明日も明後日もそのずっとずっと先まで。
君と一緒にいられますように。
明日も晴れますように。
Jiro Akutagawa
「――― もしもし?」
『ー?オレオレ、ジロー!』
「……え?ジロちゃん……?」
『うん!』
「…………明日は雨かしら」
『何だよう、それー!』
「だって今何時だかわかってる!?10時よ、朝のじゃないのよ、夜のよ!!」
『朝の10時だったら学校行ってなきゃおかしいっしょ!』
「そういう問題じゃない……」
『じゃどーゆー問題だっつーの』
「どういうって……ジロちゃん眠くないの?」
『うん』
「何かあったの?」
『うんにゃ、べーつにー?何となくの声が聞きたくなっただけ!』
「私の?」
『は俺から電話もらって嬉しくないんかい?』
「もちろん嬉しいけど!だけどこの時間にジロちゃんが起きてるなんてすごく珍しいから……」
『そっかー?そんなに珍しいかなー』
「も・の・す・ご・く珍しいと思うよ」
『……そんな力んで言わなくてもいいと思う……』
「あ、ごめん……ねぇやっぱり何かあった?」
『だーから何もないってー!色々気にしすぎだよ』
「そう?それならいいんだけどね」
『夕飯食べたあとベッド入ったんだけど、何か目が醒めちゃって。そしたらだんだん今何してるのかなーって気になってきたんさ。んで、今何してたの?』
「ちょうどお風呂からあがったところだよ」
『湯上りー!いいなぁ抱っこしてぇ〜……』
「な・ん・で、いきなり『抱っこしたい』なの!?会いたいとかじゃなくて何で抱っこ!?」
『ホカホカしてあったかそうで気持ちよさそーだから』
「人を湯たんぽみたいに言わないで下さい」
『だって抱き心地すげぇいいんだもん!それが風呂上りでホカホカしてたらもう最高じゃん!?』
「そんなことで本人に同意を求めないで下さい」
『なんだよーつまんねぇー』
「つまんなくないから!なんかもっと他に別の話題はないの?」
『んー?うーんと、うーん……あ、そーだ!月がね、すっげキレイ!』
「月?」
『うん、窓からちょうど見えるんだけどさ、キレーなまん丸お月さんだよ、今日』
「どーれどれ……あ、ホントだ」
『今日の昼間すげー天気良かったCー、今も雲がないからくっきり見えてさ、何かいくない?』
「うん、そうだね。キレイだねぇ」
『こんだけ晴れてたら、明日もきっと天気Eよねっ!』
「うんうん。絶好のお昼寝日和だろうね」
『やっぱもそう思う!?あんね、昼休みの中庭は日当たりよくってサイコーなんだぜー!』
「別に昼休み限定じゃないでしょ、ジロちゃんにとっては」
『昼休みが「特に」いいんだって!なぁなぁ、明日のお昼は中庭で食べよ!』
「ん、いいよ」
『やっりー!そんでさそんでさぁ、一緒に昼寝しよーね!!』
「やっぱりそうなるの?」
『もち!!の作ったおべんとー食ってー、抱っこして寝るんだー!』
「……それは決定事項なの?私に選択の余地はないの?」
『ない!!』
「あっそう……まぁいいけどね、いつものことだしね……」
『うー楽しみー……』
「あれ?ちょっと眠たくなってきた?」
『うん、何か明日の予定が決まったら急に眠たくなってきたかもしんねー』
「ちゃんとベッド入ってる?床に転がって寝ちゃ駄目だよ?」
『うん、だいじょーぶ』
「ホントかなぁ……風邪引かないようにね、ちゃんとお布団被ってね?」
『おうっ!』
「じゃあそろそろ切るよ、電話」
『んー。明日なー』
「うん、明日ね、おやすみなさい」
『おやすみぃー』
おやすみなさい、また明日。
(05/02/14up)