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楽天とTBS ?  

 プロ野球に進出した楽天が今度はTBSの筆頭株主になった。その前日には村上ファンドが阪神電鉄の筆頭株主になったと知って驚いたが、これはライブドアがフジテレビを支配下に納めようとしたのと同様、資金を持つグループが相手の知らぬ侭に合法的に株式を買い漁り、楽天は経営の統合を、村上は阪神球団の株式上場を申し入れ、大株主として一見助言をしているようだが、その実は自分の利益のためである。このような動きは全く困ったことと言わざるを得ない。彼等の狙いは金儲け、それが頭にあるからその会社をつぶすことはしないと思うけれど、現在の経営陣としては、寝耳に水のことだったに違いないが、大株主の意向を全く無視することはできない立場でもある。  

 楽天はマスメディアには素人だし、村上もプロ野球の世界を知っているとは思えない。それが筆頭株主になった途端にマスコミに発表し、それを傘にきて会社のトップと会って言いたい放題、このパターンは三者とも同じ、私は「金がものを言う」ことがあるとは知っていたが、密かに株を買い集める魂胆は許せない。手法を逆にして、まず楽天は業務を拡大するために、マスコミと提携したい、とTBSに申し入れ、それが受け入れられなかったら、株の買い付けをします、と堂々と言うべきではなかったか、この方が実現の可能性があるのではないか。TBSがこれからどのように対応するか、注目しよう。  

 フジテレビ、TBS、そして阪神球団が彼等に狙われた理由はどこにあるのか。しかし彼等は経営に参加することを目指していないようだ。大株主になって会社に注文をつけ、株価の値上がりだけを目的にしているように感じる。株価が高くなれば「貴方方も損はいでしょう」との論法、勿論その通りだが、株価が其の為に下がることだってある筈である。 大量の資金を使ってその資金の運用で儲けるのは結構だが、それが社会的、また狙われた会社の社員がどのような気持ちになるのか、を全く考えていないように思う。資金運用をする人にはそうした道義的な責任を持って貰わなくてはならない。外国はどうのか知らないが、日本には馴染まぬこの手法は何とかならないものか。
(2005.10.16)  

 楽天は何故テレビ朝日やNTVでなくTBSなのか、これはそれなりの理由があるのであろうが、電子商取引をこれから拡大するために、メディアと手を組みたいとの考えのようだ。15%の株主になるとそれが通ること自体が私に理解できないが、他の株主が挙って反対したら、どうなるのか考えないのであろうか。自分と組めば株主の皆さんにも損はさせないとの自惚れがあるのだろう。  TBSさん、1兆円の資産を持っていると豪語する楽天に負けるな。           (2005.10.17)

 楽天がTBSの株式を買い増して20%近い株を所有したとマスコミに発表した。これは何としてもTBSと提携したいという意志の表れだという人もいるが、そうだとは私には受け取れない。あくまでも自分の持つ資産を増やす手段に他ならないとみる。大体新聞、放送というマスコミ会社では大株主が現れて言論の自由が侵されることを一番警戒している。朝日、毎日、読売に日経など新聞社の株式は法律で上場が禁止されている筈である。それが何故放送に適用されないのか不思議に思う。楽天が如何に綺麗事を言おうとそれを私は信用できない。
(2005.10.)