夏期講習の選び方〜中学生編〜

普段塾に通っていない生徒が、夏期講習を選ぶ時のアドバイスです。
■中1の生徒■
 中1の生徒は「量より質」と言える。長時間バリバリ勉強しなくても良いが、全く勉強しないのはマズイ。短くても良いから確実に勉強するのが良いでしょう。
 なぜ中1は、短くてもいいから確実に勉強したいのでしょうか?
@中1の内容は難しくないから
 中1は英語数学とも、易しい内容をいかにミスしないで早く正確に解くかという勉強です。中学校の35人のクラスで30位の生徒でも、学校の先生の説明は、大部分なるほどと理解できます。しかし、一般動詞とbe動詞の区別、負の数の足し算と掛け算の頭の切り替えで混乱して、点数を落とす生徒が目立ちます。とにかく短くても復習するのが大切なのです。
A自分に合った学習塾を探すため
 色々な塾を体験するのに、夏期講習は最適な機会です。入会金は不要ですし、基本的に今までの復習ですので、費用の面でも進度の点でも無理がありません。中3になって、自分に合った塾がわからないと、思いっきり勉強しにくくなってしまいます。
B40日の長期間のペース維持のため
 約40日の長期の休みですし、部活動で疲れる生徒も多いので、ズルズルとペースを崩す生徒がいます。8月30日ごろに「夏休みの宿題に手をつけてない!」と慌てかねません。 やはり、塾に通えば、回数が少なくても宿題も出ますので、勉強のペースを維持できます。

■中2の生徒■
 中2の生徒は、目的をハッキリさせることが重要です。大きく分けて、夏期講習に通う目的は3つに分かれます。何となく友達と一緒に夏期講習というのは、感心できません。
@平均的な生徒 【中位生】
 
中学校で特に成績上位でも下位でもない多くの生徒は、先取りはせずに、中学校ですでに習った内容の復習が適している。塾に普段通っていない生徒は、中間テスト期末テストで80点を超えていても、先取り中心の速いクラスは避けたほうが良いでしょう。なぜなら、範囲の決まったテスト前には一生懸命努力して80点を取れたとしても、半年前に習った内容の大部分を忘れてしまっている可能性が高いからです。
  →→→おすすめは「ふつうの学習塾」です。黒板を使ったクラス授業の方が、授業料が割安でじっくり説明が聞けるのでよいでしょう。部活などで日時が限られる人は「個別指導塾」も良いでしょう。
A学校の授業についていくため 【基礎固め

 中学校の成績がイマイチ(クラスで下から数えて10人に入っている)の生徒は、学校の授業で理解できない部分が結構多いはずです。成績が振るわない生徒は、中学校の授業が無い夏休みが、遅れを取り戻す絶好の機会です。
  →→→おすすめは「個別指導塾」です。わからない箇所まで戻れますので、個別指導塾が最適です。頭は悪くないけど普段サボっているタイプの生徒なら「8人以下の少人数」「進度が遅い」のクラス授業も良いでしょう。
B学校の授業は余裕なので先取り 【上位生】
 中学校のクラスで4番以内、あるいは上位私立高校を狙う生徒は、難しい問題にも動じない鍛え方が必要となります。中学校ではまだ習っていない英文法や関数を夏休み中に勉強して、鍛えるくらいの気迫が必要となります。
 →→→おすすめは「レベルの高い進学塾」です。 ただし、夏期講習だけ受けようとする生徒には、適した進度の塾はなかなかありません。具体的には、普段から習っている生徒はすでに関数や比較まで説明してしまっているので、夏期講習で突然別の生徒が混ざると進度が違って苦しいかもしれません。

