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 スマトラ島沖地震と津波

昨年の暮れ近くの12月26日、スマトラ島沖でマグニチュード9.1という、とてつもない大地震が発生し、これに伴う津波はインドネシア、タイ、スリランカ、印度、そして遠くアフリカにまで達した。その日からもう3週間が経過しているのに、その災害によって亡くなったと思われる不明者の数はまだ正確には判っていないし、また怪我された人たちの手当ても満足に行われていない。

 我々の常識から考えると「一体何をやっているんだ」と言いたくなるのだが、その後の報道をみていると、その状況は我々の想像を絶するものであったようだ。9.1という地震の凄さも判らないし、波高30メートルという津波、海抜1メートルの島が完全に海水で覆われた、このようなことは全く私には想像もできない。このような広い地域の災害に対しての復興援助は容易ではないことだろうし、その復興には相当の時間が掛かることであろう。 我が国での新潟中越地震で津波を伴わなかったことは、幸いであったと思う。それはこのスマトラ島地震の被害をみると、地震そのものより、これによって起きた津波の被害の方が遥かに大きかったからである。

  しかし被害を受けた国やその国民が津波に対して、全くといえる程無知であったのには驚いた。津波の状況をビデオでアマチュアが撮ったものが公開されたが、沖に大きな波が陸に向かって押寄せているのに、まだ海岸には何人の人たちが歩いている姿があった。逃げる高台のない島であるから、ここに写っていた人たちは命を失ったのではないかと思う。誰も「避難しなさい」と伝えなかったのか、こんなことで、私はこの災害は天災ではなく人災だ考えているのだが、全く現地におられる方たちはお気の毒なことであった。 この地震・津波の災害の現状がテレビや新聞で毎日報道されているが、最近はそれを視る気も読む気にもならなくなった。直視するには余りにも悲惨、昔日本では戦災孤児という言葉があったが、これらの国では「津波孤児」が生まれることになりそうな状態なのだ。

 この災害の犠牲者は16万人を超えたと報じられているが、この数は比較するのは不見識かもしれないが、60年前の東京大空襲よりも多くなっているのではないか。 これらの国に世界各国から資金、医療品、そして救援活動に従事する人が送られているが、本当の復興には何年掛かるのか、恐らく誰も予想できないであろう。経済力のない国でのことであり、この先行きは思いやられるが、さて私には何ができるのだろうか。ささやかな義援金を送る以外に情けないことだが何もできそうにない。災害から幸い免れた方たちのご健闘を祈るだけである。
(2005.1.15)