2004年11月 最終更新


大ヒット曲×実力派アーティスト。斬新なカバーはここから始まった。
『ノエビアCMヒッツ!コスメティック・ルネッサンス』

下のゴタクを読まずにすぐに購入の方は上のアイコンから!(笑)↑(Amazonです)
(2003年2月26日発売)MUCD-1075 税込\2,520-

※本作同様に斬新なカバーで好評な『エンカのチカラ』はこちらへ。

数々の化粧品コンピがリリースされることになった
きっかけの第1弾アルバム!

このコンピレーションがヒットしたことで、
『ルージュ〜コスメティック・CMソング・コレクション〜』
『音椿〜〜the greatest hits of SHISEIDO』『Bellie カネボウ・ヒット・ソングス』と
その後、次々と化粧品コンピが発売されるきっかけとなりました。


<また、このCDは以下の逆境を乗り越えた不思議なアルバムでもあります。>

1・普通オムニバス盤ではCMスポットを大量に投下するのですが、
この作品に対しては、プロモーションのみでTV CMなく売れています

2・収録曲はたったの11曲で\2,520と、コンピとしてはかなり割高
(参考:『ルージュ』→30曲で\3,129、『Belle』→22曲で\2,625)
諸事情で高くなってしまったんですが、それでも買われた方が沢山いらっしゃいました。

3・収録された11曲のカバー曲はいずれもシングルとして発売されましたが、
どれ一つTOP20に入っていません。(もちろん、アーティストや元歌は大変有名ですが。)
なのに、そこそこのセールスとなったことは誰もが想像できなかったでしょう。


<同シリーズで未収録の楽曲について>

 ここで、注釈しますと、初期の楽曲はCM部分の前後のみが収録されただけで、
CD発売にも合わせたフル・コーラスが収録されたのは1992年以降なのです。ですので、
甲斐よしひろさんや鈴木聖美さん、柳ジョージさん、もんたよしのりさん、森進一といった
ごく初期に歌われた方の楽曲は収録されていませんし、既存音源だけでパート2を出す、
ということも現在のところ難しいと思われます。(ただし、柳ジョージさんは『山口百恵トリビュートpart2』
再録音なさっています。)なお、11曲のほかに実はもう1曲存在するのですが、
ご本人がアニバーサリー活動を優先したい、ということで、本CD収録は見送られました。

つまり、第2弾まで取っておこうというスケベ根性(笑)があった訳ではありませんので、
どうぞご理解ねがいます(微笑)。
収録曲 原曲アーティスト カバー・アーティスト
01・別れの朝 ペトロ&ガブリシャス 世良公則
02・恋のハレルヤ 黛ジュン 荻野目洋子
03・愛が止まらない
(TURN IT INTO LOVE)
Wink 西城秀樹
04・銃爪(ひきがね) ツイスト 坂本冬美
05・絶体絶命 山口百恵 宇崎竜童
06・カサブランカ・ダンディ 沢田研二 田村直美
07・ダンシング・オールナイト もんた&ブラザーズ マリーン
08・ミ・アモーレ 中森明菜 狩人
09・スローモーション 中森明菜 鈴木トオル
10・Heart Of Glass ブロンディ 桃姫BAND(尾崎亜美参加)
11・Lovin' You ミニー・リパートン アン・ルイス

このサイトは、このオムニバスが生まれた経緯が面白かったことや、
企画を進めて下さった方や買ってくださった方に敬意を表したいと思ったことから、
原案を出した私が自分の判断でサイトを立ち上げたものです

賛同いただいた参加アーティストの方にプラスとなる表現を目指しております。


<1・作品の企画が通るまで>

 それは、2002年の秋。当時、私はドリーミュージックのマーケティング顧問をしていたのですが、
こちらの会社はまだ設立から1年しか経っておらず、アーティストが十分にいなかったこともあり、
コンピレーションに注力されようとしていたところでした。そこで、歌謡オタクぶりを買われていた(苦笑)
私にもいくつか提案が振られたのです。(この時期にあの大ヒット企画盤
『chai〜サントリー・ウーロン茶CM・コレクション』も、こちらの会社で進められました。)

