中学受験のプロ家庭教師とは平成19年8月11日一部追加改定

「プロ家庭教師」といっても、一般の方には、なかなか実態がわかりません。そこで、「ちば進学案内」なりに「プロ家庭教師」についてご案内します。

@定義は いろいろ
プロ家庭教師は、学生の講師ではないのは明らかですが、それ以外、明確ではありません。
「社会人講師」とすると、指導経験ゼロの素人でもプロ家庭教師と呼べることになります。
「家庭教師の収入だけで生活する社会人」と考えても良い気がしますが、塾で週2回・残りの日に家庭教師をする人は除外されてしまいます。
私の感覚では、次の4つを満たしているのが、プロ家庭教師だと感じています。
  @「学生でない」
  A「成績を上げるだけの指導経験と指導力がある」
  B「結果が出なければ即クビになる覚悟を持っている」
  C「時給が高い」

「プロ家庭教師」は、「家庭教師だけする専業家庭教師」と「塾講師も行う兼業家庭教師」がいます。塾講師との兼業といっても、塾で色々なタイプの生徒を教えて経験を積むのは家庭教師にもプラスになるので、どちらが良いかは一概に言えません。
プロ家庭教師の中には、数少ないですが年収1000万円を越える人もいます。プロ家庭教師として安定した生活するためには、年収300〜400万円は必要で、これ以下ですと転職を迫られます。(年収400万円前後でも、大学の同級生よりは低く、あまり余裕はありません。)

A派遣会社の利用
 プロ家庭教師個人では、なかなか「顧客」のご家庭を探すことはできないのが現実です。
 インターネット上で家庭教師を紹介するサイトもありますが、簡単に相手を見つけることは期待できません。これは
@家庭教師の先生が教えに行ける地域が限られている
A塾に週4〜5日通う生徒と指導曜日を合わせるのが結構難しい
B生徒個人との相性もある
Cもちろん指導できる教科も一致しないといけない。
 このため、派遣会社に登録している先生が、どちらかといえば多数派です。もちろん個人で直接教えながら、登録もしている先生もいます。早く仕事を確保するために、2社以上の会社に登録している先生もいます。
 派遣業者から入試情報面などでの支援を受けるにしろ、派遣業者を通すと家庭から支払われる報酬の一部を引かれるます。悪く言えば搾取です。良心的な業者でも3割引かれ、悪徳業者は半分以上搾取されてしまいます。確かにもったいないとも言えますが、メリットもあります。
【家庭教師のメリット】
@「昨年までの指導実績」を評価してくれる派遣業者があるからこそ、家庭教師は成功報酬が基本的にないにもかかわらず、頑張れる。
A3月4月のヒマな時期に仕事が確保しやすくなり、一部業者に差し引かれたとしても年収が上がり安定する。
【ご家庭のメリット】
@入試情報面で不安な家庭教師でも、派遣業者がカバーしてくれる。
A業者がチェックするので、個人契約より「ハズレ」の講師に当たる可能性が低い。
B家庭教師への要望は、業者に伝えることもできるので、要望を伝えやすい。
C入試が迫った時期でも、探す手間と期間をかけずに、すぐ指導が開始できる。

 ちなみに、中学受験をバリバリ教えられる先生は数少ないので、派遣業者にとって確保は容易ではありません。中学受験を全面に打ち出していない業者には、良い先生はいないと考えるのが無難です。ましてや電話勧誘や教材とセットという業者は論外です。
 わかりにくい場合は、不満なら入会金2〜3万の無駄でやめられる業者を選べばストレスは最小限に抑えられます。

