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『お仲間さん、いらっしゃ〜い』しょの2
やさしいコンピの作り方

※2005年7月現在の記述です。それ以降も正しいとは限りません。

<みんなで、眠っている“お宝”を掘り当てよう〜♪>

すみません、この似たコンセプトの作品を並べてみる第2弾、第3弾を作ろうと思ってたのですが、
その前に、コンピレーションを作る手順というのを紹介したくなりました。
それには、以下のような経緯があります。

私は、2004年あたりから、コンピレーション作品についてユーザーの人たちの意見を参考にしたいと、
今まで以上に注意してネットサーフィンしているのですが、結構批判的な意見も目につきます。
(私が関わった作品について応援してくださっている方、本当に有難うございます!)
他の人の企画作品について

「これだったら、俺が作った方がマシ」

という意見を目にした時、正直とっても残念な気持ちになります。多分、黙っておられるだけで、
私が関わってきた作品についても、そういう風に感じている人がいるんだろうなぁって思うと、
とっても恥ずかしい気持ちにもなります。しかし、それと同時に

「そんな、寿司屋じゃあるまいし、ネタだけホイホイってつまんできて乗せてるんじゃないんだよ〜。」
って苦笑しています。いえ、お寿司屋さんだって、このネタは○○産で、あのネタは◇◇産で、
と試行錯誤を重ねて、今の形が出来ているはずですよね。それを、何の障壁もなく、ほいほいっと
作れるかのように言う意見が度を過ぎているのを見ると、

「じゃあ、お前が作ってみな!」
ってキレそうになるんですよ。アストロ(球団)魂な私は。(笑)


でも、その一方で趣味レベルなのに本当に音楽に詳しい人が多いのも事実だと、
サイトを覗かせてもらう度に驚きますし、そういう人は企画の仕方を知らないだけで、
実は才能があるのかも!?と大いなる期待を抱くこともままにあります。


そこで、今回は、私なりに「コンピレーション・アルバム」の作り方を書かせていただきます。
これを参考に、自分で仮想的に作ってみていただけると、うれしいです。

そうすれば、自分が有能であることが分かる・・かもしれませんし、あるいは、
「見えることとそれが出来ることは別物だよ」ということが分かる・・かもしれません。
いずれにせよ、あなたの中に成長が生まれるはずです!(微笑)
<そこで、コンピレーションの作り方ぁ〜>

1・まず、何かで“気になる存在”になりましょう。

いえ、別に音楽業界で有名になる必要はありません。斉藤孝先生のように、言葉の魔術師として
人気者になってもいいし、藤井隆さんみたいに、芸人でありながら、歌謡曲通だと知られても
コンピレーションの選曲・監修をなさっています。また、最近は20代・30代で、IT関連事業を立ち上げている
人もいっぱいいらっしゃるでしょうし、資金潤沢なのをアピールすれば、音楽業界の人たちは
「作品を出してあげれば、ここの人たちと仲良くなれるかも?」
ってスケベ心が働くかもしれません。それを逆手にとれば良いのです。
どこかのキャバクラのNo.1になるという方法も、メーカーのオエライさんの弱みを一杯握れて
実は最も近道かもしれませんね〜。(爆)

いずれにせよ、これらの方法は、競争率数百倍〜数千倍のメーカーの入社試験を受けるより
よほど手っ取り早いです。しかも、メーカーによって、「君は有能だから、企画の部署に異動!」
という所と、それと真逆の考え方の所があります。(絶対に私の口からは言いますまい!(笑))
ですので、入社しても、自分の思い通りに企画が担当できるとは全く限らないのです。
よって、「有名になる」のが、一番効率が良いのです。

ちなみに、私の場合は、
メーカー1 ⇒ あるディレクターの方が選曲を迷っているのを助けてあげたら喜んでくれて、
         「うすちゃん、もっと色々アイデア出して〜」と言われた。

メーカー2 ⇒ 「あのアーティスト、なんで売れたんだっけ?」という電話が宣伝部長からしょっちゅう
         かかってくるのに対し、その曲調やリリース時期、おもな宣伝媒体を答えていたら
         そのご褒美に企画の部署を紹介してくれた

メーカー3 ⇒ あるメーカーの関連会社の方が、メーカーに出向していた時に、
          音源が眠っていることを嘆いておられたのに、ちょうど私という人間が目に止まった

という感じです。ですので、「有名になる」ってのは、この程度で良いのです。いずれも、
相手がお困りだった時に役に立ったのが、勢いづいたのかもしれません。(微笑)

ですので、オリコンやら新譜情報やらを見て、このメーカー行き詰ってるなーと感じたら、
その時機が狙い目なのかもしれませんよ〜?


