ここらへんじゃ星1つも見えないと思っていた。
Milky Way
久々に夜空を見上げたと思う。
いつもはただ「あぁ、もうこんなに暗くなっちゃったんだ。」
って思って夜空の暗さばかり見ているけど、今日は違う。
今日は7月7日。七夕だ。
七夕と言っても特にイベントっぽいって感じは小学生までだった。
でも今年はテニス部の方でオジイが笹もあるからって
短冊書こうって事になって、マネージャーも参加だ!ってバネとかに言われて
今年の七夕は私にとってクリスマスくらいのイベントです。
浴衣を着ようかな、アイツ一緒だし。
待ち合わせは校門の前に8時だっけな?
オジイの家に行くんだっけな・・・?確か。
よくオジイの家でアサリの味噌汁作ってるってアイツ言ってたし。
予定時間の5分前に校門に行ったらもうすでに
バネ、ダビデ、樹ちゃん、葵くんは来ていた。
亮は来られないだとか聞いたけど。
「浴衣かよ・・・。」
バネが私をまじまじと見てから言う。
「えっ・・・?あっ・・あぁうん。そうだけど変?」
周りを見ると誰も浴衣も着てない。普通に、私服って感じ。
「いや、変じゃないけど・・・なぁ?ダビデ。」
目を泳がせてダビデに振ったバネは新鮮に思えた。
・・ ・・・・
「先輩は浴衣を着てゆかった。」
ぷっと自分で言ったことに吹き出すダビデ。
すかさずバネの飛び蹴りが炸裂した。
「つまんねーよ!つーか苦しいだろ!」
その二人のやり取りが面白くて、口元を緩めた。
「先輩浴衣着て良かったです!って言いたいんだろ?ダビデ?」
葵くんが解説をしてくれた、言わなくても分かったけど。
「さて、そろそろ時間じゃない?」
携帯のディスプレイを見たら8時2分くらいだった。
「いや、まだ佐伯さんが来てない。」
もう一発ダビデに蹴りを食らわせようとしていたバネが言う。
「佐伯さん?珍しいね。いつも遅れないで来るのに。」
大丈夫かなと思う少しだけ思う。
「あー、佐伯さん来たのね。」
今まで静かだった樹ちゃんが突然言う。
カラン、カランと木の音が聞こえる。
「ごめん、遅くなった。」
一瞬この人は誰だ?って思った
カラン、カランという木の音は下駄の音で、下駄という事で佐伯さんは浴衣を着てた。
私と佐伯さんだけ浴衣だったから妙に目立ったのは言うまでも無い。
オジイの家に行くまで樹ちゃんに
「わざと二人だけ浴衣にしたの?」と言われた。
でも佐伯さんは笑顔で
「違うよ、偶然。ね?」
私にわざわざ振る、いきなりだからビックリして首を縦に振った。
「そうなの。」
「そうだよ。」
木のカラン、カランって音ばっかり聞こえる。
前でダビデとバネが二人で話しているけど、耳に入らない。
オジイの家まであと少し、妙に長く感じる。
オジイの家についてオジイが庭の方へ案内してくれた。
庭には立派な笹の葉があった。「スゲー・・・」と葵くんが感嘆の声を漏らす。
気持ちは分かる。こんな笹の葉私も初めて見た。
オジイは折り紙とか短冊も用意してた。
バネが折り紙で貝殻を作ってる。ダビデは隣で・・・何だ?あれ?
私は取り合えず折り紙と言ったら鶴しか思い浮かばなくて、鶴を折ってた。
「ちゃん、青い折り紙そっちに無い?」
佐伯さんが私に言う。
「えーっと・・・あった、あった、どうぞ。」
「サンキュー」
ヒューと口笛吹いて青い折り紙持って行った。
何作るんだろう・・・?
「できたっと。」
私の鶴は一応出来た。折り紙なんて全然折らないからどうやればいいのかちょっと分からなかったけど
「、何作ったんだよ?」
バネが言う。
「鶴ー、折鶴ー。」
「七夕で鶴っておかしくないか・・・?」
「いいの!」
背中をちょんちょんと誰かがつつく、振り返ったらダビデがいて
手の中のモノをぱっと私の目の前で見せた。
「!!!!!!!」
ダビデの手の中には折り紙のカエルがあった。
でも暗い庭では普通にカエルに見える。
驚いて叫んで逃げてしまった。
「佐伯さん!佐伯さん!」
逃げていたら佐伯さんの方へ来てた。
「どうしたの?」
「カエル!」
言葉もまともに話せてない主語が無い。
「カエル・・・?いたの?」
「ダビデ!」
「ダビデ・・・?カエル・・・?」
困ったような顔した佐伯さん。
その直後になるほどと言う顔をした。
「ああ、カエルをダビデが折ってちゃん脅かしたわけね。」
私は首を縦にぶんぶん振る。
「ダメじゃん、ダビデ。」
私の後ろにいつの間にかにいたらしいダビデに佐伯さんが言う。
・・・ ・・
「カエルが鳴いたら帰る。」
ケロケロとカエルの鳴き真似をしてる。
「お前は帰れ!」
そう言って見事にバネが飛び蹴りを食らわす。
びっくりした・・・。本当。
「ふぅ・・・。」
「少し落ち着いた?」
佐伯さんが言う。
「うん。カエルは苦手だよ〜。」
「まぁ・・・嫌いな人の方が多いだろうけどね。」
「でしょ?そういえばさっきの折り紙で何作ったの?」
「あっこれね。天の川。」
そう言って佐伯さんはテーブルの上から自分の作った天の川を取った。
「天の川かー、良いね。」
そう言ってふと、夜空を見上げてみた。星がポツリ、ポツリと見えただけで天の川は見えなかった。
「実際は見えないけどな。」
「うん。見たかったな。」
「そうだね。でもまぁ短冊書くだけでも楽しいからいーじゃん。」
「うん、楽しい。あっ、短冊書いてない!」
テーブルの上にあった短冊を佐伯さんが差し出す。
「ありがとう。何書こうかな?」
書きたいこと、書きたいこと。なんだろ・・・?