B時給は5000円以上
 プロ家庭教師の時給は、学生講師より当然高くなります。時給5000円かそれ以上が相場です。現在時給が高いプロ家庭教師の需要が多いのが「中学受験」と「医学部を中心とした大学受験」ですので、高校受験指導は安くても、中学受験は高めになります。
 中学受験の大手塾では、講師の時給が2100〜3000円ほどです。日能研など1クラスの生徒が30人規模の塾では、4000円前後のベテランもいますが少数派です。明らかに塾より家庭教師の方が高いのです。
 塾より高い主な理由は、2つあります。
@1日の指導時間が短時間。塾だと1日に4時間以上教えられますが、家庭教師は2時間が多くなります。時給を高くしないと一定の収入が確保できません。
A家庭教師は、すぐクビになり不安定。成績が伸びなくてクビになるのは自己責任としても「苦手教科の克服ができた」とか「途中の12月で推薦試験に受かった」という理由でも解雇されてしまいます。

 とはいえ、1時間あたり1万円を越す報酬が適切な先生は、ほとんどいないと思います。悪徳業者ではないと思われる業者には、たとえば「麻布個人指導会」「中学受験ドクター」「東大創秀会」の三社がありますが、どの業者も1時間あたり6000円〜9000円ほどです。

 不思議なことですが、時給が高い家庭教師ほど優れているとは限りません。家庭教師を「国語社会」と「理科算数」の2人に来てもらったところ、時給の高い方の先生は「遅刻が多い」「説明がわかりにくい」「難しい問題に即答できない」「入試情報に詳しくない」ので辞めてもらったなんて話も、珍しくありません。

C多くは学習塾と併用
 塾に通わず、プロ家庭教師だけで中学受験に挑むことも可能です。ただし、難易度が高くない中学なら別ですが、多くの人気校受験では指導料金が毎月20万円は軽く越えますので、現実的ではありません。
 塾の授業は「授業準備を十分してきた専門の講師が指導」「他の生徒と競争心が出る」といったメリットもありますので、お金の面以外にも捨てがたいものがあります。特に理科社会の授業は、20人のクラス授業でも1対1でも、説明の仕方は大きくは違わないので、あえて家庭教師にする必要はないと思います。
 そこで、現実的なのは、塾に週4〜5日通いながら、家庭教師を週1〜2回利用するという方法です。これでしたら、慣れた塾に通い続けるので、勉強のリズムが崩れるようなリスクは低くなります。
【こんな利用の仕方もあります】
★嫌いな先生の教科だけ家庭教師・・・「理科の先生の説明がわかりにくいから、理科だけ塾の授業に出ずに家庭教師にする」といった利用の仕方もあります。
★得意な教科だけ家庭教師・・・小規模塾で、クラスわけが十分できない時、1教科だけ得意な教科があると、時間がもったいない。そこで得意教科だけ家庭教師で鍛えるのも考えられます。(成績上位でしたら塾に相談すれば、安く個別指導してくれる可能性もありますが)
 