 その時に、あらためてノエビアのCM曲ばかりを集めて聴いてみたいと思ったのでした。それは、
TV番組「夜のヒットスタジオ」を観ていて、あの鶴田一郎さんのイラストと共に流れるCMソングが、
男性アーティストが女性の歌を歌ったり、またジャズ・シンガーがPOPSを歌ったり、演歌歌手が
ロックを歌ったり、と斬新な組み合わせが本当に多くて気になっていたからです。しかも、このCMは、
曲名/アーティスト名のクレジットがなくて、当時インターネットも普及していなかったので、
仲間うちでも「誰が歌っているんだろう?」と、しばらく話題にもなりました。「夜ヒット」自体は、
90年に終了しましたが、やはりこのCMを観るたびに、次はどんな曲?と常にチェックしていました。

 そして、この企画を進めるにあたり、まずは試聴会を開こうということになったのですが、なんと!
発売されていたほとんどの作品が廃盤となっていたのです。そこで、自分のこれまでのノウハウ(笑)を
駆使して、中古CDを歩き回り探しに探しました。すると、大抵の8cmシングルは既に中古店から
廃棄処分されていて、入手困難なのです。しかも、8cmシングルが大量にある店でも、なぜかこの
カバー・シングルだけ買われているのです。これを見て、「聴きたくても買えない人が多いかも?」と
思ったり、また、「これは当時そんなに売れていなくても気にしていた人が多いのかも?」と
予感したりし始めました。

 で、何とかかき集めた音源で、ドリーミュージックで試聴会を開いたところ、どの曲もあまりの斬新さ
にみんな驚きました。例えば、「愛が止まらない」はWinkのイメージでディスコ調を待っていたら、
いきなりメロウな西城秀樹によるアダルト・ポップスが始まるのです。「銃爪」でも、コブシを利かせ
まくった坂本冬美にノックアウトされるし、それは厳粛なミーティングが楽しく騒ぎ出すほどでした。
最も衝撃的なのは、鈴木トオルさんの歌う「スローモーション」でした。いきなり、オリジナル以上の
ハイトーンで始まり、本当に凄い!とみな唸った記憶があります。それで、これは面白いかも?
ということになり実現化へと進んだのです。

 収録曲のうち4曲は東芝EMIから出ており、またノエビアのCMの洋楽は、ほとんど東芝音源という
こともあり、東芝EMIと協力することで、より現実的にリリースすることができたようです。
(この辺の経緯は詳しくは知りません。)もちろん、ノエビアにも企画書をお持ちして、その為の
データ的なものを揃えました。発売は、2003年2月ごろと決まり、ノエビアはセールスレディの方も
全国に沢山いるので、これは売れるかも?と勝手に夢をふくらませていました。
<2・いざ発売!え、イニシャル(初期出荷)はそんな枚数!?>

 しかし、いざ予約注文を取ってみると、全国でなんと2,000枚弱というイニシャル枚数で、
初めの期待から考えるとあまりの少なさに驚きました。やはり、多くのCD店は、
このカバー曲が売れないものばかりだったということ、そしてちょっと古めの楽曲が多いこと、
更には歌っているアーティストが今では第一線から余儀なくしりぞいていることなどで
敬遠したのでしょう。また、ノエビア側も現在は別のブランド・イメージで展開しているということで、
この作品のために、レギュラー枠の内容をこの懐かしい楽曲に変更することもされませんでした。
(これは、一トップ企業として、正しい判断だと思います。)

 そこで、この作品の切り口を考えることで、媒体へのプロモーションを図りました。
確かに、このカバー曲は売れていないけど、オリジナル曲は売れたものばかり、しかも
歌っているアーティストは、今リリースしていないとしても、オリジナル性の高い人ばかり・・。

ということで、

「大ヒット曲×実力派アーティスト。斬新なカバーはここから始まった。」

というキャッチコピーと、
“オリコン1位を獲得した楽曲が6曲収録!”
“オリコン1位を経験したアーティストが5組収録!”

