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中国で起きたデモ  

 今度の中国の反日デモは一体何なのであろうか。可なりの人数が動員されているのか、参加しているのかはわからないが、各地で一斉である。しかし昔と違ってそれが長く続かない。彼らが叫んでいることは、国連の常任理事国に日本がなろうとしていることに対しての反対というのだが、どうも一般民衆のデモのテーマとしてはちょっと納得し難い。また歴史の認識が足りないというがもう60年以前の問題、その時のことを知っている人は何人いるのか、このデモは誰かが煽動しているとしか思えないのだが、如何がなものだろうか。  
 私はこのデモは反日というけれど、民衆の共産党政治に対しての不満なのではないかと思う。中国経済の急成長が国内の貧富の差を拡大し、いうなれば資本家と労働者が画然と区別されるようになった民衆の不満ではないか。それを小泉さんの靖国神社参拝とか、歴史認識が足りないというのがその原因というが、これは見当違いも甚だしい。「デモがありましたから今後は参拝を止めます」と言う筈がない。また中国急成長を日本が抑えていることもないし、米国、EUとの関係の維持が大切なときにこのデモが、国際的信用を失墜させることになる。では何故日本が標的なのか。反米、反EUと言わないのは何故なのか。このデモの意味が理解出来ない。中国にとって米国と極めて近い日本の存在は目の上のたん瘤なのかも知れない。  
 中国政府は日本の大使館にデモ隊が投石したことを、大変な問題として考えてくれなければ困る。そういう行為をどこまでも正当化しょうとする態度は改めて欲しい。日本に密入国して強盗窃盗をしている中国人をどういう理屈で正しいとするのか。このような国際的な問題は、国際的なルールによって判断されることをよく知って欲しい。
(2005.4.12.)
 16日にまたデモが起こるとのニュースがあったが、これに対して流石の中国もこれを抑えると言明している。
 「愛国無罪」と勝手なことを言って暴動をしているのだが、これは中国の警察を意識してのスローガンに見える。漸く民衆は政府や党にものが言えるようになった。しかしまだ国や党と争うことはできないから、日本に向ってもの申しているのではないか。私は日本が国連の常任理事国になっても中国民衆に何ら変ることはない筈である。今度のこのデモは私には理解できない。また16日にも行われたら、中国政府は何というだろうか。
(2005.4.14.)  
 16日にも上海で1万人規模のデモが起きた。ここは今や世界的な経済都市であるから、各国から注目されていて、当局も無届デモは取り締まると予告していたのに、それには何も反応しなかった、というより全く効果がなかった。この点を中国政府はどう見るのか、その原因は日本の歴史的認識の不足であると言い続けるのか。  
 日本が多年にわたってODAの援助を続けてきたことはご承知の通り、そのことを恐らく中国民衆は知らないだろうが、このような情勢の中で町村外務大臣が北京での外相会談に行く。既に決まっていたことだからデモに関係なく行われるが、中国側はどういう姿勢で臨んでくるだろうか。国連の常任理事国ではあるけれどG7には含まれなかったのは、中国が国際的なルールの則っていなかったことにある。しかし今は世界の主要経済国なのだから、何時までも北朝鮮と同じことを言っていることは許されない。外相会談が国際的な感覚で終始されるよう期待する。しかし中国には中国の事情があろうから、我々が望む言葉は聴けないかも知れないが、、ここらで中国は経済大国の一つになったのだから、それに相応しい対応を考えなければならないと思うのだが、まだ中国にはその意識も誇りもないのだろうか。
(2005.4.17)