Dプロ家庭教師を選ぶ?
 プロ家庭教師は費用がかかるだけに、どんな時でも活用できるわけではありません。どんな時にプロ家庭教師をつけたら効果的か、まとめてみました。
A)大胆なカリキュラムを組む必要がある時
 学習塾で毎週習う範囲を理解させるのでしたら、教える内容はハッキリしています。しかし教える内容がハッキリしない場合は、プロ家庭教師の腕の見せ所です。
 たとえば、小6からの「かけ込み受験」では、受験準備のための日数が大幅に不足します。志望校の過去問から合格点を取るための戦術を分析して、独自の指導計画を立てます。「食塩水の濃度の問題は出題されたとしても難しいから、一切教えずに捨てる」といった判断は、指導経験豊富なプロでないと不安です。
 逆に言えば、毎週の塾の授業内容のフォローでしたら、プロでなく熱心な学生でも大きな問題はないでしょう。むしろプロに週1回来てもらう費用で、学生に週2回来てもらうほうが良いでしょう。特に四谷系の教材は細かい解説がついているので、指導経験がある学生でも、学力があれば熱意でカバーしやすいと思います。
B)成績上位生の指導
 御三家にも手が届きそうな成績上位生は、指導経験が豊富な家庭教師がお勧めです。東大の学生でも、全分野に詳しいわけではありません。大学入試の理科社会は2科目(または1科目)選択ですので、理系の学生で物理化学を選んだ学生は地学を鍛えていません。更に「冬の大三角はベテルギウス・プロキオン・シリウス」というような個々の星の名前については、中学高校ではあまり習いません。(開成中卒の学生でも、星の名前や特殊文章題は結構忘れていて、思い出すのには、指導経験が必要です)
 成績上位の生徒は、塾でも成績に見合った経験豊富な先生から教わっているので、基本的な知識がパッと出てこない家庭教師は、尊敬されません。
C)小6秋からの指導
 入試が迫った小6の秋からの指導は、派遣業者を通したプロ家庭教師が無難です。
 これは、過去の入試問題を解く時期ですので、わからない問題を即答するだけの力量が求められるからです。(小5から小6に上がるころでしたら、もともと先生に学力があれば指導経験が不足気味の先生でも生徒と同様に力をつけてきますので、大きな問題にはならないでしょう。)
 小6の秋に先生を探すのに1ヶ月使うわけにはいきませんので、派遣業者に頼むのが、てっとり早いのです。万一不満があれば、別の先生に短期間で交代できるのも、心強いです。派遣業者は割高ですが、中間搾取されるのが1年2年でなく、3ヶ月程度なら大きな差額にはなりません。
D)分野別でない弱点がある時
 「速さの文章題が弱い」「歴史の明治以降がわからない」「ことわざ・慣用句が不安」という苦手な分野があれば、基本的には弱い分野を時間をかけて教えるしかありません。プロだといっても地道に教える時間が必要です。(だから毎週塾で習った範囲を教えて完全理解を目指すのであれば、学生でも大きな支障はないでしょう)
 しかし、国語で「10字以内で抜き出す問題ができない」、算数で「理解はしているけど文章題でミスが多すぎる」、社会理科で「暗記はできているのに点につながらない」といった、一見対策がとりにくい症状の生徒がいます。素人ですと「時間をかけて問題を解くしかない」と合理的な方法を提示せず、根性だけに解決を求めます。
 このような場合こそ、プロ家庭教師の腕の見せ所です。素人なら「文章題でミスが多い」時に、「理解不十分だから何度も練習させる」ことしかできませんが、指導経験豊富なプロ家庭教師なら原因を見つけて具体的な対策がとれます。
E)保護者が不安でたまらない時
 成績が伸び悩んで志望校合格に黄色信号がともると、お母様・お父様は不安になります。その不安を子どもにぶつけると、子どもがつらくなります。子どもが敏感ですと、母親の不安な顔色を見ただけで、子どもも不安になってしまいます。
 プロ家庭教師をつければ、現在どれだけ力がついているかなど到達状況をひんぱんに報告してもらえます。具体的に「漢字の書き取りは普段から練習しており小テストでほぼ満点。ただ疲れている日は計算小テストのミスが急に増えて不安」などと報告してもらえば、不安も減りますし、叱るにしろ具体的なので子どもの反発も少ないはずです。
 また学生の家庭教師に、「この子の姉さんは成績良いのに、どうしてこの子は・・。甘やかして育てすきて・・。」などと、愚痴るわけにいきませんが、プロでしたらある程度許されます。プロ家庭教師は、合格のためなら、部屋の暖房の温度管理から、不合格の時の気持ちのサポートなど様々な配慮をします。

Eこんな家庭教師は問題あり?
 指導経験豊富なプロ家庭教師の出した考えには、ご家庭が異議を唱えるのは、気が引けることがあるかもしれません。もちろん方針や指導法について納得の行く説明を求めるのが大切ですが、よくある疑問について個人的見解をまとめました。

A)プリント・小テストを作らない
うちに来ている家庭教師は、説明が分かりやすく、難しい問題にも即答してくれます。しかし、小テストや自作プリントを全く用意しません。手抜きにも思えるのですが・・。
 小テストは、毎週習う内容が多くて消化不良ぎみの生徒には、ぜひ作りたいものです。家庭教師が直接教えられる時間は長くないので、自宅で必要な知識を復習して覚えてもらうのに、小テストは必要です。説明して納得させるだけなら、並みの講師でも何とかなります。身につけさせるのが大切なのです。
 ただし、成績上位の生徒は、1回説明しただけで吸収しますので、さほど必要とは思えません。授業終了後などに口頭で確認するくらいでも十分な気がします。
 プリントは「歴史の人物、この50人は覚えろ」のような暗記させる範囲を示したものなら効果的です。しかし、「流水算はこう解く!」のような説明をまとめたプリントは、手間がかかるわりには効果が薄いので、あまり意味がないと思います。

