最初の試練〜ネット上の中傷
(※2004年時点(2006年に一部改訂)の記事です。どうぞご了解下さい。)


私は「つのはず誠」として、2006年末現在、日経エンタテインメント!(通称“エンタ!”)での
『月間音楽チャート診断』という連載や毎月の話題人・音楽の取材、年末特集などの不定期の
音楽特集のサポートをさせてもらっていますが、エンタ!との付き合いは、これの前身にあたる
『週刊音楽チャート分析』のネット版での連載(2000年10月)からだから、(2004年時点では)
5年目になります。

 エンタ!での連載をするということは、音楽全般のファンの方(業界内も含む)も結構読んでいて、
私の存在を知って下さる大きなきっかけであり、大変有難いのですが、逆に連載をしている、
ということでネット上の中傷を受け悔しい思いをしたこともあります。
もちろん、「しょせん、ネットはソンナモン」と慰める方もいますし、その一方で、
顔も合わせていないのに、真剣にアドバイスして下さる方もいるので、
ネットは悪いことばかりではない、むしろ自分の生活に多大な潤いを与えていると
実感しています。

しかし、それでも、こちらの事情も知らずに勝手に解釈されて、一方的に攻められたことは、
やはり大きな傷となり、しばらく立ち直れないこともありました。

ここでは、中途半端な知名度で(苦笑)メディアに出ると、その意見はまるでメディア代表のように
取られてしまうという私の苦い体験を話した上で、音楽ファン同士は愛情を持って語り合ってほしいと
一人でも多くの方に思ってもらえれば、という願いで書いてみました。


 それは、2001年の春でした。当時、エンタ!では、

「宇多田ヒカル『Distance』 VS 浜崎あゆみ『A BEST』」という超強力アルバムの同時発売で
どちらが1位を獲得するか?という予想について、特に大々的なアンケートではなく
65%の確率で浜崎あゆみの勝利だと書かれたのです。おそらくベストアルバムだから、
より売れると予想されたのでしょう。一つの解釈としてはありうる事です。

 しかし、私の持論では、前回750万枚を売った宇多田が今回も400万枚は超えるのに対し、
(これは、1stアルバムがバカ売れした場合、次のアルバムのセールスは5割程度という経験則に、
宇多田ならではの音楽的評価の高さで+1割という、自分の中での感覚を足したもの。)
浜崎あゆみは、3枚のオリジナル発売後のベストという短い周期から、せいぜい300万枚くらい
だろうと読んでいました。(ELTやアムロちゃんのベストが、その前のオリジナル・アルバムより
伸びなかったので、それを超えることはない、という考え方。実際には、こちらも400万枚
売れましたので、私の過小評価も度が過ぎてたんですけどね。それだけ浜崎あゆみは、
史上最多といわれるほどのメディア露出をこなしたんです。これは、本人及び周囲スタッフ
の並々ならぬ努力があったと思います。原稿の使い回しもほとんどなかったし驚きました。)

だから、エンタ!編集部の予想をみては
「なんだかなー。ああ、自分の意見も知ってほしいな〜」という風に考えていました。


 とにかく、この論争は各メディアで熱くなっていました。そんななか、1週目のセールスは、
激戦の末、宇多田ヒカルが浜崎あゆみより上回ったのです。

 そして、これについてエンタ!編集部よりネットのコンテンツとして、あなたの考えを
まとめて欲しい、と言われ、自分は編集部と違う考えだと言いたくて、すぐさま引き受けました。
それは、要約すると、


 「宇多田ヒカルの方が、幅広い年齢層の音楽ファンに支持されているので
(浜崎あゆみは年配の方には、当時、声への評価が高くなかった)、宇多田の方が分がある。
 ただし、浜崎はベスト盤のため、ロングセラーとなる可能性もあるので1週では分からない。」

というものでした。本当は、宇多田のことだけ書きたかったのですが、プロとしては、やはり
両方の良い部分を見出すべきだし、だとすると浜崎の方はベスト盤だから、何かのリリースとか、
LIVEとか機会あるごとに再浮上するだろうと思い、その辺を言及したのです。
(実際に、このアルバムは次のシングル、その次のシングル発売時に再浮上した時に、
宇多田ヒカルの週間セールスを追い抜きました。)


