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1.矯正視力・・・屈折異常*2)を完全に矯正してから測った視力。めがね視力(*7)とは別のもの。

  視力傷害疾患(*8)検出のための視力検査

   日常視力(*14)良
    ↓
不良
   
矯正視力 良 屈折異常→眼鏡の問題
    ↓
不良   
   視力傷害疾患の疑い→眼科で精査

2.屈折異常・・・近視*3)、遠視(*4)、乱視(*5)のこと。眼鏡またはコンタクトレンズで矯正できます。

3.近視・・・眼球の形が前後に長いため、外界の像のピントが合わない状態(*11、図E)。凹レンズで矯正します。眼鏡をかけなくとも近くは見えます。

4.遠視・・・眼球の形が前後に短いため、ピントが合わない状態(*11、図E)。凸レンズで矯正します。眼鏡をかけなければ遠くも近くもはっきりとは見えません。「遠視」という言葉に惑わされて、「遠くがはっきり見える」と誤解しないように。特に近くを見るのが苦手。子供の場合、本人が自分から積極的に目の症状を訴えることが少ないので、注意が必要。勉強嫌いの原因となります。老眼とは異なるものです。

5.乱視・・・眼球の縦と横の屈折度が異なる状態。円柱レンズ(*6)で矯正します。その矯正方法は円柱レンズの度数と軸の向き(0180度)で記述します。
 一般的に、近視あるいは遠視には乱視が加わっていることが多いので、球面レンズ度数、円柱レンズ度数、円柱レンズ軸方向の3つの要素を組み合わせて、屈折異常を矯正するための眼鏡を作る必要があります。検査用の球面レンズも円柱レンズも0
.25D(*13)刻みですから、試さなければならないレンズ度数は多い。従って、手順が複雑であり、検査に時間がかかります。そのため、検査者も被検者も疲れ果てて、正しい結果を得られないこともあります。しかし、ピンホール効果(*11)を利用すれば、簡単に屈折異常を矯正できます。

6.円柱レンズ・・・図Jは凸円柱レンズを斜め上方から見た様子を表しています。図Kは円柱レンズを軸方向から見たものです。光線(矢印の付いた線)をレンズ作用によって集めます。図Lは円柱レンズを図Jの矢印Nの方向から見た図です。図Lの光線(図Kの光線とは異なる)はレンズ作用を受けません。つまり、このレンズにはレンズ作用のある方向と無い方向とがあります。この性質を用いて、乱視*5)を矯正するためのレンズを作ることができます。
円柱レンズ斜視図  円柱レンズ正面図  円柱レンズ側面図
7.めがね視力・・・被検者が日常使っている眼鏡(またはコンタクトレンズ)で測った視力。矯正視力(*1)より悪い場合が多い。めがね視力が良い場合には、「視力傷害疾患(*8)が視力を侵していない」と言えますが、めがね視力が悪い場合には、めがねが合わないのか、視力傷害疾患にかかっているのか、判断がつきません。このときに矯正視力を測ることができれば、その判断をすることができます。

8.視力傷害疾患・・・屈折異常(*2)は眼鏡で対処できますが、眼鏡で視力を向上させることができない病気の種類は多い。視力低下は必ずしも屈折異常によるものではありません。
 従来、健康診断では矯正視力
(*1)を測れなかったため、視力低下があっても、それが屈折異常によるものか、あるいはそれ以外の原因によるものか区別不能でした。視力低下を認めても、それらの人をすべて精密検査に回すのは実際的ではありません。なぜなら、それらの大部分は屈折異常によるものだからです。本法を用いれば、視力低下の原因が屈折異常によるものか、あるいは、それ以外の原因によるものか、その区別をすることができます。
 本法は、手順が簡単であり、時間もかからず、専門知識不要ですから、人間ドックや健康診断で用いることができます。また、眼科外来で利用すれば、患者や検査者の負担を軽くすることができます。

9.板付きレンズ・・・細長い板に多数の穴を開け、異なる度のレンズをはめこんだもの。次のような利点があります。1すばやくレンズを交換できる、2操作が簡単、3安全、4安価、5壊れにくい、6ひと目で構造がわかるので被検者が不安を持たない、などです

10.ピンホール板・・・薄い板に小さい穴をあけたもの。ピンホール効果(*11)を発生させるためのもの。本器のピンホールは直径1.2mm

11.ピンホール効果・・・レンズを通して外界の像を映すとき、ピンホール板(*10)を光軸付近に置いて、利用する光をレンズの中心近くの光に制限すると、レンズの焦点距離とは無関係にはっきりした像を結ぶ。これをピンホール効果といいます。屈折異常の人が眼鏡をかけなくても、小さい穴(たとえば、テレホンカードやJRイオカードのパンチ穴)を通して見ると、はっきり見ることができます。目を細めて見るのも、この効果を利用したもの。
 