B)文章題を方程式で教える
うちの家庭教師は、つるかめ算を方程式を使って教えています。あまり良くないような気がしますが、どうなのでしょうか。
 中学受験で方程式は使わないのが原則です。具体的には、次のようなことが言えます。
   ※方程式とは「5X+1=2X+13」を解いて「X=4」と答える中学生が使う解法です。
(1)入試では途中式も書く中学は多くない。途中式を書く中学でも、方程式を使うと大幅減点する中学はほとんどない。ただし一部の私立中で途中までできた時にもらえる部分点は期待しにくい。
(2)塾での指導は、方程式を使わない解き方になっている。市販の問題集も同様である。
(3)単純なつるかめ算や和差算、旅人算なら方程式でも問題なく解ける。しかし方程式だと非常に解きにくい問題もあるので、リスクが高い。
(4)プロ家庭教師は、生徒のことを第一に最も適切な教え方をすべき。

 こう考えると、方程式は使わない方が良いでしょう。塾に通っている生徒に方程式を教えても混乱するだけです。小学生に方程式で教える先生は、普通の教え方で指導できない腕の悪い家庭教師の可能性大です。
 方程式を使っても仕方ないのは、せいぜい「前に習っていた家庭教師が方程式で教えていて、今さら替えると、かえって混乱する場合」くらいでしょう。

C)指導の日程をコロコロ変える
家庭教師の先生の都合で、教えに来る時間が1時間遅れたり、他の曜日に移して欲しいと連絡があったりします。予定通り来て欲しいのですが・・。
 遅刻は問題ですね。いくら指導経験が豊富でも、会社勤めをしていて残業で頻繁に遅くなるようでしたら、高い時給をとっていいのか疑問です。
 プロ家庭教師は、高い代わりに「いつクビになっても仕方ない」という覚悟が必要な仕事です。野球やサッカーの外国人選手と似ています。
 まあ次の場合は、別ともいえますが。
★2週間以上前に申し出があった結婚式
プロ家庭教師は、平日の昼間が休みなので、会社員や教員の友人と会う機会が少なく、友人を増やしにくい職業とも言えます。友人の結婚式でしたら、日時の変更かお休みもやむを得ないような気がしますが。
★無理して回数を増やした日の遅刻
12月1月はプロ家庭教師は超多忙です。この時期だけ指導して欲しい・、回数を増やしたいと申し出があった場合、かなり無理して時間をとることになります。移動時間を短縮するために1月にタクシーに70回乗った年もあります。タクシーが来ない、道が渋滞した、不合格で落ち込んでいる生徒を励ました等で遅れるのは、ある程度ご理解いただきたいと思います。

D)成績が上がらない
高い費用を払ってプロ家庭教師に来てもらったのですが、成績が上がりません。腕が悪いと考えて、他の先生に変えた方が良いのでしょうか。
 プロ家庭教師は成績を上げるのが仕事ですから、成績が上がらなくてクビになるのは仕方ないことです。
 ただし成績が上がらなくてクビにするのは3〜4ヶ月待ってください。生徒の成績は、安定している生徒でも4教科総合偏差値で3くらいは揺れ動きます。腕の良い先生が的確な指導をして、どんどん実力がついても1〜2ヶ月ですと、その時の調子次第で偏差値が下がってしまいます。苦手な「速さの文章題」を徹底的に鍛えてテストに臨むと、速さに時間を使いたくなり、易しい計算の見直しができずにミスして、点数が下がるなんてこともあります。
 1〜2ヶ月でもクビにして良いのは、こんな場合です。
(1)説明が非常にわかりにくい、答を頻繁に間違えるなど、学力・指導力がないと思われる場合
(2)遅刻が多い、言葉遣いが乱暴、自分の方針をご家庭に押し付けるなど、信頼できない場合。

