親分はイエス様
JESUS IS MY BOSS

2001年9月1日より新宿東映パラス2、銀座シネパトス、ほか全国ロードショー公開





極道が神を信じるとき


2001年あきる野映画祭出品

2000年/日本・韓国/128分/ビスタサイズ/35mm
配給:グルーヴコーポレーション

解説

《はかり知れない愛で織りなす、赤裸々な人間ドラマ》
やりきれないニュースが相次ぎ、人間性を疑うような事件が連続して起こる世紀末の日本。生きる希望と人生を変えるための勇気がこれほどに必要とされている時代はかつてなかったのではないでしょうか。それでも人は、日々悩み、苦しみ、できることなら人生そのものをやり直したい、と半ばあきらめつつ思い続けています。それは全くの市井の人々の願いです。その普通に生きている人たちですら、難しく思える「人生のやり直し」を、実践してしまった人たちがいます。
すでにテレビのドキュメンタリー番組で放送され、大きな反響を呼んだ伝道集団「ミッション・バラバ」。彼らの前身は、普通の人とは違います。社会の裏側で暴力と悪事にまみれ、極悪非道と呼ばれ、常に死の影に怯える生活を送ってきた人たち――。ヤクザ、と呼ばれる人たちです。日本中を震え上がらせた大抗争事件を引き起こし、獄中でも命を狙われた者。麻薬中毒者。逃亡者。そんな「もうどうしようもないところまで、落ちてしまった」8人のヤクザ者が、信じられないような変貌を遂げました。ヤクザからキリスト教伝道者へ――。彼らは布教活動をするかたわら、ある本を書きました。自らの体験をもとに「人生のやり直し」をする機会を普通の人々にも分かって貰おうと決心したのです。この原作「刺青クリスチャン」から、映画化企画が誕生しました。

混沌の社会に一すじの光を与えるこの実話を、映画化しないわけにはいかない――。そこから映画『親分はイエス様』の企画はスタートしました。これまでに共に傑作を作ってきた映画人が次々名乗りをあげました。監督には『稚内発 学ぴ座』で荒廃した教育現場を子供・大人双方の目で見つめ、全国から大きな感動の声が寄せられた斎藤耕一。脚本は、映画監督としても『典子は、今』などで「人間愛」「社会性」をテーマにした秀作を手がけてきた松山善三。製作は同『稚内発 学び座』でいじめや教育の在り方を真っ向から取り上げ、社会に大きな波紋を投げかけた高橋松男。「人間 そして愛」を主軸にした映画を世に送り出しているキネマ東京が、持てる力を全て注ぎ込んで再度社会に疑問を投げかけ、人々の「希望」「人生」の意味を、問いかけます。また「ミッション・パラバ」のメンバー、中島哲夫は本映画製作を機縁として日本映画投資機構を設立し、日本映画の再生に挑戦いたします。

主演には、『稚内発 遊び座』で荒れ果てた高校でいじめ問題に取り組み、教師として、人として悩み作きる姿を演じて絶賛された渡瀬恒彦。また、この『稚内発 遊び座』に出演し、人間ドラマ・社会ドラマの重要性を再認識した実力派の俳優陣が、『親分はイエス様』にも賛同、出演を希望しております。もう一つの大事な側面、韓国と日本の問題を描くことから、主要キャストには韓国の有名女優陣も出演。作り事ではない、本物の迫力で映画に深みを与えます。

「人生のやり直し」なんて不可能に決まっている――。そう思っている人全てが仰天するような出来事がここにあります。生きることの尊さ、愛する者のためにその身を投げ出して闘う心、そしてその愛に報いるために何ができるか――様々な想いの中で生き抜く人間の、ありのままの姿をこの映画で伝えたい。それが、この映画の根本であり、すべてなのです。クランク・インは7月、クランク・アップは9月を予定しております。ぜひ、ご期待ください。


ストーリー

木原勇次は山政会若頭補佐。島俊夫は中森組若頭補佐。その両組のすざまじい抗争事件からこの物語は始まる。修羅場に出て行く勇次。制止する韓国人妻盛愛(そんえい)(ナ・ヨンヒ)を殴る夫。泣き叫ぶ妻。幼い娘ハンナにとってもそれは修羅場。翌日殴られた頬を腫らしたまま、韓国人牧師金の教会を訪ねた盛愛は、偶然、島の妻瑛姫(よんひ)(ユン・ユソン)と知り合う。抗争が膠着状態に入ると、勇次と島はそれぞれ組から姿を消す様言われる。二人が事件の首謀者だとするための策謀だが、そうとは知らず親分のためと二人は妻たちの哀願を背に家を出る。そして音信不通のまま、一年が経った。金も薬も切れた勇次は幻覚に脅え朦朧と巷をさまよう。その時、ふと夜空に浮かぶ十字架が・・・。
誘われるように教会に入り昏倒した勇次を牧師田村が介抱し、もう空屋かもしれぬ我が家に帰った勇次を待ち受けていたのは、妻の喜びの涙だった。初対面の母の一言は「おなか空いてないか?」だった。一方中森組は山政会と和解するための島に刺客の川平を送る。川平は島を騙し車ごと海に突き落とす。
山政会側も勇次に破門状を出す。二人共ヤクザ社会から抹殺されたのだ。日曜礼拝で、偶然勇次は元ヤクザ志田のスピーチを聞く。志田は讀罪のため十字架を担いで歩きたいと語る。ところが、志田は余罪の疑いで警察送りとなる。やり直しの道を模索していた勇次は自分が十字架を担ごうかと考える。故郷の教会に妻子と訪れた勇次は、牧師の木村に恐れと迷いを打ち明け、渇を入れられる。が、恐れは消えない。そのうなだれる父の背の入墨を娘ハンナが指でなでる。娘を抱きしめる勇次に熱い涙と共に固い決意が浮かぶ。極道者の背中を押して十字架行進をスタートさせたのは幼い娘の指だった。しかし、それは試練の始まりでもあった。島は、生きていた。島にとって、かってのライバル勇次の十字架行進は、我慢出来ない行為だ。さらに、最終ゴールであるはるかな韓国の地には、最愛の娘を奪い不幸にした、日本人の、しかもヤクザなど絶対に許さない盛愛の父が待っている・・・。


スタッフ
監督:斎藤耕一
制作:中島哲夫、成澤章、高橋松男
企画:高橋松男
プロデューサー:高田信一、萩原正夫、霜村裕
制作総括 高橋雅宏
原作:ミッション・バラバ「刺青クリスチャン」早稲田出版
脚本:松山善三/斎藤耕一
音楽:宮川泰
撮影:長沼六男
美術:山崎輝
照明:吉角荘介
録音:山田均
編集:井上治
記録:堀ヨシ子
助監督:橋本匡弘
プロデューサー捕:速水真吾
制作担当:相場貴和
ミッションプロデューサー:野辺忠彦/尾川匠
企画製作:
日本映画投資機構
グルーヴコーポレーション
韓民族世界宣教院
グルーヴキネマ東京
主題歌:『motherSky』
唄:KANG DA HYUN
協力:KOREANAIR、ムラサキスポーツ


キャスト
渡瀬恒彦
ナ・ヨンヒ
ユン・ユソン
渡辺裕之
ジョン・ヨンスク
ジョン・ウク
渡辺哲
ガッツ石松
増田恵子
岡崎二朗
金山太一
ミッキー・カーチス
夏樹陽子
誠直也
奥田瑛二
中村嘉葎雄

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