第31回 (2001年03月)

光のかけらが、はじけるように目の前を飛んでくる。
どこから射し込んでくるのだろうか。
衰弱した身体をひきずるようにしながら、僕は、表に出た。
風は、僕に向かって容赦なく吹きつけてくる。
光の乱反射は、さらに続く。
どこに行けばいいのだろう。
目的すら忘れそうになりながら、歩みを進める。

重くのしかかるように音が直線的に屈折しながら、猛スピードで僕を刺してくる。
発信源はどこなのか。
朦朧とした意識をたたき起こすかのように、僕は、自らの身を起こす。
怒濤のような音のシャワーは、僕に呼吸すら満足にする時間を与えない。
どこかに呼吸する場所があるはずだ。
大きく深呼吸できる場所をさがさなければ。

そして、僕は、一つのリズムを見つけるだろう。
自分の心の中に、一つのリズムを刻めば、僕は社会と闘える。
自らが発信音を刻めば、僕の心は、恐怖に震えることなく、身体を連動させる。

今の呼吸は、自分のリズム。

心に打ちつけるリズムを失いたくない、そんな想いの詰まった映画を。

 

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)

監督/ラース・フォン・トリアー

キャスト/ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ、デヴィッド・モース

主人公の女性セルマは、ミュージカルを演じる ことが夢でした。しかし彼女は、どんどん失明 に近づいてます。遺伝のために、子供にも失明 の危険性があります。子供が13歳になるまでに、手術費を稼ごうと日夜働き続けます。

社会 的に弱い立場にある主人公セルマの生き方が描 かれます。
ストーリー云々よりも、なんといってもセルマ の心の叫びが歌となるところが観る者をひきつ けます。現実から離脱したい彼女の叫びが、詩 となるところがすばらしいと思います。心にビ ョークの歌声が張り付きます。

生きることは決して楽なことではないけれど、 心に打ち付ける自分のリズムをいつも胸に抱い ていたい。自分の心の詩を奏でていたいと感じ ます。

☆☆☆☆

 

スラム(1998)

監督/マーク・レビン

キャスト/ソウル・ウィリアムズ、ソニア・ソン、ボンズ・マローン

社会の中で、いつの間にか自分のいる場所が、疎外されていたり、自分の位置取りが悪くなってしまうときはあるでしょう。しかし、自分のせいではないと思っていても、自分が変革を起こさなければ、自分を取り巻く状況や社会は、今より良くなることは、決してないでしょう。

主人公レイは、ラップによる自分の可能性を見いだそうとします。周囲の熱い支持を受けながらも、なかなか抜け出せない自分との戦い。そしてポエトリーリーディングへと導かれていきます。

力強いポエトリリーディングに圧倒されます。自分の生きている言葉をさらに新しい魂を吹き込み、昇華させていくエネルギーを感じます。自らが持つ言葉のリズムを胸に響かせていたいと思わずにいられません。

☆☆☆☆

 

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