(2005年2月の記述です。ご了承下さい。)

奈保子はコンポーザー!〜「偶然の再会」  

関連ページ:再現!河合奈保子さん伝説LIVE『音の流れの中で・・・』解説ページ

さて、今回は奈保子さんのコンポーザーの魅力を感じたエピソードについて語ります。
ファンの方なら皆さんご存知ですが、河合奈保子さんは、'85年ごろよりコンサートで、
自作曲の楽曲を披露されており、また'86年からは自作曲アルバム&シングルを
出されています。シングルだけで10枚、アルバム曲だけではなく、コンサートでの
オリジナル曲や農協、東海銀行などのオリジナルソング、ヒーリング系のインストゥルメンタル作品
も含めると実に100曲を超えています。

それらについて、詳細を語るのはちょっと遠大すぎるので、割愛するとして、
ここでは、ちょっと変わった角度で知らされた奈保子メロディーの素晴らしさについてご紹介します。

その曲は、香港の当時のアイドル歌手、ヴィヴィアン・チョウ(周慧敏)の歌う
1990年のアルバムに収録された「偶然の再会(原題:舊情人)」です。
まさに、“偶然の再会”でした!
日本では1994年にオーマガトキより発売されています。
(←新星堂に今でも在庫があるかどうかは不明です。)

ヴィヴィアン・チョウといえば、香港で中島みゆきカヴァーブームが起きたときに、
93年に「最愛」をヒットさせた(ただし、香港でも人気だった柏原芳恵ヴァージョンの
アレンジ)ことでも有名ですが、その前の90年に奈保子メロディーをカヴァーしていたんです。

実は、私自身もリアルタイムでそれを知った訳ではなく、94年ごろ中島みゆきファンの
ある方から「最愛」を収録したアルバムを借りて偶然に知りました。(まさに“偶然の再会”!)

その香港版は、いかにも初期のシンセサイザーという感じの、正直チープな音で、
だけど哀愁たっぷりの胸をしめつけるようなイントロ・・どこかで聞いたなぁ〜、
(あまりに原曲とは程遠い安易なアレンジのため、初めわからなかったのです。)
と思ってたら、♪チョンヨサン、ヨソガンハサン〜 (←これは私のデタラメな中国語です)
と切々と語るように歌い始め、

「う、うわぁ〜、こ、これは名曲 ディ、「Dear John」じゃあーりませんか(古ッ!)!」

とぶっ飛びました。だって、この曲は自作曲アルバム第3弾『Members Only』(88年4月1日発売)
にのみ収録されていた作品で、決してシングルでもなく、しかもこのアルバム自体、そんなに
高セールスではなく、その後のベスト盤でもことごとく収録されなかった作品だったからです。

香港といえばジャッキー・チェンとのデュエット曲「愛のセレナーデ(艶情夜曲)」(88年8月25日発売)
が香港でTOP10入りしたことで、奈保子さんの認知度が上がり、その後ファンクラブに
入るほどの熱心な香港のファン方が増えたことも知っていましたが、日本のヒット曲ではなく、
コンポーザーとして隠れた名曲をカヴァーに取り上げてくれたことに物凄く感動した記憶があります。

当時は、驚きでいっぱいだったのでその事実だけにエキサイトしていましたが、
今回、約10年ぶりに再生してみました。そうすると、本来伸びやかに歌い上げる部分を、
訳詞の制限のためか「チョンチャン」「チャンチョン」と細切れに歌っているので、
作品のスケール感は残念ながら原曲より小さくなっていました。
また、何より大きく変貌していたことは、この楽曲を 「A−A'−B−サビ」 と表すとしたら、
奈保子さんはAとBとサビで声色を大きく変えているのに対し、ヴィヴィアンは全般にフラットに
歌っていて、「あっ、そこは抑えて!」「あっ、ここからはもっと張り上げて!」と、まるで
「お前は松田敏江(先生)か!」と人からツッコまれそうなくらい、他人事ながら(←まったく)
気になってしまいました。つまり、奈保子さんの歌唱の無意識なまでの完成度の高さは、
実は自作曲にまで及んでいたことをあらためて知った
次第です。

続いて、この奈保子メロディーの完成度の高さが、皮肉にも他のアーティストに、
容易にカヴァーされなかった原因かもしれないな〜と思いました。つまり、
よく知らないディレクターは例の先入観で、
「えー、アイドルの方の作った歌は、大きな話題性がないと・・・。」と敬遠し、
よく知っているレコード会社や事務所関係の人は 
「奈保子さんのメロディーは難しくて歌えません!」
という状況だったのではないでしょうか。当時のファンクラブ会報などを見ていると、
レコード会社や事務所の方々に、奈保子メロディーは確立したものがあるので、
他のアーティストに歌ってもらいたいという考えがあったことからも、トライはされていたと
思われます。

で、日本でそんな難しい状況だったのによくぞカヴァーしてくれたな〜、
と今更ながら当時のヴィヴィアン関係者の方に感謝したい気持ちです。なお、
このヴィヴィアン作品、香港で「上手くない」といっても、日本標準では十分及第点なので、ご安心を。

