Z22

衆議院の解散  

 8月8日には二つの目を離せないことがあった。一つは米国が打ち上げたディスカバリーが地球に戻って来る、果たして無事に着陸することができるのか、であったがこれは着陸地の天候不順で1日延期になってテレビで見ることは出来なかった。二つ目は郵政民営化法案が参議院で成立するのか、であった。  

 これは自民党の中から反対と欠席が出て、108票と125票で予想外の差で否決となった。その結果小泉さんは衆議院の解散に踏み切った。解散するというのは小泉さんの脅迫でって、本当に行われるとは私は思っていなかった。この解散が自民党にとって吉となるのか凶となるのか、予断は許されないが、一言でいうと小泉さんは、首相の専決権を行使し、更に選挙では衆議院で反対投票した人37人を党は公認しない言い、例え当選されても共に仕事をしない、言いきっている。つまり公認料は出しませんよ、当選しても党内にポストはつくりませんよ、と言っているのだ。こうなると小泉さんは内閣総理大臣、自民党総裁であることを忘れて、小泉個人になってしまっていないか。反対した人たちにあからさまな報復を公言している。本来ならば権力を持つ立場にある人のいう言葉ではない。こういう考え方の発言が参議院での反対票を多くしたのではないか。

 自民党の反対派の動きを倒閣運動だという無神経さに呆れるが、郵政民営化で構造改革を実現する、民営化されれば郵政は国民へのサービスが向上する、と再三にわたって答弁しているのだが、現在の郵政公社のサービスで、国民は大きな不満を持っているわけではないから、小泉さんの説明で納得するわけがない。そこに僻地の郵便局が無くなるのでばないか、という質問が出て反対ムードが強くなったら、それは省令、政令で義務付けている、との答弁になつた。民営化すれば経営者の努力で国民へのサービスは向上するというその裏では、郵政事業を担当する総務省の監督を省令、政令で細かく決めているのが、この郵政民営化なのである。  

 いま郵政事業の貯金、保険で340兆円の資金があり、これが財政投融資になって、国債の保有に貢献していることはご承知の通り。この保有している国債はこれから誰の保有になるのか、まさか新会社が公社の国債を保有することにはならないと思うが、もし保有するなら大変な税金を払うことにならないか。ここら辺のことは私は判らないし、見守るより他はない。  

 衆議院で民営化に反対した議員、欠席した議員はこの選挙では公認されないことは前に述べたが、これでまた一悶着があるだろうが、自民党の党員であることは違いないのだから、同じ選挙区に賛成者は反対者の二人が立候補したらどうなるのか。これからこの問題が党内で話合われるだろうが、反対派は無所属で立候補すると言うすが、それも党員ま侭だから、その結果によっては自民党は分裂する可能性がある。しかも小泉さんの強行手法に反発を感じている議員は潜在的に可なりいるのだから、新党が生まれればそちらに移る議員は何人になるのかわからない。だからこの選挙で自民党と公明党で過半数が獲得できなければ、小泉さんは総理も総裁も退くであろう。それを狙って新党に移る議員が出てくるかも知れない。こうなれば民主党が第一党になるわけだけど、岡田さんには誰も期待していないから、単独での過半数はまず見込みはない。では何処と組んで過半数を確保しようとするのか。注目したい。  

 この郵政民営化が国会での議論が高まっている時、小泉さんの口から、拉致問題、イラクの問題、国連安保理の常任理事のことなどの言葉が聞かれなくなった。まるで忘れてしまったかのように、彼の頭の中にはもう郵政民営化しかなくなってしまった。これが日本の国政を預かるトップの姿であった。 

 選挙は9月11日に投票と決まった。私の選挙区に誰が立候補するのか判らないけれど、小泉さんに尻尾を振っている自民党員には投票しないし、また選挙区に民営化に反対した自民党候補者がいなければ、私は棄権する。
(2005.8.10)