、それを敢えて示したのは、国内向けにであろう。人民の生活を犠牲にして開発してきたのだから、これも当たり前なのだろう。

 この実験を行ったという北鮮の発表に我が国でもいろいろと言われている。その一つにウラニウムなのか、プルトニウムなのかがあるが、大方の意見はウラニウムである。これが正しいとすれば、北鮮の技術は可なり高度とみてよいのではないか。となると日本や韓国の脅威は大変なものと言わねばならない。国連の決議もあることであり、今後の世界各国がどうでるか。注目しよう。

 ここで一つ付け加えておきたい。それは核爆発が行える国は米国、ロシアを始めとし印度、パキスタンを加えた7ヶ国と承知しているが、北鮮はその8番目を狙っているのではないか。調べてみなければ判らないが、パキスタンが核を保有したとき、今回の北鮮のような国連安保理で、制裁だというような議論がなかったのではないか。それで北鮮は「パキスタンが認められるなら我々も認められるべき」の考えがあったのではないか。しかしその思惑は全く外れ各国からの制裁は、中国さえも前向きになって北線は戸惑っているかもしれない。

 北鮮の核がこれだけ非難されるのは、この国が金正日体制であること、世界の孤児といわれる国であることと、その指導者に信頼がないことに因る。まさに気狂いに刃物と周囲は考えるから大きな騒ぎになっていると思っている。焦点は核とともに北鮮の政治体制にあるのだが、しかしこの政治体制を正面から攻めることはできないから、この点も注目したい。

(2006.10.10.)