2・あるメーカーor事務所or音楽出版社を基準として選曲してみましょう

次に、自分が作りたい!と思うコンセプトの元、選曲してみましょう。
ただし、この時に、案を持っていくメーカーを想定して1つのメーカー(発売元)の楽曲数が
収録曲の5割を超えるように選曲する必要があります。それが、発売時の最低条件です。
あるいは、5割を超えないのならば、ある所属事務所、あるいは音楽出版社を基準に
(日音とか日本テレビ音楽出版など)、収録曲が10割となるように選んでください。
ただし、10割です。1曲たりとも別の事務所あるいは出版社音源が入ってはなりません。

そう考えると、5割というメーカー枠で考えた方が随分ラクですよね。
が!この5割というのは最低ラインでして、なるべくなら10割自社音源の方がいいのです。
そりゃそうですよね。自分の会社に置き換えて考えてみて下さい。自分が一所懸命100台の
車の契約を取ったのに、そのうち50台しか自社のがないのだったら、利益は自ずと下がる
でしょう?ですので、「5割」は最低であり、できるだけ1メーカーの楽曲の割合が100%に近づく
ようにして下さい。

なお、ヤマハ、ホリプロ、渡辺プロなどは大半の楽曲を各事務所で音源を
管理されていますので、過去にレコードメーカーから発売されていても、
現状は“他社枠”としてカウントされるので、この“5割以上”という制約は更に厳しくなります。


3・アンタッチャブルなアーティストを除きます

できましたか〜?いや、ここまで出来ただけでも、ホント素晴らしいんですが、
そこから、コンピレーション・アルバムに入らないであろうアーティストを除いて、
別の曲にさしかえておいて下さい。これは、許諾を取る段階でNGを出されることが
分かっているのであれば、予め次点候補を繰り上げておく必要があるのです。

そのアーティスト名をほんの一部、ざっくりと挙げてみます。
おもに以下の3段階があります。
<ここでの“ランク”というのは、あくまでもコンピに対する各アーティストのスタンスであって、
そのアーティストの品格を表すものではないことを予め申し添えておきます!!!
コンピに柔軟なアーティストでも、一流アーティストは多数いらっしゃいますよね!!>

γランク: 他社はもちろん、自社企画盤でも収録を禁ずるアーティスト
 ・・おもに大手事務所、ベテラン・アーティストに多くみられます。
  (山下達郎、竹内まりや、サザンオールスターズ、KinKi Kids、SMAP、嵐など)

βランク: 自社企画盤のみ収録可能で、他社収録を敬遠しがちなアーティスト
 ・・おもに、大手メーカー所属アーティストに多くみられます。
 (松任谷由実、モーニング娘。宇多田ヒカル、浜田省吾、ドリカム、Mr.Children、B'zなど)

※ただし、ドラマコンピについては音楽出版社で括ったものであれば、この限りではありません。

αランク: 休業中のアーティストや“アイドル・タレント”と見られる
       アーティストと一緒に収録されるのを敬遠するアーティスト

 ・・これは、アーティスト・イメージを大切にされる事務所orご本人の
   意向あってのことですので、ごもっともなことだと思います。

要は、企画盤にデリケートなアーティストや事務所の作品をあらかじめ除くのです。

さぁ、皆さん、どんな作品が残りましたか?まさか『おしえてアイドル』みたいな
C級歌謡(許諾関係が一番スルー)じゃないでしょうね?そういうのは、既に
P-VINEさんが果敢になさってるから、ダメですよ〜。(笑)


4・これを基に実際にメーカーに許諾関係を処理してもらいます

 で、ここからは実際に発売するメーカーが「この楽曲入れさせて!」と、
音源を管理している人にお願いする作業があります。音源というのは、

「レコード会社(もしくは音源を管理する出版社)の一存で収録が決められるもの」

「上記αランクのように、アーティスト本人の意向を汲み取って収録が決まるもの」

の2種類があります。

つまり、あるレコード会社Aから発売するとなると、以下の4通りがあり、それぞれ
異なる難易度となります。

@「レコード会社Aの判断で収録できるもの」 ⇒基本的に問題なく収録できます
A「レコード会社A+所属アーティストに申請して収録できるもの」
 ⇒所属アーティストさえOKを出して下されば、収録できます。

