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尼 崎 事 故

 4月25日にJR西日本の福知山線で起きた脱線事故、それから1週間たった。いまだにこの線は復旧していない、それ程の大事故であったこともあるが、その原因の調査に時間が掛かることでもある。600人近くの人がこの電車に乗っていて、亡くなった方が107人、負傷者は460人いうのだから、殆ど全部の方が被害を受けたことになる。しかも病院に運ばれた方の中に重体の方もあるから、犠牲者の数はまだ増えるかも知れない。  
 マンションの1階の駐車場に先頭車両が飛び込んだのだから、事故現場のすさまじさが判ろうというものだが、もしその1階が住居だったら、もっと大変なことになっていたであろう。建物に突っ込んだ事故は今までにもあったが、車両が潰れた状態になったことはなかった。その意味では今までにない特異の事故といえるが、それだからまた大きな犠牲者が出たのである。  
 この事故が起きたニュースを聞いたとき、これはスピードの出し過ぎだったのではないかと直感的に思った。阪神地区でのJRと私鉄の競争は、我々からみると異常といえる程激しい、このことは以前大阪に居たことで承知していたので、遅れの取り戻しを運転士はきっと考えたに違いない、それに伊丹駅でのオーバーランが重なったのだから、この事故責任は運転士にあると思った。恐らく調査の結果はそれに落ち着くであろうが、23歳の運転士の由、孫より若い人だったことを知り、空恐ろしくなった。  
 この事故の起きたところは制限時速70キロの区間であったのに、この電車の記録では100キロを超えていたという。しかしこの運転士は今までに恐らくここで制限以上の速度で走らせた経験があるに違いない。だからご本人は何ら心配もしないで遅れを取り戻したかったろうが、結果としては予想していないことが起き、あっという間に自分の命まで失ってしまった。  
 テレビも新聞もこの事故の原因は何かを専門的に報じているが、我々一般の市民にとっては、それを理解したからJR西日本を許すということにはならないし、だからどうなんだと伺いたくなる。唯一つ運転士のミが原因と判っただけなのである。
(2005.5.1.)