中学受験の基礎知識
中学受験に詳しくない初心者向けに「中学受験の基礎知識」をまとめました
@私立中学とは
全員通える公立中学に通う代わりに、自主的に私立中学を選ぶことも認められています。
もちろん、授業料は高く、テストの点が悪いと合格できないので、誰でも自由に選べるわけではありません。
ほとんどの私立中学は、系列の高校にほぼ全員進学できます。極端に成績が悪くなければ、高校入試なしで高校に進学できます。高校入試をせずに高校に行けるので、はじめから大学入試に向けて勉強できるし、部活動も高校受験で中断せずに取り組めます。
公立と違うのは、学校独自の方針で個性ある教育ができるという点です。国府台女子学院(市川市)は仏教系の学校ですし、都内にはキリスト教系の学校も多数あります。施設設備に力を入れている学校も多数あります。先生の転勤は基本的にないので、保護者が卒業した学校に子どもを入れたら担任は保護者を教えた先生だったりします。
私立中学をやめると公立中学に転校することになります。中学は義務教育なので、保護者は通わせる義務があることになっています。(保護者が家業を手伝わせて学校に通わせないのはダメという趣旨です) ただ、転校した公立中の立場からすると、私立に適応できなかった問題ある生徒が来たのかな?と思われて、積極的に歓迎されはしないでしょう。 できる限り慎重に私立中は選んで、中退するようなことがないようにするべきです。
A入試の方法
中学入試は、テストの点で合格者が決まる非常にスッキリした入試といえます。
高校入試のように、「内申書の影響」「推薦入学」はほとんどありません。 「第一志望」の受験生を優遇する制度もあまり見られません。(金を出せば点数を取れなくても合格できる『裏口入学』もまずありません) 入試当日に点数を取れば合格できると言ってよいのです。
入試教科は、ほとんどの難関校は「国語・算数・理科・社会の4教科」です。比較的入りやすい学校は「国語・算数の2教科」です。男子の難関校は、ほぼ全部4教科になっています。
■参考■千葉県内私立中偏差値(2005年春)
(偏差値は首都圏模試。偏差値・入試教科は2回入試などで複雑なので、乱暴なのを承知で大まかに表示しました。)
中学名 |
渋谷
幕張 |
東邦大
東邦 |
市川 |
国府台
女子 |
専修大松戸 |
麗澤 |
日出
学園 |
八千代
松蔭 |
和洋
国府台 |
聖徳大
付属 |
昭和
学院 |
偏差値 |
69 |
63 |
60 |
57 |
54 |
50 |
44 |
43 |
41 |
40 |
37 |
入試教科
|
4教科 |
4教科 |
4教科 |
2科4科選択 |
4教科 |
4教科 |
2科4科選択 |
2教科 |
2教科 |
2科4科選択 |
2教科 |
偏差値50以下の学校に合格するのは難しくないと思うかもしれませんが、中学受験をする生徒の多くは初めから成績が良く、なおかつ必死に勉強しているのです。小4から勉強を始めて1日4時間受験勉強したけど偏差値45くらいしかならなかったという生徒も大勢います。
たとえば偏差値44の日出学園は高校入試の偏差値では60くらい、八千代松蔭も普通クラスでも58くらいの人気校です。中学入試で入るのは「お買い得」と考える人も大勢います。
B勉強を始める時期
受験勉強は、小学4年から始めるのが基本と考えます。塾の小3クラスでは知識を詰め込む問題は少ないので、無理して塾に通わせることはないでしょう。その代わり、自宅で漢字や計算の練習をさせて、本を読めば問題ないでしょう。日曜日には博物館、お盆には帰省して田舎の自然に触れさせるのも、小5小6になって知識を定着させるのに役立ちます。
もちろん小学校2年3年のクラスに通わせるメリットもあります。子どもが塾に慣れる、勉強に慣れて生活の一部にできます。先生の話を聞く、ノートを要領よくとるという習慣も身に着きやすくなります。保護者にとっては、受験情報を仕入れ、塾を知る期間になります。(塾が合わなければ本格的に始まる4年には転塾できます)
小4になると時間は短いものの受験勉強らしくなります。学校では習わない難しい内容も含まれますので、渋谷幕張・市川・東邦大東邦などの難関校を目指すなら、小4の時から4教科を塾で鍛えたいものです。
小5から難関校に合格する生徒もいます。大ざっぱに言えば、小5で習う内容のうち3分の1くらいは小4の時に習っているので、小4からの生徒は3分の2で良いと言えます。小5からの生徒は、他の生徒の1.5倍覚える必要が出てくるので、きついのは覚悟しなくてはなりません。
