2008年8月6日作成

岩崎宏美 紙ジャケCD復刻シリーズ もっと紹介(3)
オリジナルアルバム
『思秋期から・・・・・・男と女[+1]』作品解説ページ

青春期。恋夏期。思秋期。感冬期。
無邪気な春の語らいや、華やいだ夏のいたずらや、笑いころげたあれこれと、
過ぎゆく青春を四季に分けて、宏美は唄います。”


(Amazon画像のリンク貼りました。よろしければどうぞ〜。)

2007年2月21日発売 VICL-62271、\2,500(tax in)
(オリジナル発売日 1977年10月5日)

※紙ジャケ24枚の復刻に関する情報はこちらへどうぞ。

この作品のおもな特徴
☆全作詩・阿久悠が手がけた 少女と大人の狭間を描いた名アルバム!
作曲・編曲も 歌謡史に燦然と輝く音楽家ばかり!

☆不朽の名曲「思秋期」+ボーナスでB面曲「折れた口紅」も収録!

☆全曲リマスタリングで、歌唱も演奏もよりセンシティブに!
(アナログやQ盤CDとは聞こえる音が段違いに違います)

☆セルフ・ライナーノーツ収録(07年執筆)

収録曲一覧
曲順 曲目 作詩 作曲 編曲 歌詞の情景(ざっくり、しかも私の主観で)
思秋期 阿久 悠 三木たかし 三木たかし 春の語らいや、夏のいたずらを思う秋の一日
ランボルギーニが消えて 阿久 悠 三木たかし 三木たかし ランボルギーニと共に消えた19の恋
男と女 阿久 悠 三木たかし 三木たかし 男と女の恋の理想と現実のあれこれ
恋夏期 阿久 悠 三木たかし 三木たかし 過ぎ去った夏の激しい恋情を回想
個人指導 阿久 悠 川口 真 川口 真 水割りグラスにピアノの男が
レースのカーテン巻きつけた女に個人指導
煙草の匂いがする 阿久 悠 川口 真 船山基紀 酒に煙草にコロンにロック・・・
と大人の部屋で戯れる私
メランコリー・ジュース 阿久 悠 川口 真 船山基紀 二十才になって変わってきた涙の味
幸福号出帆 阿久 悠 川口 真 川口 真 幸福という名の船を見送る私
チェイス 阿久 悠 大野克夫 船山基紀 愛したまま去った男と追いかけたい女
10 ピアノ弾きが泣かせた 阿久 悠 大野克夫 萩田光雄 小さなバーでヤケ酒&ヤケ煙草、それでも
ピアノ弾きのメロディーに泣かされる私
11 ウエルカム・ホテル 阿久 悠 大野克夫 萩田光雄 恋の傷を癒すホテルでおやすみなさ〜い
12 BOO BOO 阿久 悠 大野克夫 船山基紀 失恋から立ち直り、皆の所へ帰ってきた私
<ボーナス・トラック>
13 折れた口紅
(11thシングルc/w)
阿久 悠 三木たかし 三木たかし 女学生から一人の女として変わる私に戸惑い
作品解説
(いつものグダグダな前書きを飛ばしたい人は、こちらから)

 えー、最近の私と言えば、仕事の合間を縫って(またかよ(苦笑))某出版社が構築されている楽曲データベースの
入力をお手伝いしております。具体的には、その楽曲が、どのジャンルなのか、どんな声質なのか、アレンジの
特徴となる楽器は何か、といった楽曲の外面と、どんな気分に合うか、恋愛のどのシチュエーションを歌っているか、
舞台となっている場所はどこか、といった内面について、用意されている選択肢をどんどん埋めていくという作業で、
音楽を聞かないことには進められないのですが、音楽を聞けばパズル感覚でバイトできるというのは有難いことで
ちまちまと続けております。
 それで、この作業については、“岩崎宏美といえば、うすちゃん!”と、私めに デビューから最近のアルバムまで
振り分けていただき、「ヒロリンだったら朝飯前かも〜♪」なんて易々と引き受けたんですが、
アルバム曲となると、上記のように微細まで意識して聞いてなかったりするので、新しい発見もあります。

 特に、歌詞なんですが、“恋愛のどのシチュエーション” という選択肢で、
“告白”“片想い”“恋”“別れ”“禁断の愛”“昔の恋”などを考えたり、さらにその恋愛が起きる場所を
“デートスポット” “車” “街” “夜” “部屋” “ベッド(!)” などと特定する必要があり、
ヒロリンの場合、79年〜85年くらいにディープな恋愛の歌詞が頻発してるな〜と赤面しながら聞いています。
・・・私の場合、ヒロリンについては大胆な歌唱力に惚れ惚れして聞くのが常なのですが、このお仕事の後、
いくつかの艶めかしい作品については、「んまぁ、なんて生々しいんじゃ!」 と集中力が欠け気味になっております。
「麗しのカトリーヌ」(『10カラット・ダイヤモンド』)とか「Come Softly」(『I WON'T BREAK YOUR HEART』)
とかって、なんだか男の私が口ずさんじゃいけないような気がしたり。
 ともあれ、昭和以前って、エログロな情報やデータが氾濫していない分、こうした芸術文化の中に秘められた
様々な感情を、頭を使って楽しむのが主流だったのかなぁ〜、それはそれで素敵だなぁ〜なんて感心しました。

