会場テストの利用
中3の受験学年なら、会場テストを受けて、入試に向けて準備をしましょう。
@会場テストとは?
 偏差値と合格可能性が出る学力テストを私立高校を会場にして行うテストのことです。
 学習塾・書店などで代金を払ってあらかじめ申し込み、日曜日に会場となる私立高校に行って5教科の学力テストを受験します。テストから12日くらいして、答案と成績表が返され、偏差値や合格可能性を知ることができます。

A中学校の「実力テスト」と、どこが違う?
 各中学校では、中間テスト期末テストの他に、出題範囲が「今まで習った範囲ほぼ全部」の「実力テスト」を、中3の時期に3回くらい行います。中間期末テストの成績は、直前に決められた範囲をどれだけ勉強したかで成績が決まる面があります。
 たとえば真面目な生徒がいて、中3の1学期に数学の因数分解と平方根を徹底的に勉強して期末テストで88点・通知票で5を取ったとします。しかし、半年以上前に習った図形の証明や一次関数をほとんど忘れてしまった生徒も珍しくなく、その場合、範囲の決まっていない実力テストだと40〜50点しか取れません。
 高校入試は、範囲の決まっていない筆記試験で何点取れるかで合否を決まりますので、中間テスト期末テストの点数は、案外当てになりません。そこで、実力テストを中学校でも行うのです。
 中学校の「実力テスト」と「会場テスト」は、問題の質は基本的に同じです。というのは、千葉県内の多くの中学校では、実力テストの問題を会場テストの会社から買っているためです。(中学の先生も問題は作れるのですが、リスニングなど作りにくい分野があり、1教科に何十時間も労力を使うため、業者に任せるのが正解なのです)
 中学校の「実力テスト」と「会場テスト」が違うのは、
(1)偏差値と合格可能性が明確に出される
(2)慣れない会場なので、入試の雰囲気に慣れることができる


B「進学研究会」と「総進図書」
 千葉県内の有力な会場テスト業者は、進学研究会と総進図書です。
 実は10年ほど前はこの2社は1つの会社だったのです。大ざっぱに言えば、進学研究会は東京に本社があり千葉には支社がありましたが、進学研究会本社の方針に千葉支社の社員が異議を唱えて退職し、新たに総進図書を作った経過があります。両社とも問題作成面やデータ分析面での不安はありません。強いて言えば、総進図書は昔からの公立中学の先生とのつながりが強い点が有利、進学研究会は都内の私立高校の情報に強い点が強みといったところでしょうか。
 なお、進学研究会と総進図書が競争してくれるおかげで、中小塾は助かっています。両者とも積極的に入試情報を学習塾に提供して、データの量と正確さをPRしています。このため千葉県内の中小塾は、入試情報面では大手にかなり太刀打ちできる状況になっています。

C進学研究会「Vもぎ」と総進図書「総進もぎ」
2種類の会場テストの特色と比較をまとめました。

  進研「Vもぎ」   総進もぎ
 1回3800円(税込み)
3回以上申し込むと1回3500円に割引
1回の受験料  1回3500円(税込み)
3回以上申し込むと1回3000円に割引
公立2校・私立2校の計4校 志望校判定 4校まで(公立・私立は自由選択)
英数国理社の5教科(1教科50分)
英語はリスニングあり。
教科・出題内容 英数国理社の5教科(1教科50分)
英語はリスニングあり。
通常は「県立Vもぎ」、更に2学期は私立高校の入試を想定した「私立Vもぎ」「私立マークシートVもぎ」も実施。 その他の特色 特色化選抜の合否判定も出る
入試を想定して制服着用
リラックスベア(合格熊人形)プレゼント
Vもぎ会場(昨年7/10の例)
「植草文化女子高校」「東葉高校」
「日大生産工学部」「昭和学院高校」
「東海大浦安高校」「聖徳大学」
「芝浦柏高校」「二松学舎沼南高校」
 会場 総進もき会場(昨年7/10の例)
「植草文化女子高校」
「聖進学院(津田沼)
「柏商工会議所」
「愛国四街道高校」
県立Vもぎ 6/4.7/2.8/27.9/24
.10/22.11/5.12/10.12/17.1/7.1/14
2006年
会場テスト日程
まだ情報は入っていません(昨年度は8/28、9/23、10/16、11/6、12/4、1/9)
私立Vもぎ 9/17.10/8.11/26.12/17
http://www.shinken.co.jp/
会場テストについての説明があります
申し込みは「塾」「書店」「インターネット」で
ホームページ

Dいつ会場テストを受ける?
 会場テストは回数を絞った総進もぎの方でも7回あります。全部受けるのは現実的ではありません。いつ何回受験したらよいのでしょうか?
(1)中間テストなどの前は避ける
2学期の中間テストが10月17日からでしたら、直前の10月16日の会場テストは受けてはいけません。中間テストに全力を注ぎましょう。 
推薦入試で有利になる可能性がある英語検定3級(またはそれ以上)の試験は、2005年10月14〜16日に一次試験、通過した人は11月13日に二次試験をします。英検を受ける人は11/13の県立Vもぎは(一次で落ちれば別ですが)受験できません。
この他、各種学校行事でも受けられなくなるかもしれません。
やはり、大事なテストの前などを避けて受けるのがよいでしょう。
(2)8月末から10月は、ぜひとも受けたい
8月末から10月末にかけての期間には、会場テストをぜひ複数回受験したいものです。その理由は・・・・
@11月以降だと志望校決定に間に合わないから
たとえば11月6日の総進もぎを受けると、成績が返ってくるのは11月17〜20日ごろになります。志望校を決定する三者面談は10月下旬から11月にかけてなので、志望校決定に間に合わない可能性が高くなります。10月中の会場テストなら、三者面談に間に合う場合が多いでしょう。
A勉強の目標と奮起の材料になるから
多くの中学は9月2日ごろ実力テストをします。しかしその次のテストは9月末か10月初めの実力テストまでありません。その間、当面の近い目標がありません。また、会場テストを受けて返ってきたら「英語が悲惨な点数だ、こりゃまずい。頑張らなきゃ」などと反省して決意を新たにする材料になります。しかしテストを受けなくては、反省と奮起をするきっかけになりません。運動部でも、試合に出れば反省する材料が多く、普段の練習にも身が入るのと同じです。

