手、つなごう?
さんと付き合い始めて初めてのクリスマス。
ずいぶん前から出かける約束して。
プレゼントに安物だけど、指輪を買って。
貴女に早く会いたくて、約束の時間より大分早く待ち合わせ場所についている俺がいる。
さんが来るまでの間、俺はいろいろなことを考えていた。
さんどんな服着てくるだろう、とか。
会ったときの第一声は何にしよう、とか。
プレゼント渡すときなんて言おう、とか。
ふと時計の針を見るともうすぐ約束の時間。
周りを見回してみれば、信号待ちをしているさんの姿があった。
時計と信号を交互に見ているって事は、約束の時間に間に合うか心配なんだろう。
そんなさんが愛しくて愛しくてたまらない。
「さん!!」
ちょっと大きな声で名前を呼んだら、目を丸くしながら俺に向かって手を振ってくれた。
…かわいいなぁ。
信号が青に変わると、こっちに向かって走ってくるさん。
転ぶんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてた。
…そんなことはなかったけど。
「長太郎君、ごめんね。
待った??」
「全然、今来たばっかりですよ。」
そんなことはないけど。
貴女に謝られるのは嫌だから、『今来た』とだけ言っておく。
「行きましょうか?」
「うん。」
今日のデートはいつもとちょっと違う。
ちょっとお洒落なレストランで食事して。
いつもは行かないようなお店で洋服見たりして。
気付けば辺りは暗闇に包まれていて。
そろそろ帰る時間になっていた。
そのとき思い出したのが鞄の中に入っている指輪の存在。
…忘れていた。
指輪の存在を思い出してから、いつ渡すかとか考えてしまってさんの話を聞いている余裕なんて全くなかった。
「…郎君!……長太郎君ってば!!」
「はっ、はい?!」
かなり深く考え込んでいたらしく、さんが俺を呼ぶ声も全く聞こえていなかった。
「今の私の話聞いてた??」
「えっと…すいません;全然聞いてませんでした…」
「熱でもあるんじゃない?大丈夫?」
そう言うとさんは背伸びして、俺のおでこに手を当ててきた。
その手はとても冷たくて。
「う〜ん、そんなことはない…か…」
「全然大丈夫ですから!!ほんと気にしないでください。」
「そう…?ならいいんだけど…」
もうプレゼントを渡すのは今しかないと思って。
「あっ、さん!」
「ん?何?」
会う前に考えてた言葉は全く出てこなくて。
少し震える手でプレゼントを取り出した。
「これ、クリスマスプレゼントです…!
よければ使ってください!」
なんかちょっと緊張していた。
何でだろう…
「開けても…いい、かな??」
「あっ、どうぞっ!」
喜んでくれるといいんだけど…
「これ…私が長太郎君のために買ったのと同じだ…。」
「えっ…?」
「ほら、開けてみて。」
さんから渡された包みを開けてみると、そこに入っていたのは…
俺がさんに渡したものと同じ指輪だった。
「…なんか、凄い偶然だね…。」
「そう…ですね…。」
なんか嬉しかった。
別に何も話していなかったのに、同じものをプレゼントしあったことが。
「さんの家まであと少しですし…
手、つなぎませんか?」
「…うん……。」
さんはちょっと照れた顔して手を差し出してくれた。
その手をギュッと握って。
誰もいない道でそっとキスをして。
「長太郎君。」
「なんですか?」
「…最高のクリスマスプレゼントを、ありがとう…」
最高のクリスマスプレゼントをもらったのはこっちのほうだ。
今まで過ごしてきたクリスマスの中で、今が一番幸せだと思える。
いつの間にかさんの家の前にいて。
『それじゃぁ。』と言うさんを呼び止めて。
「愛してます。」
という言葉とともに唇にキスをした。
さんは恥ずかしそうな顔をしていたけど、そんな顔もとってもかわいらしかった。
「おやすみなさい、俺のお姫様。」
「///おやすみなさい、わっ、私の王子様///」
今日という最高のクリスマスプレゼントを用意してくれた神様に感謝しつつ、
俺は家への道を歩き始めた…
end…
・・・・・・・・・・ あとがき ・・・・・・・・・・
長太郎イラストのお礼です〜!
こんな長太郎ですがもらってやってください。
これからもよろしくお願いします〜!!
柚木麻美
・・・・・・・・・・ PC前にて小躍り中の一言 ・・・・・・・・・・
サイト『STAR・DREAM』にて夢小説を書いていらっしゃる友達・柚木麻美さんより
一足早いクリスマスプレゼントをいただきましたー!!
あいやーチョタが!!チョタから指輪なんてもらっちゃったいひゃっほーい(激しく壊れ中)!!
麻美さん、本当に本当にありがとうございます!!!大事にします!!
本当にありがとうございました〜♪こんなヤツですがこれからもどうぞ仲良くしてやって下さいませv