そして、奈保子メロディーが、奈保子さんのヴォーカル力とは
切り離せないものだったことをあらためて知ったのでありました。

ちなみに、この「Dear John」について、私は95年の夏

「あの曲は名曲なので、今後LIVEをするような事があったら、是非1度歌って下さい!!」

と熱烈な手紙を出したことがあります。(←また、手紙かよ!(笑))
その年末に行われた現在のところラストとなっているLIVE『音の流れの中で』で
本当に歌っていただいて、その“偶然の再会”(あるいは、多くのファンからの
リクエストによる“必然の再会”に驚きました。
奈保子さんが、歌い上げた後のMCで、

「この「Dear John」はLIVEで初めて歌ったと思うのですが、皆さんいかがでした?」

と会場で呼びかけられた時、私はもうホントにメチャクチャ頭の中がフィーバーし、
シンバル・モンキーちゃん状態で拍手喝采していた記憶があります。(笑)


ということで、この後はお約束の、自作曲で「奈保子ンピレーション」を作るとしたら・・・
というのをやってみました。ここでは、奈保子さんの歌唱力、楽曲のヒット性というよりも、
こんな曲も作れるんですよ!!という意欲的なものを優先して選んでいます。

<奈保子ンピレーション:名コンポーザー河合奈保子>
曲目
(ジャケット表示曲は、
現在発売中のCDのに
収録されています。)
収録アルバム うすちゃん的“甘口”コメント
美・感性
ブックエンド
(1990.6.1)
多分、これは奈保子さんの中でも
最も時間がかかったのでは?と
思えるほど、転調に転調を重ねた
意欲的な作品となっています。
ボーカルも吠えているのが◎。
十六夜物語
 
JAPAN
(1987.6.24)
やはり、日本作曲大賞・受賞曲は
外せませんよね。
シンプルなメロディーの中にも
切々とした情念が感じられます。
ロードサイドダイナー
スカーレット
(1986.10.21)
スピード感がありながら、LIVEでの
盛り上がりもちゃんと考慮した
流れがいいですよね。
まるで判ってない!! The Lover in Me 2
〜ファースト・クリスマス
(1990.12.8)
これは、「夢見るコーラス・ガール」
「黒髪〜」などのお得意なアップ
テンポ路線を更にドラマティックに
した意外な秀作です。思わず
笑顔がこばれてしまう!(微笑)
SENTIMENTAL SUGAR RAIN
Masterpieces
(1989.5.1)
(シングルB面)
スローなのに冗長にならない
メロディーの展開がいいです。
後奏も感動的。
さよならの彼方で・・・ Calling You
(1989.11.21)
Calling You収録のバラードは、
サビでメジャーに転調する点が
それ以前とは異なります。その分、
救いのある内容にしたかったのかも。
Dear John
Members Only
(1988.4.1)
奈保子メロディーのど真ん中に
あるようなバラード。今でも95年
LIVEでの熱唱が記憶に残っています。
水の四季
JAPAN
(1987.6.24)
まるでヴォーカルの課題曲のような
起伏に富んだメロディー。それを
自然に歌いこなす奈保子さんにも驚き!
美・来
ブックエンド
(1990.6.1)
筒美京平サウンドを経験したからこそ
成し遂げたアップテンポでの熱唱系の
極み。自作バラードに飽きた人に
是非聴いて欲しかったです・・。
10 WATER MIND Tears of Nature
(1989.10.1)
インスト作品集から。これ、小リスが
はしゃいでいるようなメロディが
面白いです。ボーカルものしか
興味のない方は、ここでトイレ休憩へ。
11 桜の闇に振り向けば
JAPAN
(1987.6.24)
で、会場に帰ってきたらいきなり
異次元的な空間に迷い込むかのような
不思議なサウンドが繰り広げられ・・
12 緋の少女
スカーレット
(1986.10.21)
この歌はスリリングな展開を
前後のサビではさんでいる構成が
いいですね。
13 幸せに見える女
Masterpieces
(1989.5.1)
奈保子初のDUBサウンド。
サビ頭というのも珍しいです。
14 Wings of My Heart
engagement
(1993.11.21)
「オリビアを聴きながら」路線の
この歌で、ちょっとやすらぎましょう。
15 ハーフムーン・セレナーデ
 
スカーレット
(1986.10.21)
アンコール前は、この歌の切なさで
カタルシスを体験!!
16 GT天国
Members Only
(1988.4.1)
この歌のキレのある歌詞に
初めて聴いたときは驚いたものです。
17 言葉はいらない
-Beyond The Words-
engagement
(1993.11.21)
奈保子さんの明るい歌唱が出つつ、
二人を描いているところが新しいですね。
18 夢かさねて
Jewel Box II
(2003.2.1)
そして、最後はやはり最初にレコード化
されたこの歌を。初心が現れている
感じがするいつ聴いても清々しい1曲
ですね。

あっ!3つのBOX同様、私は様々な奈保子ファンの真ん中辺りの意見を
表にしているだけですので、ご自分との相違があっても、あまり気になさらないで下さいね。

次回は、「潮風の約束」(『サマー・デリカシー』収録)について書いてみようと思います。

←シングルのみならこちら! 

アルバム名曲&レアトラック集はこちら
『Dear John』ももちろん収録!

 結婚と恋愛の間の複雑な気持ちを
ドラマティックな歌詞と歌唱で綴った楽曲
に心打たれる人も多いはず!


どちらも全曲リマスタリング、ゆかりのある
方からのコメントや、曲目リスト、チャート
イン状況の解説など他のBOXのブックレット
より、かなりお得なつくりとなっています! 


2005年2月20日 つのはず誠

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