2008年9月23日作成

岩崎宏美 紙ジャケCD復刻シリーズ もっと紹介(5)
オリジナルアルバム
『cinema[+9]』作品解説ページ

オリジナル曲12曲+オリジナル・カラオケ8曲収録

(Amazon画像のリンク貼りました。よろしければどうぞ〜。)

2007年5月23日発売 VICL-62285、\2,500(tax in)
(オリジナル発売日 1985年11月21日・16枚目のオリジナル)

※紙ジャケ24枚の復刻に関する情報はこちらへどうぞ。

この作品のおもな特徴

☆全編シネマがコンセプト。全作詩:松井五郎氏。
感覚的ながら映像が想像できる歌詞世界が魅力

☆アーティスト活動に専念した時期の煌びやかなボーカル満載!

☆収録シングル「月光」は、デビュー前の久保田利伸が作曲・コーラスで参加

☆ボーナス・トラックは未収録火サスシングル「25時の愛の歌」(当時12インチで発売)、
さらに過去のカラオケ・アルバム収録の音源を初CD化

☆表ジャケ、裏ジャケ、歌詞カード裏面の写真は、
メイクや髪型、帽子、イアリング(さらに肩パット)と気合が入っていてナイス!

☆セルフ・ライナーノーツ収録(07年執筆)
最新デジタル・リマスタリングで85年当時のCDとはまるで別物のサウンドに

収録曲一覧
曲順 曲目 作詩 作曲 編曲 歌詞の上手さに唸らされるポイント
(思いっきり私の主観で)
星に願いを 松井五郎 山川恵津子 奥 慶一 背のびして履くパンプスの痛みがかすかに幸せだった
慕情
(カメリア・ダイヤモンドCM曲)
松井五郎 奥 慶一 奥 慶一 逢えないときの死んでもいいと
噛む唇のふしぎな痛み
そのとき彼女はジーンセバーグ 松井五郎 奥 慶一 奥 慶一 彼女は泣く ほほえみをまぜながら
一日にふさわしいアングルで
ジェラシーの鍵 貸します 松井五郎 中崎英也 奥 慶一 5分ちがいですれちがう螺旋模様の恋がいい
シンデレラ・ラッシュアワー 松井五郎 中崎英也 奥 慶一 流行りの色を追いかけながら心の季節もてあますけど
ChapeterII 松井五郎 山川恵津子 奥 慶一 おきざりのYシャツの匂い
どんな出逢いも消せないとわかっていた
月光
(37thシングル)
松井五郎 久保田利伸 奥 慶一 誰かが さみしがらせるたび
愛の言葉 そっとおぼえた
夏の手紙は書かないで 松井五郎 山川恵津子 奥 慶一 それなのに無理に甘える嫌だったやさしさも覚えた
あなたに来いと言われたらきっと誰でもうらぎれるから
一夜の恋 松井五郎 奥 慶一 奥 慶一 あなたが知ってる女の気持ち まちがいないものなら
10 クローズ アップ
(37thシングル c/w)
松井五郎 奥 慶一 奥 慶一 あなたのようにわたしがいるのよ
11 さよならは2度ベルを鳴らす 松井五郎 奥 慶一 奥 慶一 たぶんあなたを困らせない声で答えられる
<ボーナス・トラック>
12 25時の愛の歌
(38thシングル(12インチ)
『ANTHOLOGY』より)
山川啓介 木森敏之 木森敏之 二度と会えなくなるその日まであなたと生きたい
(以下、過去のアルバムに収録されていたオリジナル・カラオケ集です。(初CD化)
13 未来
(5thシングル)
阿久 悠 筒美京平 筒美京平 いずれのカラオケも本格的なコーラスが入って
ますので、ヒロリン気分でご堪能あれ(微笑)
14 夏からのメッセージ
(5thシングル c/w)
阿久 悠 筒美京平 筒美京平
15 霧のめぐり逢い
(6thシングル)
阿久 悠 筒美京平 筒美京平
16 感傷時代
(6thシングル c/w)
阿久 悠 筒美京平 筒美京平
17 ドリーム
(7th シングル)
阿久 悠 筒美京平 筒美京平
18 想い出の樹の下で
(8th シングル)
阿久 悠 筒美京平 筒美京平
19 悲恋白書
(9th シングル)
阿久 悠 大野克夫 萩田光雄
20 熱帯魚
(10th シングル)
阿久 悠 川口 真 川口 真
作品解説
(いつものグダグダな前書きをスキップしたい人は、“飛ばして、TEXT”から)

