はじめに



 幼稚園から大学まで、20年近くも教育を受けるのに、人間にとって最も大切な愛とい
う課題に取り組んだ学科もなければ授業も無いというのは、考えてみれば不思議な話です。
 愛とは何か、どうしたら愛情に溢れた人間になれるのか、幸福な結婚をするためにはど
うしたらいいのか、愛と性の見詰め方、親子の愛情の在り方、人に好かれるためには、と
いう具合に、愛をめぐるテーマは人生の大切なものばかりです。
 心や人間の生き方の問題は、なかなか学問になりづらいかも知れませんが、愛されれば
嬉しく嫌われれば悲しいのは、古今東西を問わずすべての人に共通の原則です。
 愛にまつわる人間の生きざまを科学的に分析し、それをまとめていくならば、今までの
学校教育以上に重要な、新しい学問体系となるのではないでしょうか。私はそれを愛情人
間学と呼び、心の在り方が問われている今の時代にこそ、すべての人に必要なものである
と確信しています。
 私自身、まだ人生半ばの研修生ですが、人生の折り返し点に立ってみる時、十代や二十
代の時に感じた不安や疑問はほとんど解決され、恋愛、結婚、愛と性といった問題をかな
り冷静に見れるようになってきました。
 この小冊子は、月刊誌「新天地」に連載された「青春説法ー愛と人生の極意」をまとめ、
部分的に加筆したものですが、愛の言葉が語られながら愛の不毛な現代に生きる、若い世
代の皆さんに参考になれば幸いです。