B「他のレコード会社の判断で収録できるもの」
 ⇒そのレコード会社が、同様の企画を進めているなどで、バッティングしなければ
  収録の許可が下ります。

C「他のレコード会社+所属アーティストに申請して収録できるもの」
 ⇒Bの条件がOKとなり、更に所属アーティストも賛同いただければ収録できます。


つまり、@の場合は、すんなりと収録させてもらえるのですが、
上の作業で選別したにも関わらず、このお願いの作業で、まだNG曲が出てきます。

同じアーティストの同じ楽曲でも、移籍前の作品がレコード会社Aにあった場合は、@のケースで
収録できても、移籍後のニュー・ヴァージョンは、Cのケースとなり、収録が難しいという場合も
あります。
ある楽曲の申請をする場合でも、本当は、現在所属のメーカーのヴァージョンで聞きたいのに、
許諾の取りやすさを優先して、過去に所属していたメーカーのヴァージョンを選曲する、という判断も
時には必要です。ここは、作品の完成度とアーティストサイドの意向を常に秤にかけて
進行させなければなりません。


更に、Cの場合、まったく同じ楽曲なのに、その状況に応じて、
収録OKになったり、NGになったりと結果が一変することも多々あります。それは、


・その同時期に新作のリリースが予定されており、企画盤とバッティングしたくない
という意志が、アーティストサイドにある場合(新作のリリースに集中したい)

・現在、レコーディングやツアー中で、そういった検討が十分に出来ない場合
(現在の制作活動に集中したい)

の2つがおもな理由です。これは、こちらも予期せぬところでNGが出るので、
ほんとタイミングの問題というか、出たとこ勝負ですね〜。しかも、
アーティストさんも人間なので、同じ依頼でも「この人から言われればNGだけど、
以前お世話になったあの人から頼まれればOK」というようなルートも実在するのです。

これは、どんな交渉ごとでもそうですよね。だから、ホントにスリリングです。



5・あとは、解説やキャッチ・コピー、プロモーションの切り口を考えれば、ひとまずOK!

はい!1〜4を切り抜けて選曲がきちんとできたのですから、あとはブックレットや
ビジュアルまわりの考えや、プロモーションしていただく為の切り口をメーカーに伝えましょう!
もちろん、これは本来はメーカーがすべきことなのですが、やはり作り手の意志が伝わった
方が、メーカーさんもよりやる気をもって動けますよね!

特に、宣伝周りをきちんとしてもらう為には、“寄せ集め”ではないことを十分伝えるために、
キャッチ・コピーや、コンセプトをまとめておくのは重要です。かといっても、
「しょせん数多く出す作品のうちの一つ」程度にしか見てくれないメーカーさんも正直あります。
また、プロモーションは広告代理店に丸投げして自分で考えない担当者もいます。だからこそ、
なおさら、できるだけ生の意見が伝わるように、色んな切り口を考えておく必要があります。

例えば、スポーツ新聞用には、この企画盤がどういったところが“業界初”なのか、
とか、音楽カタログ誌には、レア・トラックがどれで、どれが初CD化なのか、とか、はたまた
ラジオ局用には、どの曲がオンエアすれば面白いとか、そういった可能性を
聞いてほしい人やその接触媒体を想定して考えていきます。

でも、今はインターネットの時代ですから、こうやって私みたいに(稚拙ながら(苦笑)自分で
HPを作ったり、ブログで他のお仲間さんに告知していったり、と可能性は思った以上にありますよ。

私自身は、リンクのところにありますように、色々な方のご協力があったからこそ、
上手くいったところも多々あり、大変感謝しています。正直、それは、メーカーの人
に対する感謝よりも大きい場合も少なくありません。



ということで、コンピレーション・アルバムって意外と面倒だと思いません?
洋楽だったら、マドンナやらジョン・レノンやらフツーに収録されていて
気づかないかもしれませんが、邦楽の場合、選曲の制限もあるし、ファンからは
厳しい目で見られるし、そんなんだったらと、単一アーティストのレア曲集や
全曲BOXばかりが発売されるという流れが大きいことも分かります。

しかし、いきなりそんなに濃厚な作品を買うには、初心者ファンとしてやはり勇気がいりますし、
いいところをかいつまんで聞くには、やはりコンピがとっても便利なのです。
これまでは、ヒット曲ばかりを集めることがコンピレーションのヒットの秘訣と
思われてきたのか、似たような作品が沢山出ましたが、そうではないものも
最近は増えつつあります。

どうぞ、自分にあったコンピレーション・アルバムをじっくり探してみて下さい。
思わぬお宝にめぐりあえるかもしれませんよ〜!



2005年7月14日(17日加筆) 臼井 孝

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