  今回は、85年に発表された事務所独立後第2弾となるアルバム『cinema』(←eはアクサン・テギュで)をご紹介したいと思います。

 ・・と、その前に。この復刻シリーズ、第1弾発売(07年2月21日)からもう1年半も経っているのに、今でもうちのサイトに初訪問される方
の大半が「岩崎宏美 紙ジャケ」「岩崎宏美 復刻」の検索で来られていて(・・まぁ、それ以外のコンテンツが薄々だという証ですが(爆))、
うーん『ROYAL BOX』は既に生産を完了し出荷分のみだし、この22枚のCDもいずれなくなるというのに、まだまだご存知ない方が
おられるのだなぁ・・としみじみ思いますね。まぁ、ナツメロ専門歌手と異なり、宏美さんが今でも現役であちこちで歌っておられるから、
「そういえば・・・」と、ふと過去の楽曲を思い出して検索しては、うちのサイトに来て「こんなに出てたのか!!(購入ボタン、ポチッ)」と
いうことだと思うんですが、やっぱりもう1年半も経つと、取り上げてくれるメディアもなかなかないし、かといって個人的な地道プロモでは、
受動的な方にはどうやっても届かないし、こんな紹介ページ作ってても微々たる効果だし・・・とも思いますが、可能な範囲で、モゾモゾと
更新したいと思います。最近、とみに思うんですが、CDを買ってもらうように書く文章も重要だけれど、CDを売り飛ばされないよう
所有欲を高める文章も重要
かな、と。だから、こうやってここで歌詞を中心とした考察をしたことで、既にお持ちの方も違う解釈が
生まれ愛着が高まったとしたら、それはそれで嬉しいことです。

 で、この『cinema[+9]』なんですが、これまで幾度となくAmazonでバーゲンをされたり、追加プレスの度に『I WON'T BREAK
YOUR HEART[+7]』
『戯夜曼[+9]』と一緒にお店に仕入れられたりするんだけど、どうも動きが鈍いアルバムなんです。確かに、
『戯夜曼[+9]』と比べたらヒット・シングルも入ってないし、事務所独立後“第2弾”と話題のトーンダウンから買いづらかもしれませんが、
このアルバム全体のヒロリンの歌唱や松井五郎氏の歌詞などの気合いの入り方から考えたら、私個人は前作『戯夜曼[+9]』と一緒に
お買い上げいただくといいかな〜、なんて思います。ボーナス・トラックとしてシングル1曲+カラオケが8曲入ってお得ですし、
何かのついでに買ってもらえないかなぁ〜、なんて星に願っております(笑)。・・・つーか、Amazonバーゲンで、これだけの秀作揃い
+カラオケ大量ボーナスで1418円って安すぎって思いません??
歌入り1曲100円、カラオケ1曲50円、付属物200円と仮定しても1800円とお得ですよ〜。

<以下、本作について>
  さて、本作ですが、まずコンセプトが“(架空)映画主題歌”と明確で、その為、1曲1曲を聞いても映像が浮かぶものが多いし
、全体を通して聞いても、1本の恋愛映画を観たような気分になります。「星に願いを」(<月に願いを)、「慕情」(そのまんま)、
「ジェラシーの鍵貸します」(<アパートの鍵貸します)、「さよならは2度ベルを鳴らす」(<郵便配達は2度ベルを鳴らす)などなど、
往年の映画ファンならピーピピピピっと来るタイトルから理解されることでしょう。そういったタイトルやジャケットのセンスからも、
当時20代の女性を狙ったんだろうなと、イメチェン戦略が垣間見れるのも面白いです。ちなみに映画って、ウンチクたれるほどの
映画通の男女比は圧倒的に男性が多いのですが、「月1回程度観る」という人とか、「趣味:映画」と答える人は、今も昔も女性比率が
高いので、「同性ファンを増やす為に、(コンセプトは)映画で行きましょう」みたいな意識はあったんだと(勝手に)思います。

 そして、本作の中で最も大きな特徴は宏美さんの歌声の弾けっぷりが絶好調という事でしょうか。大抵の曲で宏美さんの楽しそうに
歌っている顔が浮かぶんですよね〜、特に「星に願いを」とか「慕情」とか「一夜の恋」とか。それでいて「ChapterII」とか「クローズ・アップ」
とかでは、しっとりと抑えるのもあるし、この緩急のバランスがすごく良いです。このかけっぱなしの聴き心地の良さは、ある意味
『ファンタジー[+10]』っぽい
かも。シングルの「月光」も、自信たっぷりに歌い上げていて、それでいてバラードじゃないってのも従来の
“ヒロリン像”を覆す秀作ではないかと思います。

 次に、私個人が強く推したいのは、全作詩:松井五郎という点でしょうか。松井五郎の描く女性像って、もう恋に関して物凄く貪欲で、
一途で、自分に正直な感じが私は好きですね〜。松井五郎にとっても全作詩アルバムはこれが初めてじゃないかと思うんですが、
言葉に気合の入ったアルバムで、宏美さんの声を一段と輝かせているのは、この歌詞の影響も大きいと私は踏んでいます。

 で、そんなアルバムを1曲ずつ振り返ってみます。
 「星に願いを」は、イントロのブラス隊のリズムから、ワクワクしてしまうアップテンポ。その後も、トランペットとボーカルの掛け合いが
、なんとも楽しげです。私自身は「ナーチュラリィィ〜〜」と(良い意味で)得意気なボーカルが、大好き。もう、タイムマシンが出来たなら
20数年前に戻って、この時のLIVE、この歌のためだけにでも聞いてみたいほどです(笑)。