E)テスト対策をしてくれない
通っている塾では毎月テストをしている。そこで、テストに向けての対策をして欲しいとお願いしたら「入試で合格させるのが私の仕事です」と言われ、テスト対策をしてもらえません。 これで良いのでしょうか。
 家庭教師の一方的都合で、このようなことを言っている可能性もあります。
 ひどい家庭教師は、「テスト対策をして点数が低迷したら家庭教師の責任になり、クビにされやすい」「テスト対策をするなら使い慣れた教材を使えないので、準備が大変だし、即答が必要な場面が出てボロが出やすい」と考えて、テスト対策をしたがらない傾向にあります。
 しかし、基礎ができていない生徒には、塾の進度から離れて基礎固めをしたい(特に国語)と考えるのは、無理のないことです。
 私ならこうします。
(1)使う教材はどんな生徒に有効で、どんな生徒に不向きなのか具体的に聞くと良いでしょう。志望校や現在の学力によって効果的な教材は異なります。「海城の社会は記述が重要だが、知識はあっても表現力がない。だからこの記述問題集を進める」などと説明されて納得できればお任せしていいでしょう。
(2)2時間の指導時間のうち、20分でもいいのでテスト対策をしてもらうといいでしょう。20分でも一番必要な指導1つは可能です。入試向けに必要な指導にはほとんど影響がない時間です。これも家庭教師側に拒否されたら、私なら信頼できないと思い指導をお断りします。

F良い先生を探すには
 個人契約にしろ、派遣業者にしろ、良い先生を探す方法をまとめました。
A)求める能力を具体的に表現する
 派遣業者ではなく、紹介サイトや知り合いの紹介で家庭教師を探す際には、特に具体的に求める先生の能力を表すと良いでしょう。
 志望校が決まっていれば「東邦大東邦に向けて算数の指導してくれる先生」でも良いでしょう。紹介を知り合いに頼むのでしたら、「東邦大東邦や市川学園の入試問題を十分教えられる先生」、あるいはもっと突っ込んで「東邦大東邦レベルの過去問を8割の時間で9割の点が取れる先生」と明確にしておけば、後でトラブりません。(良心的な先生なら自分で解いて、力不足を感じたなら辞退してきます。) 高い給与のプロ家庭教師なら、8割の時間(50分の時間なら40分)で最低85%、できれば90%とれる先生でないと不安です。満点、と言いたいところですが、問題文の条件の見落とし等のうっかりミスもありますので、どんなに立派な先生でも満点は酷といえます。
 ちなみに「教えたい」という先生が複数いて、ご家庭が選べる立場でしたら、筆記試験をするのも悪くないと思います。ただし試験をするとなると、「教え始めてからも面倒な注文をされそうな家庭だな」と家庭教師に思われて、辞退される可能性もありますので、注意が必要です。
B)1学期なら週1回で始める
 プロ家庭教師って、本当に効果あるのか不安でしょうがない、という方は、週1回で3ヶ月来てもらって再考するのも1学期でしたらありでしょう。週1回だけ来てもらって、高いお金に見合った指導だなと思えたら週2回に増やすのも良いと思います。2月上旬の入試終了後から1学期は、プロ家庭教師は比較的ヒマですので、たいてい回数の増加は歓迎されます。逆に無駄だ、と思えたら、週1回・時給6000円を3ヶ月で15万円前後かかりますが、使う費用の上限が明確ですから、とりあえず試してみるのも良いでしょう。
C)遅い時間の利用
 11月ごろになると、腕の良いプロ家庭教師は空きがなくなってしまいます。そんな時にお勧めなのは、夜8時半以降の遅い時間の利用です。
 中学受験の家庭教師は、普通午後5:00〜7:00あたりの2時間で、少し延長してご家庭を出るのが7:20ごろというのが代表的パターンです。部活がない小学生の指導ですと、5:00とか5:30に指導を開始して、終了後の7:30ごろから家族で夕食という時間の使い方になります。
 ですから、入試が迫った時期でも、夜8時以降は空いているプロ家庭教師が結構いるのです。腕の良い先生に何とかして教わりたい、回数を増やして少しでも力をつけたいといった場合は、遅い時間の利用が有効です。
 更に遅い時間のメリットは、1回の指導が1時間〜1時間半でも嫌な顔をされないという点です。どうせ1軒の指導が終わった後の半端な時間ですから、1回1時間半でも家庭教師は稼げてありがたいものです。  毎週3時間教えるのでも、1回来て3時間教えるより、2回来て1時間半ずつ教える方が宿題を出しやすくて効果的ですので、費用対効果の面からも有利です。
D)ニコッと笑ってチクッと釘を
 派遣会社経由でも直接契約でも、指導する家庭教師には初めは丁寧にお願いするのが基本です。
 しかし、初めから家庭教師に対して冷たい視線を浴びせるご家庭もあります。「昨年持った生徒は、偏差値を7上げて、東邦は落としたものの、第一志望の市川学園に合格させました」と説明したら、東邦を不合格にした原因をネチネチと追求してくるような対応です。(就職試験での圧迫面接のよう!) ボッタクリ業者に、高いけれども力のない先生を押し付けられて成績を上げられなかったような、痛い思いをしたご家庭でありがちです。
 こんな対応では、体験指導の後で正式依頼したら、家庭教師から「あのような乱暴な応対をされては、お引き受けできない」と言われることがあります。派遣会社からは「先生、あの家庭はうるさいから、交代の要求が出ても先生の責任じゃないからね」などと同情されることもあります。
 問題があったら苦情を言うのは当然ですが、普段から・初めから冷たく当たるのは、お互いのためになりません。普段はニコッと笑って、苦情を言う時は厳しくチクッと釘を刺すのです。

