2008年8月23日作成

岩崎宏美 紙ジャケCD復刻シリーズ もっと紹介(4)
オリジナルアルバム
『10カラット・ダイヤモンド[+6]』作品解説ページ

今、最高に充実している宏美が、愛をテーマにその光と影を歌いあげる意欲作!!”

(Amazon画像のリンク貼りました。よろしければどうぞ〜。)

2007年3月21日発売 VICL-62275、\2,500(tax in)
(オリジナル発売日 1979年10月5日・8枚目のオリジナル)

※紙ジャケ24枚の復刻に関する情報はこちらへどうぞ。

この作品のおもな特徴
☆本編の全作詩を阿木耀子と三浦徳子が最も女性らしいアルバム!
作曲・編曲も一流どころが2曲ずつ担当

☆本編はノン・シングルながらディープにドラマティックな10曲!
ボーナスに当時のシングル2枚+『ライブ&モア』収録のレア曲(吉田拓郎、ユーミン参加)を収録

☆激しさを抑え艶やかな美声が際立ったアルバム(本編)


☆セルフ・ライナーノーツ収録(07年執筆)

収録曲一覧
曲順 曲目 作詩 作曲 編曲 歌詞の情景(ざっくり、しかも私の主観で)
スリー・カラット・ダイヤモンド 阿木耀子 川口 真 川口 真 女性の影がちらつく彼に
ダイヤモンド級(笑)の嘘で弾かれる私
マチネへの招待 阿木耀子 穂口雄右 穂口雄右 マチネに誘っても眠りこける彼に
淋しさを感じ恋愛に戸惑う私
東京−パリ 三浦徳子 穂口雄右 穂口雄右 想い出を追いかけてパリに飛ぶ私
麗しのカトリーヌ 三浦徳子 佐藤 準 佐藤 準 カトリーヌ(女性)からの愛を拒み
後悔が止まない私
めぐり逢い伝説 阿木耀子 筒美京平 後藤次利・
船山基紀
夢にまで見た人に出会い
“めぐり逢い伝説”を信じる私
小夜曲(セレナーデ) 阿木耀子 筒美京平 後藤次利・
船山基紀
別れの手紙をちぎりながら
小夜曲を歌う私
水曜の朝、海辺で 三浦徳子 船山基紀 船山基紀 海辺で新しい恋に出会う私(・・しかし、
題名以外水曜が出てこない)
哀しみは火のように 三浦徳子 佐藤 準 佐藤 準 別れを綺麗に過ごそうとする男女、しかし
女の本音は炎のように未練メラメラ・・
テーブルの下 三浦徳子 船山基紀 船山基紀 テーブルの上下に見える男の挙動
のギャップにこわばる私
10 微笑の翳り 阿木耀子 川口 真 川口 真 若い日の過ちを何度も何度も懺悔する私
<ボーナス・トラック>
11 夏に抱かれて
(17thシングル)
山上路夫 馬飼野康二 馬飼野康二 日本の海でバカンスを過ごす恋人達
(さぁ、LOVEと背中にテープ貼りましょ!)
12 ラブ・アラベスク
(17thシングルc/w)
阿木耀子 筒美京平 筒美京平 綺麗に別れたものの後悔ばかりの私
13 万華鏡
(18thシングル)
三浦徳子 馬飼野康二 馬飼野康二 相手の浮気現場を目撃し、放心状態で
街ブラの私、そしてそれが映る様は
さながら万華鏡
14 泣きながら目覚めて
(アルバム『ライブ&モア』より)
三浦徳子 馬飼野康二 馬飼野康二 愛の終りを知り大人になる私
 ※帯には「シングルB面」と表記されていますが、実際は『ライブ&モア』収録のリミックス・バージョンです。
  シングルB面バージョンを聞きたい方はアルバム『わがまま[+9]』をどうぞ。
15 砂の伝説
(アルバム『ライブ&モア』より)
橋本 淳 筒美京平 船山基紀 砂に沈みゆく女の、消せない恋の想い出
(・・・って、本当か?)
16 時の女神
(アルバム『ライブ&モア』より)
呉田軽穂 吉田拓郎 加藤和彦・
瀬尾一三
片想いの彼に真心を伝えようとする私
作品解説
(いつものグダグダな前書きをスキップしたい人は、“飛ばして、TEXT”から)

  今回は、紙ジャケ復刻第2弾(『二十才前・・・・[+4]』〜『WISH』)の5枚の中から『10カラット・ダイヤモンド[+6]』を取り上げたいと
思います。ご想像の通り、これも5枚の中でもっと買いづらいのかなぁと思ったからです。
 他の4枚を見てみると、『二十才前・・・・・[+4]』には、なんと言っても「二十才前」の鼻声バージョンが特別収録されていて、
『恋人たち[+7]』にはオークションで高値取引されていた激レアカバーが惜しげもなく収録されていて、とレア感があり、
また『パンドラの小箱[+4]』や『WISH[+7]』は筒美京平フリークならば、そのアレンジや演奏の素晴らしさも含め買っておくべき名盤
と言われ、これら4作はお店的にもお客様的にも魅力が見えやすく実際に数字も良いのですが、『10カラット・ダイヤモンド[6]』は、
ノン・シングルで勝負しつつ、作家や録音地などの“鳴りもの”がないので、よく知らないお店やビギナーには縁遠くなって
いるのではと思います。(とはいっても、これもヒット作の中で下の方という感じで、紙ジャケとしては十分売れています。)
なので、まだ入手されていない方に向けて、また解説を書いてみます。


