第18回(1999年01月)

こたつ布団に入りながら、
僕は、布団カバーの表面にできるしわを見ていた。
迷路のように続く、布のしわの道。
しわによって作られた道をたどりながら、
ずっと遊んでいられた子供の頃。
想像力をかき立てられ、ゴールもなく、
ただその経過を楽しむことができた。
行ったり、来たり。
上に、下に。
右に、左に。
斜めに進もうとも、あてのない道は、魅力的で、
時間がどれだけ進もうとも、関係なかった。
掃除が終わり、またこたつに入ると、
新しい道が用意されている。

いつのまにか、時間が僕を支配するようになり、
いつのまにか、コタツは、ぬくもりを取るものになった。
そんなこと、誰も知らない。
秘密のコタツの道。

失われゆく時間と、迷路のような人生に、愛すべき映画を。

 

未来世紀ブラジル(1985)

監督/テリー・ギリアム

キャスト/ジョナサン・プライス、ロバート・デニーロ、イアン・ホルム

繁雑なコンピューター社会。タトルとバトルの名前が間違われたかことから、話が回転します。

国も年代もよく分からない、それでいて、管理されすぎて、秩序的でありながらも、猥雑な社会が舞台です。情報省に勤めるサムは、悪夢の社会に引きずられ、自分の予期せぬ道へ入り込みます。

テロリストであるタトル、理想的な女性ジル、自分の平穏な人生から、想像もできない社会へ入り込んでいきます。スピードあふれる展開と、予期せぬ出来事、そして混乱。悪夢は、果たして夢なのか。

管理するもの、管理されるもの。それを守るもの。それを壊すもの。すべては、バランスで、均衡が崩れると、人間とは、なんて、もろいものなのでしょう。余談ですが、この映画のロバートデニーロが、僕は大好きです。

☆☆☆☆

 

裸のランチ(1991)

監督/デビッド・クローネンバーグ

キャスト/ピーター・ウェラー、イアン・ホルム、ジュディ・デイビス 

バロウズ原作の「裸のランチ」をクローネンバーグが大胆に脚色した、クローネンバーグの最高傑作です。

1953年のニューヨークが舞台です。害虫駆除の仕事をしている男が、話を展開させていきます。なんといっても目を奪われるのは、カブト虫のような、喋るタイプライターです。グロテスクさと奇怪さだけでなく、複雑さを兼ね備えたストーリーに、胸がどきどきします。
タイプライターが、ある日、突然に変身しても、それは創造させたその人の世界です。普通では起こり得ないことでも、ふと起こってしまう。

人には理解されなくても、自分には理解できてしまう世界がある。物質が豊かな時代だからこそ、自分の感じる心を大切にして、自分の世界を壊さないようにしなければならないのかもしれません。自分の大切にしたい世界が、世間から外れていても、それは、世界から外れているだけにしかすぎないのですから。

☆☆☆☆

 

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