小6から受験勉強を始める人は2教科受験になります。理社を含めた4教科での受験は、まず無理ですので2教科受験となります。
2教科受験に限られる理由は
@塾では小6の夏休みまでに受験範囲を一通り教えて、あとは問題演習の期間に入ります。そのため小6から塾に入ったら進度がまるで合わない。
A偏差値55以上の生徒は4教科でないと受けられる中学は少ないが、1年間で55以上になるのは非常に険しい道になる。4教科に手を出して偏差値45になるのなら、理社の勉強時間を国算に絞って2教科の偏差値50にした方が得策。
C塾に通う
中学受験に挑むには、学習塾で鍛える必要があります。偏差値40前後の中学なら、特別な勉強をしないでも合格する優秀な生徒もいますが、普通の人は無理です。家庭教師だけで難関校を受験しようとすると、毎月10万円は軽く越えるでしょう。
塾を選ぶ際のポイントとしては、
(1)合格実績・・・・中学入試は指導経験が圧倒的にモノを言います。高校入試なら、有名大学出身の先生が脱サラをして塾を開いても何とか対応できますが、中学入試は特殊技能ですから指導経験がない素人に任せるのはかなりの冒険になります。(内臓の手術を頼むなら、親切・丁寧な内科医より、性格がイマイチでも専門知識がある外科医を選ぶべきなのと同じです。)
また非常にレベルの高い開成中を目指すのに、御三家の合格者ゼロでクラス分けなしで授業を行う塾では、補習をしてくれても退屈で「浮きこぼれ」てしまいます。志望校と同じくらいの生徒が多数通っている塾だと、大きなハズレはないでしょう。
(2)通う時間・・・・きちんと鍛えてくれる塾が自宅から10分以内という地域は、あまりありません。電車に乗って通うのは仕方ありません。ただ小6になると週5回くらい通うことになりますので、できれば30〜40分以内にしたいところです。
(3)教える先生・・・・大きい塾は、算数の先生だけで5人いたりしますので、教室責任者の話を保護者が聞いて判断しましょう。
(4)納入金額・・・・大手では極端に違うことはありませんが、小6になると日曜日にはオプションの授業を選択して結局毎月10万円近くなってしまうこともあります。
(5)指導形式・・・・例外は多数ありますが、大きな塾は指導実績のあり説明が上手い先生が多数いますが、そのかわり1クラスの人数が多く(40人くらい)欠席時などの補習が弱い傾向があります。宿題を大量に出す塾もありますが、テストに向けて復習する必要はあるものの宿題はない塾もあります。
D大手塾の種類
■四谷大塚■
大手塾でわかりにくいのは、「四谷大塚」です。「予習シリーズ」をはじめ優れたテキストを作り、平日に授業を実施し、毎週日曜に理解度をチェックするテストをしています。
「テキスト」・「平日の授業」・「テスト」の3つのうち、「平日の授業」という最も大事な部分を、他の塾で行っても構わないシステムになっているのが特徴です。四谷大塚の教材を使い、毎週の四谷大塚のテストの進度に合わせて授業をする「四谷大塚の準拠塾」があるのです。準拠塾の中には小さな塾も多いのですが、栄光ゼミナール、早稲田アカデミーなど大手塾もあります。
平日も四谷大塚の校舎に直接行って授業を受けることもできます。四谷大塚の校舎は、千葉県内では津田沼と柏にあります。1クラスの人数が多く予備校のような教室ですが、先生の力は非常に優れています。
■日能研■
中学受験塾で一般の人に最も広く知られているのは日能研でしょう。青い「Nカバン」を背負って通う生徒も目立ちます。入試情報を分析する力は非常に優れたものがあります。指導力のある先生が大勢の生徒を指導するスタイルですので、わかりやすい授業が売り物です。日能研は「テキストを作る」「授業を行う」「テストをする」の全部を行っています。
教室は、西船橋、本八幡、津田沼、千葉、松戸、柏、浦安、新浦安にあります。
■市進学院■
昔は市川進学教室という名称だけあって、千葉県内に多数の校舎がある学習塾です。
四谷準拠でなく独自の教材を使って鍛えています。小学生は7時までに授業を終える方針のため、夕食は自宅に帰って食べられます。
■サピックス■
授業の進度が早く、成績上位生向けの授業を行います。一定以上の頭脳と、勉強時間が不可欠。生徒数は日能研・四谷大塚よりずっと少ないが、難関校の合格者数は互角以上の実績を持ちます。千葉県内では、松戸・柏・西船橋に教室がある。
■栄光ゼミナール■
四谷大塚の準拠塾。他の大手塾に比べると少人数のことが多い。生徒数が多いのに比べると難関中学の合格者は少なめだが、地道に指導している。