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日中・日韓首脳会談  

 安倍首相は就任して1ヶ月も立たないうちに中国と韓国を訪れた。今までのこれらの国の状況から、容易には実現しないと思っていたのが、私の予想に反して安倍さんは堂々とこれらの国に乗り込んだ。  
 まず何故中国は安倍さんを迎えたのか。小泉さんなら恐らく迎えられなかったであろう、しかも安倍さんは「靖国参拝はしない」と、一言も言っていない。参拝の可能性はあるのだが、中国は正式に「歴史観の相違」を盾に拒むことをしなかった。これには何か裏があると思うのだが、私流の考えは次のようになる。   
 まず中国の現在の驚異的な経済発展は、日本の工業技術に負っているところがあるが、それも限界にきているのではないか。仮に自動車を例にみても、その生産力には大きな差がある。中国がそれに追いつく為にはまず道路網の建設があり、そのための機材も生産されなければならない。いま中国が外貨を獲得しているのは、繊維製品ではないだろうか。つまり軽工業が中心で重工業はこれからだと見る。中国はそれらの技術をまさか米国に頼れないから、日本ということになるのだが、小泉さんの靖国参拝を契機に民衆は反日デモを起した。その理由が70年も昔のこと、つまり歴史観の相違だった。私の独断かも知れないが、経済界は日本から大量生産のノウハウが欲しい、しかし民衆の中には日本から学ぶことを拒否する空気が根強い、それが靖国参拝に結ばれたのではないか。  
 そんな時に安倍首相の誕生で、中国も首脳会談に応じて新しい道の模索を始めようとしているのではないか。これは日本にとっても100%マイナスではないし、隣国との友好は喜ぶべきだし、また北鮮問題にも関わってくる。  
 安倍さんは中国を訪れて、ホームランとまではいかなくとも、ヒットを飛ばしたことは評価したい。 (2006.10.9)