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中国という国 は  

 中国と我々が呼んでいるのは、アジア大陸に存在し共産党が支配する国、正式の国名は中華人民共和国と言うのだろうが、我々は台湾を含まない地域をその様に呼んでいるように思う。15億の人口、それも正しい数なのかどうかは判らないい。
 この国の歴史は日本よりも遥かに古いし、その昔日本はこの国の文化に多くのことを教えられた。漢字という言葉を見てもそれは判る。ということはこの民族は素晴らしい文化を古くから持ち伝えてきたのである。  
 その中国と日本は日清戦争、支那事変と大きな戦争を戦っている。最初の戦争で勝って、台湾を獲得したりしたために、日本人は中国人、当時の支那人を下に見るようになってしまった。私の子供のころ「チャンコロ」という蔑称さえあった。もう一つ阿片戦争があり、その結果上海には外国人の租界地域がつくられたり、文化大国中国にとって屈辱的な期間があった。 それが日本が太平洋戦争に負けてみると、その中国は戦勝国になった。まさに大逆転である。恐らく日本人の大部分はこの戦争は原爆に負けたのであって、中国に負けたとの意識は持たなかったと思う。それから60年の時が流れた。  
 今日、米国が貿易収支で最大の赤字を出しているのが対中国である。日本は第2位になったのだが、ここ数年中国の経済成長率はすざまじく、それにドルと元が固定レートであることもあってか、この様な数字になった。負け惜しみを言うわけではないが、中国人は商売の上手な民族だから、安い人件費で作れる品を売って儲けることに力を惜しまないに違いない。それが貿易収支の大幅な黒字に繋がっているのだが、それらの利益を懐に入れているのは極く一部の人であろう。これによって国民の貧富の差は大きくなっているに違いない。それで貧しい人の一部は中国から日本に密入国し、麻薬を持ち込むとか、強盗を働くかをしていることは、ご承知の通りである。日本には多くの金持ちの企業や人がいるように彼らには見えるらしい。  
 この逆を考えてみよう。日本で食べられなくなった日本人が中国に渡って強盗を働くだろうか。まず私には考えられないが、それは何故だろう。第一に考えられることは、中国の貧乏と日本の貧乏との差があること、第二は中国には日本人に向く働く場がないからかも知れない。また日本には社会保障があるからかも知れない。これを思うと、社会主義の国の方が本来なら、しっかりこの保障制度は出来ているのではないかと思うのだが。  
 最近中国で金融機関の預金が紛失する事件があった。キャッシュカードを使ってのなどという生易しいものでなく、銀行の行員が行ったものらしく日本円に換算するとなんと何百億単位で、うち250億円は回収不能という。勿論現地では事件になっているから、関係者は送検されているのだが、ワイロに1億円が使われたとか、犯人は海外に逃亡したとかと報じられ、大変な事件のようだ。こういうことを知ると、中国は強い政治力で国を統治していたのが、次第に経済力が政治力を上回り始めたように思える。もともと中国には華僑という人たちがいて、中国外の地域で経済を支配していることはよく知られている。中国人の血にはそのような素質が流れていると考えると、このような大きな犯罪があっても不思議ではない。が如何に国家権力が強くてもこの広大な国で、こうした犯罪対策は十分行き届かないだろうし、それにワイロに弱い人もいるだろうし、経済力が強くなれば、その規模も大きくなる。そうした状況で何時までも一党支配で政治は保たれるのだろうか。私はこの侭では政治と経済が分離していくのではないか、と思うのだが如何であろうか。そして貧富の格差は、経済産業は栄えても農業は足踏みするから、容易には解消されないどころか益々拡大するあるように思える。  
 このようなことは中国も判っていると思うから、今後国は規制と管理を強化するだろう、一党支配の国であるから、日本のように法律を作り、議会の承認を得るなどとの手続きはないから、直ぐに実施できる。経済的な国内犯罪は何れ海外からの批判になり、それが産業に影響すれば貿易に忽ち影響し信頼の失墜に繋がりかねない。しかし規制や管理の強化だけで犯罪は押さえられるのか、あの広い国土に取締りの人を配置できるのか。経済力が大きくなったことで中国は新しい悩みを抱えることになるが、これが新しい中国への転換になればと願う。  
 しかし15億と言われる人口は生産にも消費にも大きな力であることは変わりはない。我々はこの中国の姿を長い目で注目しなければならない。
(2005.2.20.)