下の写真Aはカメラの絞りを最大にし、遠くにピントを合わせたもの。近くがぼやけています。はピントはそのままで絞りを最小にしたものです。近くもはっきり見えています。は絞りを最大にし、近くにピントを合わせたもの。遠くがぼやけています。はピントはそのままで絞りを最小にしたもの。遠くもはっきり見えています。
絞り大で遠くにピントを合わせた写真絞り小で遠くにピントを合わせた写真 絞り大で近くにピントを合わせた写真絞り小で近くにピントを合わせた写真
 物理的な説明を加えますと
 (イ)
ピンホールが無いとき(下図E)、物体Aからの光線は凸レンズLの結像面に置いたスクリーンSにはっきりした像Bを結びます。像は結像面以外ではぼやけます。Lを眼球全体の屈折度を表すレンズと考えれば、Sは屈折異常のない目の眼底に相当します。近視の眼底はSよりも後方(M)にくるため、像がぼやけます。物体Aの頂点の小点Qが直径EFの円となります。つまり、ぼやけます。遠視の眼底はSよりも前方(H)にくるため、小点Qが直径CDの円となり、やはり、ぼやけます。
 (ロ)
ピンホール板Pをレンズの前に置くと(下図F)、物体Aからの光線のうち、レンズ周辺を通る光線は板によって遮断され、利用できるのはレンズの中心近くを通る光線に限定されるので、結像面以外でもぼやけが小さくなり、はっきりした像を結びます。従って、近視(M)でも遠視(H)でも眼底にはっきりした像を結びます。
レンズを用いてスクリーンに物体の像を映す図 レンズにピンホールを重ねて物体の像を映す図 レンズの度の近傍はピンホールで補われることを示す図
 本器の球面レンズが0.25D刻み(*5参照)になっていなくとも、また、本器が円柱レンズを備えていなくとも、矯正視力が測れるのは、このピンホール効果を利用しているからです。
 「ピンホールで屈折異常が矯正されるならば、ピンホール板1枚あれば、よいではないか。」と疑問を持つ人がおられでしょう。これに関しては、簡単に実験できます。ピンホール板1枚だけではっきり見えるように、穴を小さくすると、視界が暗くなり、その暗さのために、かえって見えにくくなります。ある程度、明るいように穴を大きくすると、ピンホール効果が小さくなり、ぼやけるので、球面レンズで大まかに矯正する必要があります。細かい矯正はピンホール板で行います。
 もう少し詳しくお話します。厚さ0
.5mmの板に直径0.7mmの穴をあけて、その穴を通して見ると、輪郭がはっきり見えますが、かなり暗く見えます。輪郭ははっきりするのですが、暗さのために良く見えません。暗くならない程度まで穴を大きくする(たとえば直径1.2mmにする)と、屈折異常の度が弱い(±1D以内)場合には良いのですが、度が強くなると十分に矯正できません。従って、球面レンズを併用する必要があります。被検眼屈折度との差を1D以内に抑えれば後はピンホールが矯正してくれる(上図Gの色を付けた部分)ので、従来法のように0.25D刻みに試していく必要がありません。
 たとえば球面レンズの度が−3
.75Dで円柱レンズの度が−0.75Dの近視性乱視の場合、最も度が強くなる方向の度は−4.5Dで、その方向と垂直の方向では最も度が弱くなり、その度は−3.75Dです。被検者は−4Dの球面レンズを選び、ピンホールとレンズを通して見れば、はっきり見えることになります(上図G)。
 ピンホールカメラはレンズの代わりにピンホールを利用します。鮮明な像を得るために、薄膜に針の先でわずかに突いたような小さな穴
(直径0.3mmくらい)を開けます。フィルムに達する光量が少ないので、露出時間を長くすることによって、像を得るようにします。しかし、人の目の場合には、長く見ていたらはっきり見えてくる、というわけではありません。従って、ピンホールをあまり小さくしても、はっきり見ることには役立ちません。

12.内照式視力表・・・半透明の白い板に視標を描き、板の裏側から電灯の光を当て、視標が見えるようにしたもの。検査者が操作盤のボタンを押すと、該当する視標のみが照らし出されます。

13.D(ディオプタ)・・・レンズの度の強さを表す単位。焦点距離をメートルで表し、その逆数。プラス(+)の数値は凸レンズを表し、マイナス(−)の数値は凹レンズを表します。

14.日常視力・・・裸眼視力または、めがね視力(*7)のこと。視力傷害疾患検出のためには日常視力を測ることは不要。しかし日常視力を本人が知っていることには意味があるので(例えば「今の眼鏡が合っていないことが分ったので、眼鏡を替えるまで車を運転しない」など)、この検査を行います。

15.網膜・・・眼球の脳側の内壁に張り付いている膜。光を感じる細胞の集まり。

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