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揉める郵政民営化  

 自民党というべきか、小泉さんというべきか、この問題についてどういう見通しを持っているのだろうか。特別委員会の設置は自民、公明の賛成多数で成立したけれど、その本会議には民主と社民は欠席という異常の状態の中でのことであった。このために民主と社民は、これからの国会審議を全てボイコットすると言明した。この国会に残された期間は、すでに1ヶ月はなくこの侭では会期中の成立はあり得ないから、会期延長という大問題も控えており、自民はこれも頭に置きながらこれから運営していくことになる。  
 言うまでもなく自民としてはこの法案を成立させることに全力を注ぐだろうし、民社はその阻止に全力を尽くすだろうから、真正面に衝突することは誰の目から見ても免れないだろう。しかも自民の中に民営化反対の勢力があるし、民社の中には国会での審議を放棄してよいのか、との声もある。つまり両者とも一本化されていないのだから、また複雑なことになっている。また郵政の労働組合も参加した全国特定郵便局長会議が行われ、そこに綿貫前衆議院議長が出席して法案の反対を述べているのに対し、政府の麻生総務大臣も出席して法案の成立に理解を求めている。  
 さてここで民主党は、になるのだがどこまで審議拒否ができるのか、始まってみて矢張り国会の場で論戦するのが筋などと言い出したら、それで負けである。私はここで知りたいのは公明党の民営化への考えである。これも一つの政党なのだから党としての見解がある筈なのだが、これが見えない。与党として自民のいうことに何でも賛成では、政党としての存在価値がないといえる。与党ではあるけれど、小泉傘下の政党ではないのだら、民主党と話し合うことがあっても可笑しくないと思うのだが、これは素人の浅はかな希望なのだろうか。  
 前にも述べた通り、この民営化は国鉄や道路公団の時以上に国民の理解がなければならない、民営化による国民の利益を政府はもっと具体的に示すべきである。国の財政と関連しているならば、それを率直に説明したらどうか。これから当分の間は民営化問題が、国会の中心論議になると思うので、それに注目したい。
(2005.5.23)  
 
 民主党が審議拒否の理由として述べていることは、この法案に欠陥があるからと言うことらしい。政府は法案を万一それが欠陥であろうと国会に提出しなければならない。それは、その法案が国のため、国民のために相応しいかどうかを、国民から選ばれた議員に審議して貰う為である。しかしその審議を拒否するとは、欠陥法案であるならば、特別委員会も設置されたのだから、その場でその欠陥を追及すればよいではないか。  
 しかし国会は自民・公明によって過半数が占められているから、民主党が何をしようと政府には結果としては影響がない。この法案は解散でもない限り時間は掛かっても成立する。ならば民主党は・その法案の一部でも改める努力をすべきではないか。審議拒否は野党として議員としての権利、義務を放棄することだから、これは一般国民から評価されることではない。かえって民主党の評価を下げ、次期政権獲得を遠ざける何物でもない。  
 私は郵政民営化による国民のメリットが何であるのかが理解できない。原状のどこが、どのように改善されるのか、全く国民生活に変りがないのならば公社で何故いけないのか。小泉さんは郵政大臣の経験があり、この独占的な郵政事業に官僚が関わっていることを廃したいのか、その理由は何なのか、どうもこの辺りに裏、つまり表だって言えない何かがあるような気がしてならない。これらの官僚が反対したらこの法案はどうなるのか。組合や特定郵便局長が反対に回っているのはどうしてなのか。何か納得できない。
(2005.5.25)