ヒットチャートの見方を変えてみませんか?


私は、当サイトでセールス面で第一線からドロップアウトした実力派アーティストばかりを取り上げたり、また
ヒット曲満載!”とはとても言いがたいコンピレーションばかり作ったりするので、(でも、決してマニアックじゃないんですよ♪)
ネットでしか私を知らない人は、余程のヒネクレ者だとお思いでしょうが(苦笑)、このコーナーは本来は
「つのはず誠」ちゃんのお仕事を紹介するはずだったので、今回はその主な仕事であるヒットチャートについて語ってみます。

そもそも、なぜ、私はネット上でチャートについてあまり語らないかというと、主に二つの理由があります。
まず、一つ目は、チャートに真正面から取り組む時は頭が執筆モードになるので、気軽に書けないのです。皆さんも、
お仕事の内容をホームページで書くのは嫌ですよね〜。自分が仕事で関わった作品についても、本当はラクじゃないんですが、
コンピってどうしてもレコード会社のサイトでの紹介が淡白なので、ボランティアで説明ページを作っています。
でも、そのおかげか、私のコンピって、大ヒットしていないのにどれも長くチビチビと売れ続けるんですよ。
そういうのも音楽ファンの方に届いているのかなって嬉しくなるので、これはこれで楽しいんです。
でも、チャートについては、息苦しくなっちゃう。

で、もう一つの理由は、ネット上でチャートについて語ると、売れなかった楽曲について、批判しがちになるのが嫌なのです。
たとえ、良い事を書いても“あなたは所詮、○○を贔屓して書いてるんでしょ”と言って素直に取られないこともままにあり、
結局音楽ファン同士のケンカの火種になっているのも多々見られ、その当事者になるのはまっぴら御免なのです。
そんな時間があったら、どのメディアも取り上げない、チャートから外れた名作をしっかりと書きたい
それこそが既得権益に動じないネットならでの正しい使い方じゃないかなぁって思うのです。

でも、最近は、週間チャートの1位になった、ならないで、あるいは新人ならTOP10入りしたしないだけで
あまりに一喜一憂しているファンの方の意見が多いなぁって思います。(というか悪口モードの人は“アンチ”かもしれませんね。)
さらに、TVやラジオ、またネットでもニュース系のサイトではその「週間での1位」ばかりを取り上げていて、
豪華な特典だけでヒットしようが、それが2週目急落しようが、おかまいなしに「1位」という事実だけに固執するのは
何だかなぁ・・と思うことがあり、チャートアナリストの端くれとして違和感を感じたので、あらためて書いてみることにしました。

例えば、ですよ。初登場 1位→15位 となってしまう楽曲か、2週連続 2位の楽曲か
どちらが累計として売れているか
。大半の場合は 後者の2週連続2位の作品ですよね。
もし、この2週時点で「1位→15位」の方が売れていたとしても、3週目以降、もっといえば数年後もじわじわ売れ続けて
いるのは間違いなく「2週連続2位」の作品だと思います。けれども、実際にメディアの取り上げる量は圧倒的に 
前者の 1位獲得曲に偏っています。2週連続2位の作品が、その事実だけでメディアに取り上げられることはほとんどなく、
この曲が取り上げられるには、更に難しい10週以上TOP10入りなどのロングセラーになるか、年間TOP10レベルのヒットになるか
などが必要でこんなヒット曲は年に数曲しかありません。

だからこそ、レコード会社がみんなそれよりは(相対的にまだラクな)1位になることだけに必死になるのかと思います。
長く売れることよりも瞬間的に売れる方が記録に残るのだから。
あるいは、1位を逃した時のアンチやメディアからのバッシングの大きさを考えて、そうするレコード会社もあるでしょう。
(勿論、レコード会社がそう動くのは所属事務所からの強力なプレッシャーがあることも大きいです。)

あるアーティストでは強豪とぶつかってしまうことが分かり、発売日を直前でずらしたり・・・
またあるアーティストでは1位になれないとヤバいということで急遽握手会での購入特典をつけたり・・・
またあるアーティストでは複数種類のCDを買わなければわざと作品として完結しないようにしたり・・・

いずれも、「何も今さら・・・」と言われそうなことばかりですよね。それだけ、こんなヒット曲が見えなくなる小手先の手口が
もはや日常化してしまっているのも大きな問題だと思います。
昨今の、音楽ファンの方とレコード会社との信頼関係が大きく崩れている根幹はこういった行為から
起こっているような気がします。

勿論、たくさん売れた方がレコード会社も儲かるのだと思いますが、そんな風潮に大きく拍車をかけているのは
“瞬間的な上位曲”ばかりを大きく取り上げるメディアの適切ではないチャートの見方なのではないでしょうか。