<以下、本作について>
 で、いつものように前置きが長くなったのですが(苦笑)、デビュー時からシームレスに聞いていて、
いきなり曲調や歌声も、歌詞の内容もドラスティックに変わるのが、この『思秋期から・・・男と女[+1]』ですよね〜。
今回は、またまた紙ジャケセールス面でその前後より若干控え目な本作について、十分に魅力が
伝わってないのかも?と思い、ここで紹介する事にしました。

 まず、歌唱ですが、これまで“天まで響け!”とばかりに押して押して押しまくって攻めるだけではなく、
可愛く引いたり、切なく引いたり、泣きながら引いたり、諦めるように引いたりと “引き”のバリエーションが
ぐっと増えています
。(これは、前述の声質に関する選択肢をクリックしている時に、このアルバムで急激に
多様化していることから気付きました。余談ですが、ここに更に “セクシーな引き”が加わるのが
『10カラット・ダイヤモンド[+6]』以降でして、周囲のスタッフの方は日々艶っぽくなるヒロリンの歌唱にドキドキしてた
のでは、と勝手に妄想します。) まぁ、これは様々なところで語られている「思秋期」レコーディング時の号泣エピソード
があったからこそ、本人もスタッフも“引き”の魅力に開眼なさったのかもしれないですね。

 そして、歌詞の激変っぷりも必聴モノです。まぁ、前作『ウィズ・ベスト・フレンズ』収録の「学生街の四季」で
♪ビールのジョッキを上げたわぁぁぁぁ〜 なんてのは、「よっ!ヒロリン、男前!」って感じで竹を割ったキャラゆえに
ある意味(?)納得いくのですが、本作では
キスを欲しがるわ、酒は煽るわ、煙草の匂いの彼氏部屋に入り浸るわ、ストーカーになるわ、ホテルで泣くわ・・
と、当時の言葉を借りると“不純異性交遊”(死語(笑)) 極まりない内容で、
“口づけさえ知らない”オカッパ娘に萌えてきた当時の男性ファンは、相当ショックだったのでは?と
これまた勝手に妄想・・・・。(男というのは、自分の身勝手さを棚に上げて、女性を束縛したがる生き物だし、
当時だとその傾向は尚更だったのではと。) 当時の売上としては、前作よりかなり持ち直したようですが、
実は前作を買っている人は、結構ここで買い控えて、その分、同世代の女性ファンや、それ以前よりやや年上の
男性ファンが増えたのでは?なんて、考えてみたり。あー、当時の購入者アンケートとか見てみたい〜!!(←職業病です)

 しかし、このアルバム、そんな細部にこだわる楽しみもありますが、曲順をいじれないほど、全体のストーリーが、
すごくしっかりしているのも大きな特徴
でもあり、自然な流れで「大人への出発(“たびだち”とルビ)」をしているので、
まるで一篇のお芝居を観ているかのように落ち着いて全体を聞ける良い作品だと思います。
(そのストーリーの流れは上表の「歌詞の情景」などをご参照ください。)
また、“青春期。恋夏期。思秋期。感冬期” というコンセプトや、キザな男とセンチな女が出逢い、そしてすれ違う
という歌詞の世界からも阿久悠先生の本作へのプロデュース熱の高さが伺えます。
 それまでのヒロリンの作品は、声やアレンジなどサウンド面で“今でも聞ける!”と絶賛される事が多いのですが、
この『思秋期から・・・男と女』は、とりわけリリカルな特長が強く “今でも(心に響くので)聞きたくなる!”と思われる点
でも大きく異なるのかなと思います。 だから、当時ディレクターの飯田久彦さんやヒロリンご本人もずっと好きなのでは
・・とこれまた妄想、妄想・・・。

 私自身は、『あおぞら』から『ウィズ・ベスト・フレンズ』まで、いずれも1回聞いただけで“気絶するほど凄まじい!”と感動
したのに対し、本作を1,2回聞いた時は、自分が好きなザ・歌い上げ「思秋期」「恋夏期」はあるけど、後はしっとりだなぁ〜
、これは自分はヒロリンには求めてないな〜、とやや敬遠気味でした(すみません)。ですが、何回か聞いていると
そのストーリーの流れにどんどん引き込まれていき、更に、その後、本作に似た人生の酸いも甘いも体験し(苦笑)、
よりこのアルバムの深みが分かるようになった気がします。

 ということで、今回は『思秋期から・・・男と女[+1]』を推薦してみました。ボーナス・トラックは、1曲で他と比べて
お得感が少なく見えがちですが、もともとの12曲が超ディープなので、ご安心を。また、あちこちのお店で
¥1,800のQ盤シリーズも見かけますが、セルフライナーノーツやリマスタリングでドラスティックにドラマティックに
聞き心地が変わっている紙ジャケの方が良いです。差額の¥700(定価ベース)なんて、
夜のやんちゃ系の支出(詳細割愛)をちょっと節約すれば簡単に出てきますよね(笑)。

 これを聞けば、大切な人の瞼の動きや胸のふるえ、呼吸の変化など様々なシグナルに敏感になるはず
(・・・多分)。 今宵、1本の青春映画を観るように、このアルバムを楽しんでみては如何でしょうか。
  
2008年8月6日(随時加筆) つのはず誠(作品解説)/臼井 孝(企画)

 


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