E会場テストQ&A
:偏差値が9月に50、10月に44、11月に55と変動しました。どの数字を参考にしたら良いでしょうか?
10月と11月で偏差値が11上がっていますが、これは勉強して実力がついたからではなさそうです。10月は「会場に遅刻しそうで駅から猛ダッシュしてバテていた」とか「国語で時間配分をミスして、精神的に他の教科にも集中できなかった」のかもしれません。
 ですから、この3回では何とも言いにくい面がありますので、12月にも会場テストを受けましょう。12月も偏差値55と出れば、自信を持って55の学校を受けられます。11月に受けただけで「最新の55が自分の実力」と思って受験校を決めると、全滅しかねないので危険です。
 変動が激しい生徒の場合、入試当日点数が予想外に取れない可能性がありますので、「併願校の中にかなりの安全校を入れる」か「内申点で併願推薦を取る」かして、よもやの全滅を避けるべきです。
 とはいえ、変動が激しい生徒は、「時間配分に慣れていない生徒」、あるいは生物はバッチリだが水溶液はダメというような「苦手分野がある生徒」です。中3の秋以降、勉強を重ねると、調子の良し悪しによる変動は小さくなっていきます。

:渋谷幕張と学芸大附属が志望校です。どの会場テストを受けたら良いでしょうか
渋谷幕張、国立、早稲田慶応の附属などの難関校は、非常に難しい問題が出題されます。確かに県立千葉・船橋・東葛飾も難関校ですが、一般入試では他の県立高校と同じ易しい500点満点の問題をミスしないで460点取る入試ですから、種類が違います。
 中学校では習わない難しい問題が出される上記のような高校を受ける生徒は、「Vもぎ」「総進もぎ」ではなく、「駿台模試」をおすすめします。予備校で有名な「駿台」が実施する会場テストで、ものすごく難しい問題が出題されます。
 個人的な考えでは、県立船橋が第一志望で、併願校が日大習志野・専修大松戸の受験生でしたら、駿台模試は必要ないと思います。通っている塾の進度が更に上位の高校を目指すカリキュラムなら話は別ですが・・・。

:予想外に低い偏差値が出てショックです。本当に正しい偏差値なのですか?
低い偏差値が出た理由は、一言で言えば、鍛え方が不十分で『荒削り』だからです。パターン別にご説明します。
@英語が低い・・・長文に慣れていないためでは?
県立高校入試の英語は、リスニング以外はほとんどが長文問題です。単語と文法は易しいのですが、長文形式なので簡単に点が取れないのです。ですから、基礎力があって長文に慣れた人は80点を越す一方で、長文に慣れない生徒は20〜30点しかとれません。(現に公立入試では、80〜90点と20〜30点前後に生徒が多く、40〜50点前後に少ない分布です)
これから英語を勉強して、知らない単語があっても、めげずに長文を読むのに慣れれば、20〜30点の点数は、急激に伸びていく可能性大です。
A数学が低い・・・見直しが不十分なのでは?
数学の問題は易しい問題と難しい問題の間に、とてつもなく極端な差があります。2005年2月に出された証明問題は、正答率が2%でした。ものすごく難しいのです。こんな問題は捨てなくてはいけないのに、全部埋めようとして格闘する生徒がいます。
難しい問題に手を出す時間があったら、計算などの易しい問題を見直しましょう。特に数学が苦手な生徒は、計算の35点を1問ミスで30点取り、その他の確率などの易しい問題で10点取って40点狙う戦術が立てられます。35点ぶんの計算7問をたった7分で解いてミス続出、難しい問題で無駄な抵抗をするような戦術では、偏差値が上がるわけありません。
B理科が低い・・・苦手な領域が原因では?
理科は、狭い領域から約16点一気に出題されます。たとえば中1の大地の変化では、「地層と岩石」「火山」「地震」の3つに分かれますが、出題されるのは1つの領域だけなのです。火山が1問・地震が1問・地層が1問・・・というのではなく、「火山から4問出題」「地震・地層の出題は一切なし」という出題形式なのです。運悪く苦手な分野に当たったら一気に点数が下がってしまいます。ですから、一通りの分野を復習していない7月8月のテストでは、理科の偏差値が乱高下します。
C社会が低い・・・問題文をよく読んでいないのでは?
会場テストが形式を真似ている公立高校入試は、問題のページ数が社会だけ他の教科の約2倍あります。1ページもの長い説明文があって問題はたった2問だけだったりします。ここまで問題文が長く、図表が多いと、問題をじっくり読まない生徒が目立ちます。問題をよく読んで時間ギリギリまで粘る姿勢が求められます。