「慕情」は、80年代のシンセ〜って感じのゴージャスなアレンジが印象的なミディアム。でも、無機質な感じではなくて、草原で大人の
男女が素直に戯れている(その意味では前シングル「夢狩人」とは対照的な戯れ方(笑)ですね)のが想起されます。確かに、宝石の
CM的にはこちらの方が煌びやかで合っているのかもしれませんね。歌詞にも出てくるし。

 「そのとき彼女はジーンセバーグ」は、穏やかなミディアムテンポですが、歌詞の視点が、やや外側から見つめている・・・ちょうど
亡くなったジーン・セバーグが天使となって、自分と同じように恋に一途な女性を心配して見つめているかのような感じが、とても
不思議な曲ですね。だから「(愛って何かを)教えてあげたい」だけじゃなくて「(死んでしまった私にも)教えてほしい」のかな、と。

 「ジェラシーの鍵貸します」は、この紳士録や贈りものをいっぱいにする悪女っぷりといい、サビの「I Love You Love Me More」の
突き放す歌唱といい、まさに私好み(笑)のアップテンポ。この作品、シングルにはなれないけど、アルバムの中で重要な位置を占める
歌が多いなと思います。間奏のギターソロがシンセサイザーの過剰感を緩めているのも◎。

 「シンデレラ・ラッシュアワー」は、よく女性情報誌あたりでは、適齢期を迎えた女性が次々と結婚する様子を指しますが、ここでは、
(恋にわがままな)お姫様たちが日曜日に朝帰りする様を歌っていて、これも情景がユニークで、女性しか思いつかないような所、
松井さんよく見てるな〜と驚かされます。作品中ではこれのみオールディーズ風のバラードなので、あとからマッタリ心に響く感じ。

 「ChapterII」は、フェイド・インしながら始まり、フェイド・アウトして終わる様といい、全体に囁くように歌っている様といい、「物語は
これから第二章」という歌詞といい、作品全体の前半と後半をつなぐインタールード的で、これもいいお役目務めています。
でも、単独で聞いても、一度別れたカップルがもう一度始めるというストーリーが堪能できるというのもお見事。

 「月光」は、当時のフュージョン系の演奏に歌詞を付けたかのような楽曲で、考えてみたら“歌謡曲”としては、非常に変わった作品だ、
と今さらながら思ったりする、ドラマティックなミディアム・ファンク。いけない夢とか生娘とか娼婦とか接吻とか黒猫とか歌詞の艶めかしさ
(だからそれを象徴するのが「月光」)もググっと来ますが、ヒロリンの「抱いてほしいムーンラァァイ(ト)」の「だ」の裏返る寸前の強い声が、
これまた最高に良いです。これも、タイムマシンに乗って是非聞きたい1曲。(今とは歌い方が違うので・・あ、今の優しさで包み込んだ
ような芯の強いボーカルも好きです)デビュー前の久保田利伸提供曲の中でも特に聞き応えある作品ですよね。

 「夏の手紙は書かないで」は、前の恋と今の恋とで揺れてる様子が、メロディーやアレンジにもよく表れているミディアム・チューン。
これの数年後、女性の気持ちは「止まった時計」になるのでしょうか。

 「一夜の恋」は、“ゆきずりの恋”を歌いながらも、まるで「二十才前」のようにひたすら楽しげでアッパーなノリの良い曲で、
考えてみたらこの歌詞だったらマイナー・コードで淋しげにテレサ・テン風に仕上げるというのが鉄板だけど、とにかくアゲアゲで!と
「すみれ色の涙」〜火サス路線で定着しすぎた母性や忍耐を敢えて払拭している風で興味深いです。

 「クローズアップ」は、ほとんどピアノ1本にボーカルというシンプルな作りのワルツで、宏美さんの囁くような歌唱と相まって、
いっそう恋人達の距離をまったりと縮めているように聞こえて良いです。

 「さよならは2度ベルを鳴らす」は、まるで映画のエンドロールのようにストリングスから始まる美しいバラード。私自身はなぜ前の
ハッピー路線と一変する失恋ソングがノン・ストップで繋がっているのかよく分からないのですが、まぁそんなことはさておき、受話器ごし
に別れた(はずの)海辺にいる恋人と話しているという映像が彷彿とされ、ヒロリンのバラードならば、これまでは“歌い上げ系、
待ってました!”と来るのを、敢えてウェットに抑え気味に歌っていて、余計に歌詞の悲しい情景が浮かびあがってきます。
これも、何度も聞いて心に沁みてきます。

 と全曲を振り返ってみると、この『cinema[+9]』は、全体のバランスの良さが大きなポイントかなとあらためて思います。その後の
ボーナス・トラック「25時の愛の歌」は発売形態が変則的なこともあり、あまりヒットしなかったけれど、これまでよりも力強くも優しい
感じで良いし、<オリジナル・カラオケ集>の8曲は、コーラスが随所に入っていて、聞くのも良し、歌うのも良しと、あれこれ楽しめます。

 以上、ちょっと今回は力が入ってしまいましたが、
それだけにほっとけない名作です。どうぞ、ご参考下さい!

2008年9月29日(随時加筆) つのはず誠(作品解説)/臼井 孝(企画)

 


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