あとがき



 巨大な台風にのみこまれたような混乱にあった我が家も、今は何事も無かった

かのように平凡な生活の中にあります。ただ違うのは、家内の肉体の体がこの場

に無いことだけです。家内はほとんどは私の心の中に一緒にいます。「昇天した

妻からのメッセージ」は、今年の3月から押し出されるようにして、家内の霊に

よって書かされた原稿です。個人的な体験だからと、子供や親戚関係者だけに配

布するつもりでしたが、初稿を読んでくださった多くの兄弟姉妹に励まされて、

家内の昇華を通じて示されたあふれるばかりの神様からの恵みを、多くの人に知

っていただくことこそ、今やらなければならないことと考え、真剣に書かせてい

ただきました。

 昔は霊界と地上界には、越えがたい壁があり、よほどのことが無い限り霊界か

ら地上にコンタクトすることは難しく、恨みや怨念をかかえたそれこそお化けの

霊の働きしかない時代でした。しかし、今は神様の願いが地上に果たされる時が

近づいており、天使とともに先祖や宗教界などの多くの霊が地上に降りて働くよ

うに神様から命じられています。家内が私や子供たちや親戚、友人の所に現れて

働くことが出来るのも、そうした時代的な恩恵があるからです。

 おかげさまで、私は自分の使命が見つかってとても喜んでいます。私は、家内

の死を通じて、人間の魂は消えたりどこかに行ったりするのではなく、親である


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神様のもとに喜んで帰っていくということを実感として理解することが出来まし

た。それだけでなく、霊界と地上とで語りあいながら、まるで生きている時と同

じような交流が出来ることも理解しました。

 そして、天国とは、地上であれ霊界であれ夫婦が神様の愛を中心にして永遠に

愛しあっていく所であると悟りました。死はもはや怖いものではなくなり、私に

とってはむしろ希望であり、安らぎであり、喜びですらあるようになりました。

もちろん自殺は、神様から与えられた使命を放棄したことになり、神様の悲しみ

になりますから、自殺願望ではありません。自分に与えられた使命をしっかりと

果たして、しかるべき時が来たら、喜んで家内のもとに、神様のもとに行きたい

という、人生の目標がはっきりと見えたからです。

 私は、この経験を「死は終わりではない」というタイトルで原稿に書こうとし

ています。そして、いつ死んでも悔いのない生き方をするための具体的な準備を

しましょうと提案するつもりです。

 それは



1、葬儀に使える自分の笑顔の気に入った写真を毎年、撮影しましょう。


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2、家族や親しい友人への、愛の思い、感謝の思いの手紙を書き残しましょう。

3、 突然の事故で身元不明者とならないような、歯の治療データや

  個人識別情報を残しましょう。

4、治療できない深刻な病気になった時、残された時間を有意義に使えるよう、

  家族や医師に正直に病名を告知してもらえるよう、

  日頃から意思表示をしておきましょう。

5、財産、借金、カードの暗証番号、パソコンデータのパスワードなど、

  急に万が一の問題が起きた時、残された家族が困らないような準備を

  しておきましょう。

6、葬儀のやりかた、連絡すべき人、墓についての希望などを

  明記しておきましょう。

7、あと半年の命と宣告された時、あなたは何をしますか?

  あなたの今の生き方で悔いはありませんか?

8、死の向こうに、神様や天国を信じている生き方があり、希望と喜びを

  感じながら生きている生き方があります。それを学んでみませんか?



というような内容です。

 家内の場合、くも膜下出血で、倒れてそのままですから、ガンを宣告された患

者さんの苦しみやご家族の皆様の御苦労から比べたらとても内容が無く、参考に

はならなかったかもしれません。

 そして同じ霊界と言っても、それぞれ行く場所が違ったりしますが、死に直面

した家族が通過する心の葛藤や悩みは共通ではないでしょうか。


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 また、今回の家内の場合と同じように亡くなられた方が夢に現れたり、家の中

で気配を感じたりするという方も多いのではないでしょうか。

 ぜひ、心の扉を開けて、先祖や協助霊の言葉に耳を傾けてください。あなたの

幸せを祈り、背後で支えようとしている多くの人が、あなたが気づくのを一日千

秋の思いで待ち続けています。


                              酒井正樹