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国立追悼施設

 11月9日に国会議員が50名も集って「国立追悼施設を考える会」の設立総会を開催した。一口に言って誰のためにこの施設を作ろうとするのか、それより 一体どのような方を今後お祀りするのだろうか。そしてその施設は誰が維持管理するのか、我々にはさっぱり判らない。なのに施設を作ろうという話なのであ る。

 このような議論が出てくるのは、小泉さんが靖国神社に参拝したことで、中国、韓国から批判されたからであろう。ということは、小泉さんが靖国に代わって 参拝するための施設をつくれば、それで解決されるのか。極端のことを言えば、A級戦犯の方たちをこの施設から除けばそれでよいということなのか。B級C 級の戦犯は構わないのか、そんなことをこの「考える会」は考えているのではないか。

 私はこの施設が出来ても小泉さんは、矢張り靖国にお参りに行かれると 思うし、ご遺族もまた同じであろう。日本人にとっては戦争犠牲者の御霊を拝する場が、神社と追悼施設では違和感が余りにも大き過ぎて、とても付いていけ ない。また靖国には第二次世界大戦の犠牲者だけではなく、日清、日露の戦争で犠牲になった御霊も祀られている。 施設は作られても、問題は果たして国民がこの無宗教の施設にお参りに行くだろうか。

 私の周りを見ても、戦争で犠牲になった知人、先輩、友人は何人もおら れるが、その人たちの霊に額ずきたいと思えば、施設が作られた後でも躊躇なく私は九段に向う。 中国や韓国からの不快感を和らげる為に施設を作るというのなら、私は勿論反対する。

 小泉さんの靖国参拝を避けるために国民の税金を使うことは許されな い。また小泉さんが靖国参拝を止める気がないことに、とやかく言う積もりはないが、それならご自身で中国、韓国の説得をすればよいのだ。いま中国とも、 韓国とも経済交流は盛んであるし、その状況下での対応は首相として考えて貰わねばならない。小泉さんが言うことは「このような施設は必要ない。私に任せ ろ」の一言であって欲しい。
(2005.11.10)

 麻生外相が韓国に赴いたとき、そこで藩外相と会談したが、藩氏は小泉首相の靖国参拝は納得できないと述べたという。これは靖国参拝は認められないが、追悼施設でるなら差し支えない、ということなのだろうか。もしそうであれば、韓国はA級戦犯は追悼施設には祀られないと考えているのだろうか。この辺のところは少しも明確でない。

 終戦になるまで、靖国神社の大祭の日は学校は休みであった。これはその日を国を挙げて英霊を追悼し感謝する日との考えによるものであろう。国のために一身を賭した人々の霊を神に崇めるという古くからの日本人の考えを、我々は当然とのことと今も思っている。こうした考えを中国や韓国の人たちに理解して欲しいといっても、それは無理なことだろう。

 今では学校は休みにならないが、靖国神社では例大祭を毎年春と秋に行っていて、多くの参拝者があつまっている。この施設ができても靖国神社がなくなることにはならないから、多くの国民は靖国参拝を続けることであろう。

 中国や韓国の批判をかわすための追悼施設なら、積極的に考えるのは不自然、見識ある国民は納得しないだろう。
(2005.11.16)

 17日付けの新聞に小泉さんは、この追悼施設の調査費の予算計上には、白紙の考えであることを自民党の山崎氏、公明党の神崎氏に伝えたとある。これは小泉さん自身が追悼施設の建設には消極的と受け取れる。裏返せば「私は靖国参拝やめない」との意志表示でもある。来年9月には総理総裁を辞めるのだから、それからの自分は自由、というのが本音かも知れないが、私としては中国や韓国から言われてつくるのは、日本人として見識がない、と言って欲しかった。
(2005.11.17)