第32回 (2001年05月)

光のかけらが、はじけるように目の前を飛んで
もう忘れてしまっていたかもしれない横顔に、
ふと街頭で遭遇した。
僕は、走らせていた車を道ばたに停めて、
それは5秒もかかるまでもなく、
そして僕は、あわてて車を降り、追いかけた。

交差点は、混雑しているわけでもなく、
人影がまばらというわけでもなく、
けれどもうその姿は、なかった。

ウソみたいな、ホントの話。
ホントにあるんだね、こんなことみたいな、
ウソじゃない話。

けれど、あきらめきれなくて、
何度も四方を見渡し、探したけれど、もう何処に
も姿はなかった。

ホントは、忘れていない。
忘れるわけがない自分を再確認した、春の日の午後。

恋はどこからやってくるのだろう。
不意に訪れる恋を描いた映画を。

 

ナビィの恋(1999)

監督/中江裕司

キャスト/平良とみ、西田尚美、村上淳

沖縄には、大切な何かが、まだまだたくさん詰まっているようです。同じ日本という国の中にありながら、文化も、言葉も、生活も違います。けれど、言葉を交わすことで響き合う心や、奏でる音楽によって震える心には、共通するものがあります。忘れか
けてしまった生活の中の息吹を感じます。

沖縄のおばあである主人公ナビィ。ナビィをいたわるおじい。優しい愛に包まれた時間が過ぎて行く中で、里帰りした奈々子と風来坊福の助と老紳士サンラーの出現で、事態は徐々に変化していきます。

幸せは、どこにあるのでしょうか。自分を生きるためには、何を求め、何を振り払っていきてゆくので
しょうか。

☆☆☆

 

シャンドライの恋(1999)

監督/ベルナルド・ベルトリッチ

キャスト/サンディ・ニュートン、デヴィッド・シューリス

誰にも罪のない社会であっても、人間が生きていく限り、争いや罪、失望、悲しみは、無限に生まれてしまうでしょう。歓び、感動、笑い、幸せは、一つの犠牲を払って得ているものと言えるかもしれません。全てが割り切れるものでもなく、全てが矛盾を抱え込んで生きていくことが、人間なのだと気づくときもあるでしょう。

政治活動によって夫を逮捕され、シャンドライは一人でアフリカの地を去り、勉強を進めます。住み込みで働く彼女は、屋敷でピアニストのキンスキーと出逢います。不器用なキンスキーはシャンドライに彼なりの愛を捧げようとします。

自分と他人に誠実に生きることは、矛盾を認識しながら、ひたむきに生きることなのかもしれません。

☆☆☆

 

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