という別の切り口を考えたのです。

そうしたところ、ドリーミュージックさんが、多くの媒体社にアプローチされたこともあり、
新聞をはじめ、多くのエルダー向けの媒体で取り上げられていきました。
当時私がいた会社(HOSO SHUPPAN AGENCY)と朝日新聞社さんのご好意で、
広告を優遇して下さったことも期待度を大きく上げました。
<3・口コミが口コミを呼び・・>

 そうして発売日を迎えたのですが、初回の注文数は、なんと発売当日で品切れ、毎日
3ケタ、あるいは週明けの月曜には4ケタのバック(追加注文)が入るようになりました。
特に、ヤンレイや山野楽器など大人のお客様が多い店では、長い間、店頭に置かれて
いましたし、当時ダイエーに入っていたアシーネでは、面出しにしていい場所に置いて
下さっているのをよく見かけました。また、Amazonランキングでも、いまだに突然上位に
なったりしています。そうです、大半のCD店はヒット曲が入っているかどうかで仕入れを
決めるかもしれませんが、リスナーの方々は、自分の思い入れを信頼して買って下さって
いるのです。

 また、私も店頭周りをしてみて、30代〜40代の男性の方が、ジャケ買いをしているのを
何度も目撃しました。この時に、ジャケットのインパクトってやっぱり大事だなと思いました。
鶴田一郎さんが今回のためにと、書き下ろして下さったジャケット、今の時代感を的確に
表したドリーミュージック・引田さん、原神一さん&Riceの皆さんによるピンクを基調としたデザイン、
見事としか言いようがありません。(ちなみに、この原さんとRiceは、’87〜'88に、河合奈保子の
『JAPAN』などのアルバムを手がけていらっしゃいます。いやぁ、やっぱり『JAPAN』は、
音もデザインも最高です!)

 しかも、この商品、都会だけではなく、地方での売れ行きも結構高かったのに驚きました。
地方のCD店では、スペースの都合上、メガヒット商品を中心に品揃えをするのですが、
それ以上に多くの方が、注文をして「どうしても欲しい」とおっしゃってくれたことも、
影響しているのだと思います。これは本当に嬉しいことです。また、ノエビア・セールス・
レディの方々による、口コミプロモーションの効果も大きかったようです。

 こういった状況が、数ヶ月経ってもまだじわじわと続いていたのです。ですから、
オリコンでは2.5万枚程度のセールスですが、実際には5万枚を突破しています。こういう
ヒットチャートからかけ離れても売れ続けるなんていうのも、この作品らしいです。(微笑)

※ただし、半年後偶然にみかけたこれの洋楽盤『ノエビアCMヒッツ!インターナショナル』は、
前述の企画の段階で、「こちらも発売すべきでは?」とデータを集めていましたが、私や
ドリーミュージックは全く関わっていません。アイデア料がどうのこうの、とは言いませんが、
タイトルまで関連づけているのだから、事前に一言おっしゃっていただきたかったな、と思います。
コピーコントロールとか自分とこの権利を厳しく管理する割に、人の権利には鈍感なようです(苦笑)。
(このCD、発売時はまったく売れませんでしたが、皮肉にも、例のクイーン・ブームで、多少売れたようです。)


 まぁ、いずれにしても、このCDを多くの方が買ってくださったこと、そして中古CDに売り飛ばして
おられないこと(笑)は、企画に関わったものとして本当に嬉しく思います。
私も聴けば聴くほど味の出る面白い作品だなぁと、我を忘れてしまうことがあります。
そうです、私自身もこんなに深い作品だとは理解していなかったのです。(すみません。)

そういう意味では、このヒットは、情熱を持って制作された当時のCMスタッフの皆様、
そして何より確かな耳を持ったリスナーの皆様が導いたものだと自信を持って言えます。


2004年11月 臼井孝 (音楽マーケティングアナリスト)

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