G小6で成績が上がる場合

(1)原因が明確な場合は伸びる
「塾替えなどで進度がずれた生徒」「病気で塾を1ヶ月ほど欠席して習ってない部分がある生徒」
→→→原因が明確でしたら、抜けた内容を一通り指導すれば良いのです。このように対策がハッキリしている場合は成績が上がりやすいと言えます。
(2)駆け込み受験は伸びる
「小5の終わりから小6にかけて受験勉強を始めて出遅れている生徒」
→→→まだ本格的に受験勉強をしていないので、これから成績が伸びる余地が十分にあります。ただし、小2から始めた人と小4から始めた人の差は、あまり大きくありません。
(3)素直な生徒は伸びる
教えた解き方を素直に吸収して利用する生徒は、伸びます。素直といっても「勉強しなさい!」と言われて「ハーイッ」と勉強始める素直さとは質が違います。
→→→たとえば「13の倍数は100以下に何個ありますか」という問題で、「13、26、39・・・」と数えて答を出した生徒がいたとします。「100÷13で答は出る」と十分説明した直後に、「14の倍数は200以下に何個ありますか」と類題を出すと、「14、28、42・・・」と自己流の解き方で頑固に解く生徒は、正直言って伸びません。性格を変えないと成績は上がりません。
(4)不真面目な男子は、意識を変えられるかがポイント
頭の回転は遅くないが、勉強嫌いで努力しないため、伸び悩んでいる男子がいます。意識を変えられれば、急激に成績が上がりますが、そうでなければ他の生徒が必死に勉強する秋以降にズルズルと偏差値が下がります。
→→→どの教科も、鉛筆をどんどん動かして頭を楽にできるかが重要です。
国語では「10字で抜き出せ」で怪しいと思って確かめた場所は全て印をつけて見直ししやすくする。
算数では「わかってから書くのでなく、図や公式を書いているうちにひらめく」という発想ができるか。
(5)元気があれば比較的伸ばしやすい
おとなしい生徒よりも、元気がある生徒のほうが、家庭教師の働きかけによって、意欲を引き出しやすいのは事実です。先生の説明に対して、すぐ反応して冗談を言い返してくる生徒の方が、やる気を出します。黙々と説明を聞いて、放っておいても宿題をきっちりする生徒は、家庭教師が来なくても一定の努力はするのです。
(6)基礎的な計算力がないと伸びない
繰り上がりのない掛け算(32×3)、掛け算九九にある範囲の割り算(72÷8)は、最低限暗算で解きたいです。それに近い計算(12×5、72÷6)はパッと解きたいものです
(7)理科社会の説明文を読む国語力がないと伸びない
理科社会のテストで、問題文の意味が読み取れないで点数を落とす生徒は、「読解力に欠ける」「雑な性格」のどちらかと思います。理科社会の問題の意味を読み取る読解力に欠けると、知識が増えても思うように点数は上がりません。