 しかし、所詮、これは“私の意見”とは取られなかったのです。
エンタ!本誌読者がエンタ!のネット上で

「あゆは、65%ってどういう根拠ですか?」

と私に聞いてきたり、その後の「宇多田絶賛」のネットの私の記事を見て、

「本誌ではあゆと言っていたくせに、宇多田が勝った途端、宇多田が有利だったとはずるい!」

みたいな書き込みが殺到したのです。そうです、読者は、
エンタ!本誌での予想も、ネットでのコメントも同一人物がしたものだと思い込み、
大いに反論してきたのです。

 それに対して、当時あったエンタ!の掲示板で
「本誌と私の意見は違うのですよ」ということも言いましたが、そんな“言い訳”はおかまいなし。
・・というか、こういうのって悪い方に理解しようとすれば、揚げ足を取るのなんて簡単なんですよね、
ディベートと一緒で。で、何回か穏便に回答していたのですが、やはり書き込みをする人は
私を負かしたいばかりに、論点をすりかえては、何度も攻撃してきました。
さらにたちが悪いことに、本誌をよく読まずに、Webの掲示板のみ読んでいるものだから、
この論点のずれの経緯もしらずに、野次馬で参加するアンチ浜崎派もいてもう
ムチャクチャな意見が混在していました。

 で、そんなさなか、私の姉が危篤状態で急きょ実家の京都に帰ることになりました。
その為、なくなく1週間ネットでの連載をお休みしたのです。そうしたら、
エンタ!のサイトや2ちゃんねる内で、

「つのはず誠、逃げる気か?こいつ、サイテー!」

みたいなコメントがあり、本当に悔しいやら腹立たしいやら、本当につらかったです。
こっちは、人の生死に直面して毎日病院通いをしているのに、相手は、自分に都合が
悪いから逃げやがった、みたいに考えて揶揄するということ自体、本当に信じられなかった!
どこまでも、自分が勝ち!みたいな論調で攻撃してくるのです。

 しかも、私がそこで「親類が亡くなったので」といっても、
「どうせ、言い訳でしょ」になるのです。
ほんと、そういう真実が伝わらない状況がもどかしいし、悲しいし、
ネットというのは人の命すら軽々しく扱えてしまうのか?としばらく落ち込みました。

 でも、これ以上反論しても泥沼化するだけなので、コメントはしないように、
あとで、本誌できちんと特集を組みます、と小川副編集長(当時)から
言われ、悔しいのみでこの件はまったく何も反論しないことにしました。
(この編集部としての判断は、非常に正しかったのです。)

 翌月のエンタ!本誌で、浜崎あゆみが1位になったのは、オリコンのみで、
エンタ!が採用しているサウンドスキャンや、プラネットでは2位だったという結果や
購入層の年齢などが比較されましたが、エンタ!と音楽チャートアナリストとして
寄稿していた私との違い、というのは結局埋もれてしまいました。


 ここで私は一つ学びました。駆け出しの人間が、その雑誌で発言をするということは、
その雑誌を代表する意見を言っているのと同じなのです。つまり、私がエンタ!と考えが
違うのなら、今回の仕事は初めから寄稿すべきではなかったのです。あるいは、
原稿をアップする前に、エンタ!側とすり合わせた一貫性のある最終稿にする
必要があったのです。

 ということで、その“事件”後は、しばらく2ちゃんねるで「つのはず誠」名義で、
おちゃらけたチャート予想の投稿(もちろん、私ではありません。)があったようですが、
読者の方や様々な音楽ファンの理解ある方がたくさんいらっしゃったおかげで、
どうにかここまで来れました。これもやはり、音楽ファンが多いからこそ、救われた
プラスの部分ですよね!


また、その時に

「事件は会議室で起こっているわけではない!だから、全国のCD店を見てからモノを言え!」

と言われたことがキッカケとなり、自費で全国のCD店を回ることも始めました。
この3年間でのべ100ヶ所以上の都市に滞在し、たしかに日本は広く、好きな音楽が地域によって
異なること、そして好きな音楽がポンポン手に入るのは東京だけだということが実感できます。
(だから、CDこそネット通販の可能性が大きいと読んでいます。
また、このCD店行脚(笑)の成果はコチラにも出ています。)

上の発言は、なんとしても私を負かしたいから言った人の捨てゼリフ(しかも、今から考えたら
単に『踊る大捜査線』のパクリ(笑))なのかもしれないのですが、
(だって、日本全国にいる全業界のアナリストのうち、全国を、全世界を自分の目で見てから
仕事をしている人って何人いるの??)、

結果的には自分の勉強になっているし、メーカーの人とお話している時でも、
自分の目で見てきた経験が分析トークにも非常に活きているし、あの苦い経験は、
マイナスばかりではなかったのかな?と今になって思えます。


以上、私がシロウト同然にやっていた時代の苦い経験を書いてみました。
当時は、考えただけでも吐き気がしたことだけど、今ようやく冷静に書くことができました。

そうです、♪軽く、軽く、傷ついていけ〜(By「ローリング」中島みゆき)なのです、人生は。(微笑)
 

2004年10月(2006年11月日付更新) つのはず誠

 


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