■中3の生徒■
 中3の生徒は、質より量が大切です。
 志望校の決定を11月に控え、入試を強く意識して勉強する時期です。丁寧な説明を受けて勉強がよく分かるのは大事ですが、中3は点を取るまで鍛えなくては意味がありません。長時間の勉強で偏差値を上げるのが目的です。乱暴な言い方を許していただければ、上手い先生の授業を1日1時間受けるより、指導経験不足の先生の授業を3時間受けた方が力がつきます。
 中3の塾選びで大切なポイントがあります。
@2学期に学校で習う内容の「先取り」は偏差値60以上の上位校を狙う人だけ
 一部の塾では「2学期の授業を理解するために先取り学習をします」と宣伝しています。上位生は、早く過去の入試問題をバリバリ解くのもいいでしょうが、普通の生徒には先取りは向きません。9月10月の実力テストの結果で志望校が決まりますが、その範囲に3年2学期の学習内容はほとんど入りません。今までに習った内容を十分理解するのが最優先です。
Aクラスが3つ以上に分かれるなら、1クラス20人でも問題なし
 1クラスの人数が20人と5人なら、5人の方が身につくと思われがちです。もちろん先生の上手さにもよりますが、学力別に3段階かそれ以上に分かれているのでしたら、1クラス20人でも問題ありません。少人数だと、学力差があった時に対応しやすいというメリットはありますが、学力別クラスなら学力差の対応はあまり必要ないのです。
B偏差値62以上の私立高校は合格実績がないと不安
 日大習志野、専修大松戸以上の偏差値の私立高校は、入試問題がかなり難しい。学習塾で教える先生が、難しくて教えられないということは普通はありえないが、「教え慣れていないと分かりやすい説明ができるか不安」ですし、「夏休みにはここまで分かっていれば有望といった感覚があると心強い」のです。
C入試情報は、小さい塾でも手に入る
 上位私立高校の情報は別ですが、ほとんどの高校の入試情報を手に入れるのは難しくありません。書店でも売られていますし、千葉県内は総進図書と進学研究会が情報提供を積極的に進めており、やる気のある塾なら十分手に入ります。塾の責任者と話して、情報がスッと出てきたら心配ないでしょう。
D個別指導で理社国を教わるのは、能率イマイチ
 個別指導で英語数学を教わるのは、非常に分かりやすくて能率も良いものです。しかし、理科社会国語は、じっくり説明を聞く必要がありますので、個別指導は能率よくありません。クラス授業と個別指導を選べるなら、理社国は授業がおすすめです。
E部活で勝ち進んだら
 部活が7月20日ごろで引退と思ったら、予想外に勝ち進んで8月5日まで活動が続くといったことがあります。午前中の講習なら、長い間、授業に出られません。その時にどうなるか十分な説明を聞きましょう。よく「夕方に補習する」という塾がありますが、授業を20時間休んで補習は3時間だけ、ということもありえますので「最低授業時間の3割は補習する」「お盆のオプション授業に充当できる」などと具体的に聞きましょう。なお、進度が速い先取りクラスで初めの5日間休んだら、その後についていくのが厳しくなる可能性大です。
F個別指導なら6万円は受けたい
 個別指導は分かりやすいものの、料金の関係で指導時間が短くなってしまいます。しかし大切な受験学年てすから、ある程度の出費は覚悟しましょう。1コマの長さが違いますので料金で言うなら、6万円は受けたいものです。これが高いというのでしたら、4万円のクラス授業の方が指導時間は長いので、そちらをおすすめします。

各学年共通■追加のアドバイス■
@申し込む時には、総額のメモをもらう
 案内のチラシに「中2英数授業2万円」と書かれていても、別のところに「教材費別途3000円」「確認テスト代2000円」などと書かれていることがあります。申し込む前に総額でいくらかかるのか確認しておきましょう。
 2学期からの入会を考えている時には、初回の費用のメモ書きをもらいましょう。9月から毎月2万円であっても、初回は入会金・教材費・テスト代などで別に5万円くらい追加で請求される塾があります。
A個別指導は「連続日程」か「とびとび」か
 個別指導で英語を10回教わる場合、連続して受ける方法と、とびとびで受ける方法の2通りがあります。絶対にどちらが適しているとはいえません。
 個人的には、中3の受験生は「とびとび」をおすすめします。英語10回数学10回を受けるのでしたら、「7月は毎日英語、8月のお盆明けは連日数学」は避けるべきです。連続日程ですと、前日に習った範囲を忘れていませんので、次の指導をしやすくなります。しかし、宿題を大量には出しにくくなります。また9月の初めの実力テストで点数を取るのが重要ですので、7月中に一気に勉強というのは、疑問です。
 中1中2でも、勉強のペースを崩さないためには、どちらかといえば、とびとびの方が良いのではないかと思います。