「佐伯さんは何て書いたの?」
「俺?内緒。」
「ケチ!」
「ケチじゃないよ。酷いな。」
「あっそうだ。」
ポンと思いついて、短冊に書く。
「出来たと。」
「へぇ、“来年は天の川が見えるように”か。」
「うん。さて、笹につけようかな。」
「俺もまだつけてないや。」
笹にはもうたくさんの短冊とか折り紙がつけてあった。
「へぇ葵くんは“彼女が欲しい”か、葵くんらしいね。」
一人、一人の短冊を見る。みんならしくて面白い。
「さて、つけますか。」
手が届く範囲一番高いところに短冊をつける。
「は“来年は天の川が見えるように”か。ふーん・・・。」
バネが私の短冊を見て言う。
「良いじゃん!バネは何て書いたの?」
「俺?“来年も楽しくテニスが出来るように”」
にっこりと満足げな顔してバネが言う。
「いいね。バネっぽい。」
「そうか?」
微妙に顔が熱ってる。その姿が新鮮に見えた。
「ちゃん、短冊こっちに付けなよ。」
佐伯さんが少し荒っぽい口調で言う。
「えっ?でも届かないし。」
「俺がやるよ。」
そう言って私が付けた短冊を取って、一番高いところに付けた。
「ほら、こっちの方がいいじゃん。」
「あっありがとう。」
何だか佐伯さん怖いなぁ・・・。
その後佐伯さんは私の手を引っ張ってオジイの家を出た。
こんな佐伯さん初めて見た・・・。
「ちょっとみんなはどうするの?」
佐伯さんがぐいぐいと引っ張る、でも下駄だから私も佐伯さんもあまり早くは動けない。
「そんなのどうでもいいよ。」
やっぱり口調は荒っぽい。
「でも、後片付けとかあるし・・・。」
「そんなのどうでもいいよ。」
口調は荒っぽいし、佐伯さん、私悪いことした?
「佐伯さん・・・怒ってる?私、悪いことした?」
「・・・・・・・・・・。」
急に佐伯さんは足を止めた。
「ごめんね、急にカッとなって。」
申し訳なさそうな顔して言う。
「バネさんさ、ちゃんの事好きだからさ、取られたくないなって思っちゃって。」
「へ?」
バネが?誰を、私を?
「バネさんに怒られそうだな・・・。まぁいっか。
ついでに言うとさ、俺ずっとちゃんの事好きだったんだ。」
「ウソ!」
「本当。」
にっこりと笑って言っているけど、よくこんな事平気で言えるよね・・・。
・・・・・
「でも佐伯さんは好きだったんでしょ?」
自分に酔う気は無いけど、ちょっと気になった。
「まぁ今は好きじゃなくて、大好きってトコかな?」
「そっか、私はバネも好きだけど、佐伯さんは大好きだよ!」
その後、オジイの家に行くのも気まずかったので二人で一緒に帰った。
星は見られた。明るい綺麗な星を。
地上の織姫と彦星はいつでも会える。
いつでもお互いを見れる。
いつまでも愛していられる。
+END+
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お友達でもあり尊敬する蒼依さんに捧げます。
えーっと、何でしょうねぇ・・・。ちょっと
佐伯さんキャラ違うし!
ダビデの駄洒落が苦しい所もありますが、
そこらへんは『愛』でカバーしてくださいv
ちなみに佐伯さんの短冊は・・・・
まぁご想像にお任せですv
(七夕とっくに過ぎたよ!って突っ込みは
禁止しますよ!)
……御礼!!……
メッセ友達であり、日参サイト『Dream Maze』管理人、ヒトミちゃんにいただきました。
まだ学生さんなのですが、とてもそうは思えないしっかりとして、なおかつスッキリして
綺麗な文章を書かれています。
そして、佐伯夢です!サエさんですよ、サエさんー!!
サエさんカッコよすぎ―――!!短冊の願い事は妄想します!!ウフフフフ!!
しかもバネちゃんまであたしにラヴですってよキャー!!(壊れ気味)
美味しくって萌え萌えな夢をありがとうございました!!
このドリはですね、メッセでの六角キャラトーク中に浴衣着せたいねーと妄想を
膨らませていた時に、私が『祭りネタで六角逆ハー話書いたら貰ってくれる?』と
まだ書いてもいない夢を無理やり押し付けたところ、ヒトミちゃんがお返しに『七夕ネタ』
で佐伯夢を書いてくれると言う話になりまして!
ヒトミちゃんの方が先に書き終えられたとのことで、いただいてまいりました!
本当にありがとうヒトミちゃん!!これからも萌えトークしましょうね!!