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どうなる小泉内閣

 7月に入って小泉さんは俄かに忙しくなった。サミットがあってロンドンに行かねばならず、そこでプーチンさんに来日を要請したり、国連の常任理事国入りに協力をお願いしたり、さらに国内では郵政民営化法案がある。 まず小泉さんにとって最大の問題は郵政民営化法案である。自民党の中での反対派を静めるために法案の修正をした。これも総務会で多数決で決めるという前例のないやり方によってで、2日までの委員会採決は公明党の反対で週明けに延び、5日に衆議院の通過は果たしてできるのか、の情勢になったと見る。そこで小泉さんはまさに伝家の宝刀を抜いて、「この法案が通らなければ衆議院を解散する」と言い出し、執行部は党議の拘束を改めて示した。一番議員の弱いところを衝いているわけで、これで反対票も、本会議欠席も封じ込めようということだ。さてその結果がどうでるかであるが、3日に行われる都議会議員の選挙、もしここで民主党が第一党になったら、情勢は一変するかも知れない。 私はこの郵政民営化法案について、これによって国民にどのような利益があるのか、今の侭の郵政公社で何故駄目なのか、その説明がはっきり理解出来ないと、このHPで述べてきた。これは今も変らない。なのに小泉さんは解散を口に出してまで、この法案をサミットに出発する前までにけじめをつける積もりのようだ。こうなると一体何が小泉さんにこのような執念を待たせたのか、それが知りたくなった。
(2005.7.2)

 4日に衆議院で特別委員会があった。ここで気付いたこと2点をメモしておく。  

 その一つが、民営化すれば新しいサービスが期待できる、との小泉さんの考え、これは判る気はするのだが、何故具体的に仮の例でもよい、を話さないのか、何か判らないけれど期待して欲しいでは説明にならない。民営化しないとその期待もない、というならば、郵政公社に期待できないということになり、馬鹿にした話ではないか。  二つ目は、国民に対してのサービスは現状維持するという。国鉄が民営化されて採算がどうなるか、になるとJRは赤字路線を廃止し、それを第三セクターに任せるとか、バスの代替輸送にしてきた。民営になれば経営の判断が優先されるから、弱いところはどうしても犠牲になる。これが郵政では僻地に起こる心配がある。これに対しても小泉さんは「民営化で悪くなることはあり得ない」という。  

 野党の質問を中心に聞いたがかなり核心を衝いていた。自民党の反対意見の議員はこの委員会から外されたという。がこのテレビをみて本会議ではどうするか、を考えたことだろう。しかも参議院はこれから。結局は審議未了になるか成立かであろう。
(2005.7.4)  

 5日の衆議院本会議で郵政民営化法案は賛成233票、反対228表という僅差で通過し参議院に送られた。賛否の差が5票であさたことに小泉さんは考えて貰わなくてはならない。ご本人が総裁の自民党から37票の反対が投じられ、14人が欠席もしくは棄権、なんと51人が小泉さんを支持していないことがはっきりした。公明党の票がなければ敗れていた数である。また政府は閉会後直ちに閣議を開いて反対、棄権、欠席などした副大臣らを罷免した。彼等はされなくても辞表を提出しただろうが、これはこれからの波及を恐れて一つの懲罰をしたとみる。  

 幹事長の努力もこの数では成功したとは言えず、自民党の結束はこれから小泉さんでは覚束なくなった。まさか分裂することは、第一党を捨てることになるから、双方ともにその意思はないだろうが、総裁の交代はあるかもしれない。がこれらは参議院での論議と、その後の本会議での得票数如何であろう。小泉さん、今度は解散するとか、次は公認しない、などの脅かしは効果がありませんよ。  

 議会制民主主義とは何か、私はこの法案に納得していないのだが、政府の説得力ある説明が欲しかった。竹中さんはどんな質問をしても同じ回答をする、南野さん(法務大臣)に至っては法律の条文を読み上げるだけ、これは各大臣とも失言を恐れて思い切った答弁をしていないからである。先の内閣改造で郵政民営化法案の成立に協力することを条件として選ばれた、との話しもある。党の三役も同じであろう。議会の解散をほのめかしたりした小泉流のやり方は、本当の民主主義と言えるのだろうか。議会を牛耳れば国民の声は無視できるでは困る。いまは参議院の良識に期待するほかはない。
(2005.7.5)

 15日、郵政民営化法案の参議院での審議がはじまった。何かこの法案の成立が決まってしまった感がする。自民党も矢張り解散は避けたいだろうから、参議院の議員に根回しをすることであろう。私は恐らく何処の政党も解散は困るというのが本音であろう。それは選挙資金が調達できないからに違いない。

 青木参議院自民党会長も発言が弱くなったし、マスコミが期待するような表決は望めないと思う。また小泉さんもソフトムードの回答に終始はている。だから良い質問があっても、丁寧に答えられると質問者も何となく柔らかくなるようだ。

 小泉さんの狙いは公務員の削減にあるようだ。郵便貯金、簡易保険の資金が民間に回るというけれど、私はいまでも財政投融資で結局は民間に流れていると思っているから、国民には大した恩恵にはらないのではないか。一つだけ質問者の発言で拍手を送りたいのは「この法律は民営化に伴う経営者のためのもので、利用者の視点に立っていない」である。しかもその経営者の手枷足枷が多い。民間に任せると言いながら規制が多いのには驚く。

 この問題は会期末まで見守ろう。

(2005.7.15.)