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公益法人制度の改革  

 政府は公益法人制度の改革関連法案の大綱を決め、次の通常国会に提出することを決定した。その内容は社団法人、財団法人そして中間法人の制度を廃止し、「非営利法人」を新設、この法人を認めるための第三者委員会を設置する。そして現在の社団、財団法人を5年間かけて審査し、その審査機関中は従来通りの優遇税制措置は認める、というものである。  私は法律に詳しいわけではないが、この公益法人制度にはご縁があり、この改革には関心を持たざるを得ない。第1は「青山学院校友会」、この団体は今年の3月まで社団法人であった。何故校友会が公益法人であったのか、古いことでその詳しい経緯は知らないが、昭和初期のころはこのような団体が法人であることが、一つの権威と認識されていたからではなかったか、また監督官庁もその認定に甘さがあったのかもしれない。第2が霞ヶ関カンツリー倶楽部、このゴルフ倶楽部は昭和4年に創立され、殆ど同時に社団法人になっている。そして第3がロータリークラブである。

 青山学院校友会は私が副会長のとき、この社団法人を解散して新しく任意団体にしようという考えもった。それは監督官庁である文部省から「校友会は公益性に欠ける」との見解が示されていたことと、監督官庁に事業報告、会計報告、役員交代があればその届け出、規約の改正かあればその承認と手続きがあったこともあって、もっと自由な活動が求められるとその妨げになること、などの理由からである。また解散の手続きも定款に決められており、解散にともなって校友会の諸財産は学院に寄付されるから、それをどのような手続きで返還されるか、を学院側と取り決めておかねばならない。幸い監督官庁、学院側との話合いができて、平成17年3月に解散することが出来た。  
 霞ヶ関カンツリー倶楽部の場合、ゴルフクラブは日本には可なりの数があるけれど、そのうち公益法人のクラブは極めて少ない。公益法人であるか、ないかの大きな差は優遇税制が適用されるか、どうかであるから大きな差と言える。株式会社であるクラブは、固定資産税に泣かされるとの話を聞いたことがある。一時ゴルフ場が公益法人であることが週刊誌などで叩かれたが、この制度改正で恐らく「非営利法人」に認められることはないだろうから、5年以内には何らかの法人に衣換えをすることになるだろう。  
 ロータリークラブ、いま世界中にあるロータリークラブはすべて任意団体であろう。しかし各クラブは事務局を持ち、事務員を雇い、事務所を借り、そしてクラブの財産を持っている。がクラブには法人格がないから、例えば事務員の雇い主、預金の名義人などはどのようになっているのか。それを1年毎に代わる会長がなるのでない、預金などは法的には名義人個人の財産と見なされる恐れがあるという。そのようなことで、クラブを中間法人にしてはどうか、という話がある。しかしこれはロータリー全体のことになるので、まず難しいというのが結論であったが、それに代わって自分のクラブの財産管理を委託する法人をつくってはどうか、を我がクラブでは目下論議中なのである。  

 公益法人を廃した校友会、認定されなくなればそれはその時とするゴルフ倶楽部、そして中間法人を作ろうというロータリー、三者三様であるけれど、これは公益法人が見直されることで起きたこと。だからこの制度改革が本格化すればまた新しい悶着が起こることであろう。政府の狙いは2万6000もある公益法人を審査して、納税を増やしたいことにある。しかし一網打尽というわけにはいかないだろうが、第三者委員会を設けて今ある公益法人の公益性を判断することになるのだから、厳しいことになりそうだ。公益とは何かになるけれど、どうもゴルフ倶楽部もロータリーもこの公益の範疇には入らないと思われる。まだまだ先のことだが私は非営利法人とはどんな団体なのだろうか、審査の結果を見守りたい。
(2005.12.13)