ですから、小学校1年から塾通いして偏差値45、計算力がなくて、一応真面目だが元気がないような生徒は、正直言って簡単に伸びない可能性が大です。まあ、大幅に伸びなくても、できるところまで伸ばすのがプロですが・・・。
この部分は私が家庭教師を引き受ける時に、成績が伸びそうか厳しそうか説明するのに、あらかじめ明示しておくほうが説得力あるかな・・という想いでまとめたものです。

Hプロ家庭教師への心遣いって?
(1)お茶は、あまり気にしないで
基本的に、お茶で悩む必要はありません。ナシでOKです。会社で働いている場合でも、3時間くらい休憩なしで仕事をします。
お茶のメリットは、「終了後に『お茶』という名目で、今日の指導内容の報告や受験校の相談の時間を確保できる」あるいは「生徒にとって、嫌な勉強をすればケーキが食べられるというご褒美であり、先生と無駄話をして仲良くなる時間を確保できる」という面があります。
指導する立場からは、何か飲みたかったら来る前か教えた後に自動販売機で飲めば良いのですが、夏の暑い日は冷房があったとしても途中で冷たいものを飲みたくなります。冷蔵庫に缶入りの飲み物をいくつか用意しておくだけで十分すぎますが。
(2)送迎は、かなり不便な場所だけ
 駅から徒歩15分でしたら、自動車での送迎は不要でしょう。バス利用の場所でも、「バスが渋滞したら、その分の遅刻は気にしないでください」と伝えるだけで、かなりの配慮になります。
 送迎する場合でも「今日は都合で車を出せないので、徒歩(あるいはタクシー)で来てください。10分遅れで結構です」のように、無理な日は送迎ナシでよいでしょう。
 送迎をすると、車の中の生徒がいない状態で保護者に、報告ができるというメリットもありますので、帰りだけ送迎するというご家庭もあります。
(3)心遣いより当たり前のことを
 特別な心遣いより、当たり前のことをしていただく方がありがたく思えます。過去に、これに似たようなことがありました。
「必要な連絡がない。夜6時半に生徒宅に着いたら、『あら先生来ちゃったの? 今日は修学旅行に行っていて、いないのでお休みにしてください。交通費は出しますから』と突然言われたことさえある」
「毎週指導していた生徒の親から、私の知らない間に『○○○○中学に推薦で入ることになって、今日は誓約書を出してきました』と突然報告を受けた。どう見ても合わない中学だったが、こっそり決められては、この時点では止められなかった(その後、不安が的中し退学寸前になったが、我慢したそうだ)」
「テストの結果が返却されてきても、毎回成績表は家の中のどこかに行方不明。家庭教師はなかなか答案と点数をチェックできない」
(4)合格御礼は基本的に不要?
 考え方が分かれる問題ですが、合格御礼は、基本的に不要と思います。合格できるかはその時の運でも、成績を上げられて当たり前とも言えるのがプロですから。(合格御礼まで必要と考えられてしまい、プロ家庭教師が敬遠されるのを恐れます)
 まあ「中学校に入学してから何か相談したいことがあったら気軽に連絡できそう」とか「規定の時間外にも無料で動いてもらった御礼」ということで、何か渡すこともありますが・・・。 私は、偏差値を上げて感謝されることは毎度のことですが、第一志望合格までは手が届かなかったことが多いためか、あまりもらったことがありません。(^O^)
 個人契約の家庭教師でしたら、「時給は低めに抑えるけれども、志望校に合格できたら40万円ボーナス」という条件もアリでしょう。しかし、2月1日の第一志望校を別の学校に変更して合格した場合や、偏差値は上がったが当日インフルエンザで受験できなかった場合など、トラブルのもとになるので、細かく決める必要がでてきます。(ですから、あまり現実的とは言えないようです)
(5)受験校の相談は、基本的に無料?
 「受験校を変更するか」「今後の指導内容をどうするか」など、保護者と家庭教師がまとまった時間をとって相談する場合、追加料金が発生するのでしょうか?
 これも考え方が分かれますが、私は「授業の前後の家庭教師側が都合の良い時間」でしたら無料、相談だけのために足を運ぶなら有料、これが基本だと思います。
 無料でよいのは「授業のついで」で「あらかじめ家庭教師の都合が良い時を選んでもらう」時でしょう。教えに行った時に「今日の授業終了後空いてますか」では、簡単に断れません。「次回かその次あたりの授業の前後で志望校の相談をしたいのですが、ご都合はどうですか?」と話があれば、無理なく都合つく日時を探してもらえます。