これは、チャートだけではなく、今の世の中、分かりやすいものだけが過剰にクローズアップされ、
時間をかけて分かるものってなかなか認められなくなっていると思います。これだけ情報が溢れていると
受け手側もその振り分けも大変だろうし、送り手側のメディアの人たちもそこに情報をいかに上手く載せるかで
必死だし、もう仕方のないことなのかもしれないけど・・・。みんな忙しいですもんね。


前置きが長くなってしまいましたが、そんな私がオススメするのは月間でのチャート分析や
それに基づいたポジティブな思考
です。

あ、これは月間で連載をしているからそれを贔屓しているのでは・・と言われるかもしれないですが(苦笑)、
月間チャートは年間ほどロングレンジではなく、それでいて週間の瞬間風速的なヒットに惑わされずに
本当のヒット曲だけを知ることが出来ます。

実は、私自身も、初めエンタ!さんから“月間で分析して”と言われた時に、
「えー、チャートって週間で見るからこそ面白いのに・・・」と元『ザ・ベストテン』ヲタクの自分としては
大変違和感がありました。ですが、今の世の中、これだけ毎週、毎週、1位になっても
急落する楽曲が多いのでは
「1位」の価値が軽くなりすぎていることにあらためて気づき、それよりも
月間の上位曲を追っていく方がはるかに「ヒット曲」だと思うようになりました。
勿論、週間1位から急落する楽曲でも、月間1位になるものもありますが、それは
「たった1週で4週分のセールスを稼ぐほどの人気曲」という、生半可な1位ではないので、自分の中でも納得がいきます。

例えば、最近のチャートだと 2006年1月の週間チャートは、
KinKi Kids「SNOW!SNOW!SNOW!」、修二と彰「青春アミーゴ」、倖田來未「feel」、タッキー&翼「Venus」、
と毎週のように変わっていますが、1月の月間チャートの1位は レミオロメンの「粉雪」なのです。
「粉雪」は週間では1位にはなっていないけど、週間で1位を取った他の曲と全く遜色のないヒットなのです。
実際にこの中で累計が「粉雪」以上なのは、11月度1位の「青春アミーゴ」だけです。
こういった本当のヒット曲を「週間CDチャート1週」ではもはやなかなか見抜けないのです。

あるいは、それを見抜く方法として、昔のベストテン形式で、CDセールスだけではなく、ラジオリクエスト、有線リクエスト、
カラオケリクエスト、更にはCDレンタルなどにウェイトをつけて、総合チャート的に考えるのも一手ですよね。
実は、私自身も趣味でつけていたりしますが(笑)、そのうちの一部のチャートが既に実状から
かけ離れた“宣伝費ランキング”になってしまっているので、とても正確には測れません。
また最近では、着うたダウンロード、パソコンでのダウンロードなど“パッケージとしては
好きじゃなくても、楽曲には確実にお金を払う”
というある意味リクエスト以上の重みのある支持の仕方もあり、
なかなか絶対的な総合チャート“黄金律”を決めるのは難しいですよね。
これだったら、月間チャートで見た方がラクなのです。


それと、蛇足ですが、オリコンでは、品番違いは別ランクにした方がいいのでは?と思いますね〜。
既にお気づきの人も多いと思いますが、その品番を別にするほど異なるものを合算することで1位になっている
ケースが非常に多いのです。レコード会社が申請すれば、かなり強引な2種類(例えば、あるアーティストの
13曲入りベストと27曲入りベストが合算されていた時はメチャクチャ驚きました。でも、これもありなんです。)でも
通ってしまうから、それがどんどんエスカレートしているのです。それだったら、もとの違う商品を違うものとすれば、
チャート的に不利になるし1種類に戻すメーカーも増えるのではないでしょうか。


また、あるアーティストが週間では1位を取って大きく報道されましたが、
複数種類のCDのそれぞれの品番違いを別にした商品別順位は10位、12位、14位、18位・・と決して“楽曲”としては支持されておらず、
それが“ヒット曲”とはとてもとても呼べない状況
だったんですね。もう明らかに複数買いで1位になったという感じで。


でも、いずれにしても月間で見たら、束になっても1位にはなりません
(これは決してこのアーティストを批判したいのではなく、チャートと“ヒット曲”の乖離を指摘しているだけです。)


ということで、月間チャート、皆さんにもオススメです。わざわざ何週分を合算するのが面倒な人は、
2週間あるいは3週間の順位推移の数字を足して(初登場曲は除外、あるいは+20などのハンデをつけて)、
一番合計数の少ない曲が「本当のヒット曲

だと信じて、聴いてみよう、あるいは買ってみようと動いてみるのをオススメします。これなら簡単!
要は、今よりももう少し長い目で音楽チャートを見てほしいのです。
そうすれば、その記録に刻まれたヒットが、記憶にも残るヒットに重なっていく理想により近づくのではないでしょうか。


2006年3月9日 つのはず誠

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