2.運命は変えることができる



運命は自分の手で積極的に切り開いていくもの


 「私は悪い星の下に生まれているから、何をやっても駄目なんです」、「あと一歩とい
うところまで行くのですが、そこから先一人でやらなければならないのがこわくて」
 仏教的土壌の影響かもしれませんが、日本人はあきらめやすく、しかもそれを美徳のよ
うにさえ思っていますから、自発的積極的生き方は出来ず、上司や親に決められた人生を
そのまま生きるという受け身の人が意外に多いのに驚かされます。
 運命という言葉は、動かしがたい決定的なものに思え、この言葉を聞いた途端もうだめ
だと観念してしまうのですから、運命の女神がいるとすれば「私は死神ではないのに失礼
しちゃうわ」と気分を害して、ほほえみを止めてしまうことでしょう。
 「類は類を呼ぶ」という諺がありますが、駄目だ駄目だと思っていると本当に運勢が悪
くなってしまいますし、自分はいつも運がいいんだと思っていると運勢が良くなってきま
すから面白いものです。
 結核の特効薬ペニシリンの発見は、フレミングが研究室のシャーレの中にできた青かび
を興味深く見たところから始まったわけですが、フレミングは「運というものは誰のもと
にもやってくるが、その運をつかんで自分のものにすることができるかどうかは、日頃か
らの努力にかかっている」と語っています。
 つまり、運勢が自分の近くに来ているかどうかを見抜く目を養い、それをつかみとる力
を身につけなさいということで、運命は自分の努力によって好転させることができる、変
えることができるものであると、まず定義しておきましょう。

人生は波乗りのようなもの、タイミングとバランスで成功する


 運勢は波のように、山あり谷ありで私たちに迫ってきます。その谷間の中にある時は、
何をやってもうまくいかず、気分が滅入ってしまいがちですが、運勢の強い人はそれを逆
境とは受け取りません。
 谷間が深ければ深いほど、次の山は高いわけですから、谷間の間で次の波のために準備
をします。波の高さと方向を見極め、いつその波に乗ったらいいかを考えながら力を蓄え
ておくわけです。
 焦ったり力んだりすると沈んでしまいますから、力を抜いて自然体で波に身体を任せま
す。これを私は「人生波乗り論」と呼んでいますが、この波乗り感覚のうまい人が人生の
成功者となる人です。
 あきらかに谷間にある時期、私の場合はよく食べよく寝てまず体調を整えます。スポー
ツ等で身体を動かし、「なぜこんなに駄目なんだろう」というような余計なことを考えな
いようにします。
 時が経てば解決する問題もかなりありますから、まったく関係ない分野の勉強をしたり
します。銀行の待合室においてあるグラビア雑誌や書店で目にとまった本なども、いつか
何かの役に立つ時があります。人生は生涯学びの場だからです。どんなに不幸だという人
間でも、脚光を浴び恵まれた瞬間があったはずです。その時のことを思い出してみましょ
う。幸福に恵まれ、友人に恵まれてあらゆることが順調に運び、思わず神に感謝したくな
るような時があったはずです。
 その一つ一つを思い出し、今までだってこんなにうまくいったのだから、これからもう
まくいくに違いないと思い込むようにします。一種の自己暗示ですが、自分でも完全に思
い込むまでにしなければなりません。成功した時の様子や喜びの感動の思いを、できるだ
け具体的に思い浮かべます。
 波乗りに例えれば、高い波にうまく乗った状態を思い浮かべるわけです。まず体調を整
え、次にイメージコントロールで心の状態を整えます。強い運勢に乗った時の心を取り戻
せば、自然に運勢は好転していきます。これがバランスということです。
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