<以下、本作について>
 まず、本作の一番の特長は「歌詞の世界が複雑」ということでしょうか。『思秋期から・・・・男と女[+1]』の紹介ページ
プロローグでも触れましたが、仕事で歌詞の内容をDB化していく行程で、もっとも選択肢に困ったのがこの『10カラット〜』だったのです。
例えば、「スリー・カラット・ダイヤモンド」や「マチネへの招待」は「恋愛モード」の歌と選択して、次にどんな気分かと選択しようとすると
「ウキウキ」とか「ラブラブ」とかしかなくて、これらの歌の“付き合っているけれど、決して幸せとは呼べない”に当てはまる選択肢が
ないのです。かといって「不倫」とか「昔の恋」とかのような分かりやすい状況でもないし。
さすが“好きな男の腕の中でも違う男の夢を見る”ことの出来る阿木耀子センセーだな〜と舌を巻きつつ、同じくベテランの三浦徳子
センセーも「哀しみは火のように」や「テーブルの下」で、表向き別れを受け止めつつ、内心物凄くもがいている女性を描いたり、
確かに読めば読むほど“体力を使っちゃって”(ヒロリン談)しまうアルバムです。「麗しのカトリーヌ」なども、この時代に同性への愛慕を
綴るなんてかなり進んでいるなー(この3〜4曲目はおフランスが舞台だからでしょうか)、と驚きますし、なぜか詞が濃厚なのが多いです。
(注:この「麗しのカトリーヌ」は、“カトリーヌと呼ばれた頃の私”を想い出しているというストレートな解釈も出来ますので念のため)
当時20才〜21才ということで女性らしさをより前面に出したいということや、前年までバリバリ書いていた阿久悠先生のクオリティーを
保とうと、作家もスタッフも気合がいっそう入っていたのかもしれないですね。
とにかく、「アルバムの1曲=シングル捨て曲」のわけがない、勿体ないほど立体的な映像の見える歌詞が多いです。

 次の特長としては「歌い方がしっとり、かつ艶やか」ということでしょうか。『思秋期から・・・・男と女[+1]』は、酒や男に溺れる(笑)女性
を背伸びして静かに歌うものが多かったのですが、本作は低音の響きとか、高音の裏声とかをふんだんに取り入れていて、
得意の凛々しい中高音に依存せず歌の世界を表現しようとしている様子が見てとれます。ヒステリックなヒロリンが好きな私などは
「マチネへの招待」や「哀しみは火のように」のサビ、はたまたカラリと爽快に歌う「水曜の朝、海辺で・・・」(しかし、なんでこの歌は
水曜なのか??)のような典型的な歌唱が大好きでファンになったことから、それ以外の印象がどうしても自分の中でも薄かったのですが
、よくよく聞いてみると、このアルバムで歌声のバリエーションが急増しているのも興味深いです。艶やかな声にも濡れている声にも、
すごくリアリティーがあるんですよね。ご本人は“歌詞を何も理解せずに歌っている”とおっしゃっているので、実体験ではないにしても、
その“引き算の美学”とも言うべき表現力が一気に開花しているのが本作とも言えます。

 あとは、「70年代後半的匂いプンプンのアレンジ」なんかも特徴的ですね。「スリー・カラット・ダイヤモンド」でのインベーダー風効果音、
「哀しみは火のように」のゴージャスなディスコ風イントロ、「めぐり逢い伝説」イントロの鳴きのギターなどなど、当時の流行をいち早く
取り入れています。さらに、「スリー・カラット・ダイヤモンド」と「微笑の翳り」のかなり長めのリフレインは、これより5〜6年後で流行する
12インチ・シングルのリミックス・バージョン風だったりと、進んでいた点も多く見られます。当時の歌詞カードは、「これ、イラネ」と言われそう
なくらい(汗)シンプルな白黒の紙キレ1枚が封入されているだけですが、その分、音に大変こだわって作られたものだと分かります。
(制作費をすべて楽曲制作に回したとか?あるいは、単に2ヵ月後に控えるライブ盤のスケジュールでテンパっていたのか?) 
ジャケット裏面も、白地に虹風のラインが入っているだけと、シンプルですが、表ジャケットのエレガントなヒロリンの衣装、個人的には
色合いが凄くいいなと思います。

 ということで、このアルバム、フックが少ないようですが、実はとっても濃厚で、まさにコピー通り“光と影を歌いあげる”10カラットの
キラキラしたアルバム
です。その上、ボーナス・トラックとして人気の高いシングル2枚分+企画アルバムのみの収録曲も収録されている
ので、実はとってもお得なアルバムでもあります。このアルバムは、人にもらったり、中古で買ったりで受動的に聞いたら
「うーん、よく分からない」となるかもしれませんが、新品で買っていれば“聞いてモト取るぞ〜”と積極的になり、
より深い味わいがあるのではと思います(微笑)。いえ、買えとは申しませんが、今タイピングしながら念じております(笑)。

 以上、どうぞご参考くださいませ。

(ご注意:歌詞カードの誤植が何故か5ヶ所ほど見られ私もビックリなのですが、不幸中の幸いといいますか、
意味の取り違えはしないような場所ですし、どうぞ善良に読み取ってくだされば幸いです。)
  
2008年8月23日(随時加筆) つのはず誠(作品解説)/臼井 孝(企画)

 


関連ページ「LP24枚の紙ジャケCD復刻解説ページ」

関連ページ「16枚組LIVE BOX『ROYAL BOX』解説ページ」

関連ページ「カヴァーアルバム『Dear Friends』推薦ページ」



トップページ  @「T」の仕事部屋  A「U」の仕事部屋 B「U」の遊び部屋
c:\homepage\usunigao.gif