Iこんなことは?〜Q&A〜
Q:家庭教師の給与は後払い?
A:個人契約の場合は、後払いが基本です。回数が確定する前に払うのも、実務上不自然ですし。そもそも働く前から給与を払うという感覚は理解できません。前払いを強く求める家庭教師は断るのが無難です。まして1ヶ月分ならともかく、何か月分も前払いするのは、個人契約でも業者でも危険すぎますので絶対に避けるべきです。

Q:プロ家庭教師に習っていると塾の先生に言う?
A:多くの塾の先生は、生徒がプロ家庭教師に教わるのを嫌がります。塾の指導では物足りないという不信感の表れと思われることもあるからです。また学生でなくプロですと、生徒のノートを見て塾の指導の至らない部分を保護者に指摘することがあるからです。塾の指導がイマイチでも合格できる確率が上がって、合格実績が出せるぞと考えることはないでしょう。
ですから、タテマエを振りかざす先生に「プロ家庭教師に週一回来てもらってます」と言ってはいけません。かなり理解ある先生でしたら、場合によっては言ってもいいでしょう。

Q:病気で休んだ時の給与は?
A:個人契約で、生徒が病気で休んだ時の扱いは難しいものがあります。
言えるのは「前日までに休むと連絡があった時は給与なし」で、「当日生徒宅に到着してからは給与支給」というのが基本ということです。生徒宅に着いてからのキャンセルは家庭教師の立場からは、指導しなくても時間を使っていますし、電車に乗っている時に連絡があってもそれに近い感覚です。
問題なのは夕方5時に指導開始で、午後2時に「風邪で学校で気分悪くなって今早退しましたので今日は休みます」と電話があった場合。私ならお金はいただきません。(これで請求すると家庭教師側も病気で休めなくなります。私は39℃の熱でも教えてタクシーで帰宅たら40.1℃だったことがありますが・・・)
ただし、こんなことが続くと、「生徒の意欲が低く教えるのが大変」と言った場合は、家庭教師から指導を辞退する口実になりますので注意。

Q:防犯の心配は?
A:個人契約でも派遣業者でも、最低限の防犯はしたほうが良いでしょう。たとえば、
(1)金目のものがどこにあるか分かりにくいように。10年以上前に伺ったご家庭では、下駄箱に100万近い現金が入った手提げ金庫がしまってあったけど、もしなくなったら疑われたはずだ。場合によっては、授業後の話はリビングでなく、生徒の部屋で全部すませるのもアリ。
(2)おとなしい女子を男の先生が教える時は、ノックナシでいきなり保護者が入るのもあり。私は冷暖房や騒音の関係がなければ、誤解されないように女子を教える時は扉を自分からは閉めません。


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