Z09

郵政の民営化は  

 平成17年度の予算審議が終わって国会は新しい動きになってきた。年金問題もあるが、大きく注目されているのが、郵政民営化である。この法案はこの国会で成立させることは政府も党も考えていないが、この法案を政府は与党に示してこの国会で提案し、そして年度内に成立できるかどうかになってきた。これは与党が野党との話し合いを始めるのでなく、政府が与党とすることになるのだから、話しは穏やかではない。小泉首相は法案の提出を政府と自民党幹部に厳命しているようであるが、果たして政府与党の一本化はできるのだろうか。  
 31日に小泉首相は 青木自民党参議院会長を訪ね、その後中川自民党国会対策委員長をも訪ね、さらに森前首相にも電話している。この小泉さんの動きは何を意味するのだろうか。これは、とにかく政府案をまとめて提示するから、党はそれに添って執行部一任を取り付けて欲しい、ということに他ならない。  
 本来ならば自民党の了承を得て政府案は提案されるのに、そのルールを無視しても郵政民営化は進めるというのが小泉さんの意思と受け止めるが、そんなことが出来るのだろうか。政府が党に押し切られたら小泉内閣は退陣、また党が政府に譲歩すれば自民党は分裂、の事態も起こりかねない。これは民主党にとっては「待ってました」になるから、どこかに政府と党の妥協点はあるとの読みが、小泉さんにあるのだろう。  
 何故小泉さんは党内に敵を作ってまで頑張るのか、私には理解できない。また民営化が国民にどのような利益になるのか、これも全く判らない。道路公団を民営化したが、料金が下がるわけでなし、天下りは相変わらずだし、汚職も減らない。郵政事業はもっと大きな事業であることを思うと果たして大丈夫かと考えるし、民間になったら土日は休まないのか、さらに料金の値下げは可能なのか、このような肝心なことが全く示されていない。世論調査では民営化に疑問を持つ意見が可なりあるのも、具体的に何も知らされていないからである。  
 小泉さんは大きな賭けに出た。さて、その結果はどのようになるのか。
(2005.3.31.)  
 小泉さんは郵政民営化関係閣僚に4月2日3日の休日を返上して、政府原案の基本方針を決めるよう指示した。しかしそこでも最終結論が得られず、翌4日朝に首相裁断があって決まったと報じられた。これには当然自民党内から反発があり、この原案にいずれは修正が加えられることになるだろうが、この国会開催期間中に法案が提出されるかどうか、それすら不明の情勢になってきた。 一つお願いは国民にもっと判り易い議論をして欲しい。民営化して我々には全く変わりはないのか、官房長官の話は4分割された各社の株の将来についての話ばかり、これは多くの国民の関心事ではない。何故そんなことが大事のか、それすら国民には判らないだろう。  
 この問題もしばらく静観している他はないようだが、小泉さんはこの民営化が国のため、国民のためになると、確信されているのだろうか。民営化されなければリストラができないというのは、官僚が強いとの裏返し、もっと何かよい道があるように思えて仕方がない。 少なくとも小泉さんはこの民営化によって、この程度の税金を節約できる、と明言したらどうか。
(2005. 4.5.)  
 ここまで書いたがその後が一向に進まない。竹中担当大臣が国会の総務委員会に欠席したこと、これに麻生総務大臣も不見識と述べたこともあって、それに拍車をかけてしまった。小泉さんはこの国会で法案を提出すると意気込み、見方によっては総理・総裁の力で押し切る姿勢と受け止められる。これに対して党側は綿貫氏を中心として会合を開いて気勢を挙げているが、これも何をもって小泉さんと論争するのかがはっきりしない。反対のための反対では困る。今までの政府側の説明で国民にどのような利益が生まれるのか、具体的に国民は判っていない。この時衆議院の補欠選挙が福岡と宮城で行われるが、ここで福岡の山崎氏が敗れたら、小泉さんは考えなければならなくなる。
(2005 4.12)