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ニッポン放送の問題(2)  

 東京高裁の決定は予想通り地裁と同じでライブドア側の勝利になった。そしてニッポン放送は最高裁への抗告を断念、これでニッポン放送は、ライブドアの経営傘下になることが確定的になった。  
 ニッポン放送にとって今度のライブドアが行った株式の取得は、突然に起こった悪夢であったろう。しかしまだ終わったわけではない。前にも記したがマスメディアというのは人のする仕事、即ち企画取材、原稿執筆、編集構成などが言葉でつくられ、テレビではこれに画像が加わるのだが、これらに従事する人が堀江氏に信頼感を持たなければ、本当の仕事はできない、その上この仕事はチームワーク、もし誰か一人が反堀江ならば、よい作品は作れない。  
 堀江氏は「番組は買えばよい」と言ったとか、まさかと思うけれど、もしこれが本音なら彼にはマスコミに手をつける資格はない。奥田日経連会長が、「金さえあれば何でもできるというのは日本社会で一番まずい話」と断じていることに注目したい。今までこの問題のやりとりは株式が中心で、ライブドアは時間外取引で大量に入手し、ニッポン放送は新株予約権をフジテレビに、になって、それが裁判所では一般株主を擁護する立場で判断を下して、ライブドアの勝利になっている。そこに今度はソフトバンクが現れた。この会社もライブドアと大同小異の会社と思うが、この泥試合は何時までも続きそうとの見地からその仲裁をしようということか。このソフトバンクはプロ野球の福岡ダイエイホークスを引き取った会社であり、相当の資金を運用できる会社で、フジテレビは「毒には毒を以って制す」の作戦かもしれない。どこまでも株式で争うのでなく、話合いでの解決をそろそろ考えるべきで、このソフトバンクの北尾社長が適任かどうか判らないが、一つの前進は期待したい。もしそれが出来ないというのは、或いはニッポン放送の従業員が堀江社長忌避を鮮明にしているからか、或いは北尾氏がフジテレビに近い存在と見なされているからなのか、何れにしても「ニッポン放送側は、放送が出来なくなる状態にすることは避けなければならない」とのことがあり、この会談は実現して欲しい。この当事者北尾、堀江会談は28日に行われるようで、取り合えずはこれを注目したい。
(2005.3.25)
 28日の会談は堀江氏がキャンセルして中止になってしまった。その理由について堀江氏は語らなかったが、どうやらこれでこの問題は水面下の話し合いになることになりそうだ。堀江氏がキャンセルしたのは、北尾氏と話合ってもいい結果は期待できないと、考えたからであろう。しかし私の印象としては、これからはフジ・サンケイグループの主導で解決に向け進められるような気がする。勿論その内容はテレビにも新聞にも報道されることはない。私は俄かに堀江氏が沈黙を守ったのが気になる。
(2005.3.28)
 30日付けの夕刊に掘江氏がニッポン放送社長の亀淵氏と29日に会談したと報じている。しかしその会談の内容と結果については一切書かれていない。つまりこの日の会談では何も合意がなかった、それぞれの主張が平行線であった、ということになる。どういう点が平行線であったのかを想像してみると、堀江氏はインターネットとラジオの提携は双方に利益がある、に対して亀淵氏は納得しなかったのであろう。 このようなことが報道され、どちらもコメントを出していないことは、裏工作が行われていることを物語っている。今後余程のこが無い限りこのニッポン放送問題は、紙面から姿を消すことであろう。
(2005.3.30)